絆物語

藤原葉月

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大切な人との別れ

第49話

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寝静まったかに見えたが、話し声が聞こえる。


話しているのは、ケンとジュンだ。
眠れないらしい。

「ねぇ?ジュン・・・・」

「なんや、ケン。まだ寝てへんのか?」

「なんか眠れなくて。あのさ、話聞いてくれる?」
「ええよ?俺も眠れやんし」

「・・・黄泉の世界のことなんだけど・・・・」
「えっ?」
この間アイカが現れたことがなぜだか頭から離れないらしい。
「アイカさんが現れたのって、たしかにカナさんの力かもしれないけど・・・」
「どうしたんや、急に」




「黄泉の世界って・・生きた人間は入れないよね」「な、何言うてるんや!当たり前やん」


「そうだよね・・・」


「・・・・・・」

「ゴウ、立ち聞きか?」

マサにはゴウが立ち聞きをしているように見えたみたいだ。
「まさかお前も眠れないのか?」
「いや、目が覚めたら話し声聞こえて・・・。ほら、あいつらの声、大きいし・・・」


「・・・・あぁ、そうだな」

聞こえてきた。

 「・・・・・」

ヨシも一人静かに起きていた。

「・・・・・」

そこへヒロが1人外へ出た。

「あれ?ヒロさん?」

それに気がついたヨシ。

「・・・・・・」

【フフフフ】


「いつからつけていたんですか?」

【ふふっ。あなたが1人になるのを、いいえ?1人でここに来るのを待っていたわ】


シャキーン!


剣と剣が擦れあった!
「何が目的だ」

【失敗したのはこの女】

「!?」
【お前のことを助けるために《生命の法》を使って黄泉の世界にきたのよ】

「カナは僕のせいで・・・?」
【そう。何もかもお前のせいだ】


「・・・・・」


「ねぇ?ヒロ」

「カナ?」

「さようなら」


「(あの時止めていればよかった)」



「カナは、カナはまだこの中にいるんだ!! 」

「ヒロ、カナは自分の力を消すために自らそこに行ったんだ!!」

「全てはこの地球の異変を救うため・・・」

【そう。この女は力を全て消してはいなかったのよ。やがて、その力は別の仲間を引き寄せた】


「!?」

「・・・・?」

【力を集め、やがてその仲間とひとつになる力はこの黄泉の世界を強く起動させたの】

「まさか・・・・」


【そう、そのまさか。お前達が力を使えば使うほどこの世は荒れてゆくのだ】


「な、なんだって?」

【フフフフ。どうすることも出来ないわよ】

「・・・・・・」




そして、

「・・・・・」

浮かぬ顔をするケン、

「ケン?」

「・・・・・」

「何があったんだ」

「キョウカが死んだんだって・・・・」


「えっ?」
「・・・・・」
「・・・・・」


その言葉に全員驚く。

「僕、この間会ったのに・・・・・」


その時、ヒロはフラりとした。

「ヒロさん?」

「そんな・・・・」

「彼女は、生命の法を使ったの?」
「そんなこといつ聞いたんですか?」

「・・・・」

「・・・・・」


「生きていたよ?笑っていたんだよ?」
サキの分も生きようねって、約束していまは会わないようにしていたのに!!」

「黄泉の世界の扉がもう開いているんですよね?ヒロさん」

「えっ?」

「さっききいてしまいました。
でも、レイナからもそのような話を聞いたので・・・・」

「黄泉の世界を動かしたのは間違いなく生きている俺たち人間だ」
「亡くなった人との繋がりを保つ為に、カナはその繋がりを繋ぎ止めようとしていたんです」

「・・・・」

「でも・・・・なんらかの・・・」

「力が動こうとしている・・・」
と、ゴウはその先を呟いた。
「・・・・・」

「・・・・・」


そして、ゴウの剣を見て・・・・


「ゴウ、お前のその剣・・・・」

「ただの錆だよ」
「えっ?サビ?」

それにしては・・・


「すっげぇ使い込んだからな」



ゴゴゴゴ



「な、なんだ?」
「地震?」

「・・・・・」

黄泉の世界へ通じる道が開いたみたいで?
光の輪のようなものが出来ている。


「キョウカ!」

そこに何故かキョウカさんが現れた!
というより映し出されて?



「キョウカ・・・・!」

ケンはキョウカをおいかけた。

「ケン!よせ!行くな」

ヨシは止めようとした。
だが、

「僕は知りたいんだ。キョウカがなんで死んだか!それを知れるなら!」

と、その光の中に入っていってしまった!!
「あっ!」

「ケン!!」

「あいつ、黄泉の世界に?」

「・・・・・」

「今は彼を信じるしかないのかもしれません」

「・・・・・」

「だけど、生きている人間は長い間そこにいることは出来ないので・・・」

彼は一体どうするでしょうか・・・・




「キョウカ!!」


「えっ?ケン?」


目の前にケンが現れびっくりするキョウカ。

「どうして死んだの?ねぇ?どうして!!」

「ケン・・・あなたこそ、ここへ来ちゃダメじゃない」

「・・・・・でもケン、顔をよく見せて?」

「・・・・・」


キョウカに触られてはいる。
だが、自分は触れることが出来ない。

「あなたのことが大好きよ。たとえあなたがこの先誰かと一緒になったとしても。」

「・・・・・」

「あなたのそばで見守っているわ。だから、今は・・・・今はさようなら」


シュー


「・・・・えっ?」

ケンは元の世界に戻ってきた。
光の輪も消えた。

「ケン!大丈夫か。」

「・・・・・」

「・・・・無茶すんなよ。生きている人間が長くいるところじゃねぇだろ?いや、入るところじゃねぇよ」

「・・・・ねぇ?僕はこのまま戦ってもいいのかな?」

「・・・・」


「大事な人を守れなかったこの僕がこのまま・・・・」

「ケン、お前がいなきゃダメなんだよ」

マサは、ケンの肩に優しく手を置いた。

「そうですよ。救わなくてはならない人、沢山いますからね」


「・・・・うん、そうだよね」


「悲しいことも辛いことも無くなって、嬉しいことや楽しいことがきっと返ってきます。きっと・・・」


「・・・・・」


そして、


「あっ!」

「えっ?」

「おっ!可愛い子じゃん。なに?ケンのこと見つめてないか?」
と、ゴウはからかうと?


「ケン兄!!」

その女の子は呼んだ。
「えっ?まさか、ユナ?」
「なんだ、ケンの知り合いか?」

「ケン兄!!」

その子は一目散にケンの元へ行き、

「会いたかった!!」

と、抱きついた。



「えっ?」

ゴウは驚いている。

「ケン・・・・」

「・・・・・」

なぜか押し倒される形になっていて、みんなも驚きを隠せずにいて・・・・

「ユナ?お前なんでここに・・・・・」

本人は至って冷静で、

「そんなのケン兄に会いたかったからに決まっているじゃん!!」

「モテるな、ケン」

と、ゴウは茶化した。

「そんなはずは無いんだ!!!」

なぜかケンに否定されている。

「・・・・・」

「なぜなら君は、盲目だったから」


「えっ?」

「・・・・!?」

ケンの言葉に驚きを隠せないみんなだった。


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