絆物語

藤原葉月

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大切な人との別れ

第48話

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その頃・・・・

「ヨシ!!久しぶり!!」

「えっ?」

ヨシさん?

不意に自分の名前ではなくヨシの名前を言われ、思わず振り向くと・・・・・

「女王さん?」

「えっ?」

振り向くとそこに居たのはレイナで、レイナがヨシと思っていて声をかけたのは、ゴウだった。

「なんであんたがここに?」
「ヨシの気配に似ていたから・・・・つい。ごめんなさい。それじゃあ」

行ってしまおうとしたレイナに、
「あっ、まって!女王さん」
「えっ?」

「えーっと」

「レイナと言います。」
「レイナさん。あんたはもしかして俺の力のことを気づいたのか?」

「・・・・・えぇ、もちろん。少し前から」

「・・・・そうか」
「あなたはこれ以上・・・・」

「いやそのことは、頼むからヨシさんには言わないでくれよ」
「えっ?どうして?」

「あの人妙に勘がいいって言うか・・・。心配してくれてるんだろうけど・・・・よけいなことされたくねぇんだよな」

「・・・・・・」

「それに俺はあいつに・・・。《生命の法》を使ってほしくねぇし」

「アイツというのはあなたの想い人かしら?」

「あぁ。リリカって言うんだ。あいつは人一倍心配屋で泣き虫でさ・・・・」

と、2人が話しているのを


「あれ?ゴウ、戻ってきたんだ」

「・・・・・えっ?」

見たのはあとの5人で・・・

「・・・・・」

「あっ、ヨシさん?」

ヨシさんの顔つきが変わった?

「兄さん、女王さんと・・・・」


「・・・・・顔、洗ってくる」

とヨシは行ってしまい

「ヨシさん?」
「そりゃあね・・・あの場面見たら誰だって・・・・」


ヨシは1人で佇み、

「な、何をイライラしているんだろう 」

そう呟いていた。



「なぁ?あなたこそ、もしかの時は生命の法を?」

「えぇ、必ず使うと思うわ。彼の、望む方法で」

「えっ?彼の望む方法?生命の法を望む人なんていないぜ?」

「・・・・・(そうね。その通りね)」

「俺は帰ってくる場所にあいつがいてくれなきゃ困るんだ」

「ふふっ、大丈夫よ。それは」

「・・・・」

「いつかきっと笑い合える日がくるわ」



必ず・・・。

いつかきっと・・・・。


バシャバシャ


ヨシは言った通り顔を洗っていた。

いま俺、どんな顔してるんだろう。



「そんなに濡らすと風邪、引くわよ?」

「!?」


後ろから聞き覚えがある声をかけられ、

「・・・・レイナ・・・・」
「ねぇ?どうしたの?急に顔なんか洗って・・・・」

「いや?別に・・・・・」



(なんで、なんで考えていたら来るんだ?)


「ねぇ?ヨシ・・・・」

「えっ?」

何故か背中に抱きつかれ・・・・

「少しだけ、このままでいてもいい?」

「・・・・・」


なぜかそのまま動けずにいて・・・・。


その姿を偶然目にした仲間は

「やるじゃんヨシさん!」

「やっぱりラブラブなんだね!」

と、様子をこっそりと窺っていた。


「さっきゴウと・・・何を話していた?」

「えっ?いたの?いたなら声掛けてよ」

「・・・・僕がそんなことするやつだと思うか?」

と言って振り向く。

「あはは。そっか・・・・」

と、笑うレイナ。
「笑うな・・・」


と、ヨシの振り向きざまに

「・・・・・」


レイナは、ヨシにキスをした。

「なっ!?」

彼は驚き、そしてあかくなる。

「やっとこっちを向いてくれた」

「・・・・」


そして

「な、なに?なにしたの?見えない!!」
マサは咄嗟にケンに目隠しをした。
「子供は見ちゃダメだ」

「えー?なんで?」

「何でもだ」



「レイナ・・・・あのさ」

「えっ?なに?」

さっきのキスのことは触れずになぜか話を続けるヨシ。

「やはり、ミュウを・・・・」

「ん?」

「ミュウのことを、預かってほしいんだ」

「ミュウ!」

「わたしが?いいの?」

「戦いが終わったら・・・2人で・・・・。ミュウを、ミュウの生まれた街へ・・・いや、山?に返しに行かないか?」


「・・・・」


「うわー、すげー(会話が聞こえないのが残念なんだけど?)」

マサはケンを目隠ししたまま2人をみていた。
「マサさーん!見えないってばー!!」

「約束するよ。この戦いを終わらせるって」
ヨシは、レイナにほほえんだ。

「・・・・ヨシ」


レイナは、ヨシに抱きつき・・・・

「・・・・・わかった。待ってる」


やっと笑ってくれたね。




2人はしばらく抱き合っていた。


「・・・・・」

マサはそれを微笑ましく見ていた。

(言葉は聞こえなくてもわかるよ。)


「な、なに?何をやっていたの?ねぇ?」

「さぁ、行くか」

「ねぇ?教えてよ!せっかくいい所なのにいくの?」

「お前にもわかる時が来るよ」

と、笑いながら言うマサ。


「あの二人が愛し合っているってね」



「もう!マサさんのいじわる!」


ケンは、頬を膨らませマサについて行った。


戦いはまだ、終わっていない。

だが、彼らにも笑って暮らせる日がきっと来るはずだ。


必ず・・・・。



「ねぇ?兄さん随分遅かったじゃん」
ジュンはゴウの心配をしていた。

「途中で怪我しちゃってさ」


「えっ?大丈夫?」
ケンも心配をした。

「無事で何よりだ」

「それよりさ!聞いて聞いて!ヨシさんがね!女王様と2人きりですっごくいい雰囲気だったんだ!でもさぁ、マサさんが何していたか見せてくれなくてー」

「あはは!そうなんだ。」

「なんかすごくいい感じだったからヨシさん、あのまま女王様とどうするんだろうって」
「えっ?なに?2人はどうなったん?」

↑興味あるのか。

「いや、どうするって・・・」


「どうもしないよ」


「ヨシさん!」

「覗き見かよ。趣味悪いな」

「ヨシさん!女王さんに告白したの?」

「違うよ。ミュウの世話を頼んだ。それだけだ」

「えー?それだけには見えなかったんだけど(マサさんのせいで・・・・1番いいとこ見れなかったし・・・何話してるか聞こえないし)」


「ミュウを置いていくのか?」

「ミュウを巻き込みたくないからな」


「女王様の所に帰るってことだもんね!!」

「・・・・俺にもしものことがあってもミュウは寂しくないだろ?」
と、なぜかそんな事を呟くヨシ。

「寂しくないわけないだろ!!」

と、叫んだのはゴウだった。


「・・・・えっ?」
「・・・・・」

「あんたは約束したんだろ?だったら、守れよ!」

「・・・・・」

「大事な人が待ってるここへ、6人で必ず戻るって!!」

「・・・・わかったよ」


「・・・・よーし、じゃあもう休もう。明日もあるから」
「そうですね。おやすみ」


そして、みんなは寝静まった。










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