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12話 恋と変は似ている。
しおりを挟む色々ありすぎた昼食でぐったりとしたミライは今は人気の無い中庭でベンチに腰かけて居た。ツバサは少し離れたところでハンカチを乾かしている。今ミライの頭の中ではユアンとのイベントらしきものがぐるぐると回っている。何故か自分に興味を持つ登場人物。これは所謂良く有るヒロインじゃない悪役令嬢がモテモテになるパターンでは?まあ私モブだけど。それに私じゃなくてハーレムはツバサが作らないとだめじゃん。こういうパターンはどうするべきなのか?何度も同じ思考を繰り返してぐるぐる。目が回りそうだ。混乱しているとツバサが近づいてくる。
「園田さん、ほんと大丈夫?どうしたのさ?」
「ちっ」
舌打ちを返すとひどいよーと言われる。どっこいしょとツバサが隣に腰かけて来た。オヤジ臭い。やっぱり中身は元おっさんだ。
「あれ?外だと近くに座れるんだ?」
「個室じゃないし………」
「そういうもんなの?ふーん?………謎の基準だね」
ツバサには先程のユアンとの謎イベント(?)の事は話してある。あの後すぐに半泣きで伝えると『ふーんそうなんだ?』と返って来た。もう一度ぶん殴っておいた。
「ねー、どーしよ?ツバサ君?なんでユアンが私に絡んでくるの?どうしたら良いの?」
「また、さっきの話?」
「だって、私はモブだし……ユアンが近づいて来るなんて変だもん……なんか甘い雰囲気だったし………」
「なにそれ。………あのさ、もしユアンが園田さんに好意的なら今はそれを利用したほうがいいんじゃ無いの?」
「え?」
まさかツバサからそんな発言が飛び出すとは思わず、驚いて凝視してしまう。
「だって、園田さん僕にはハーレム作れって言うじゃん」
つんっと唇を尖らせて言うツバサにミライは思わず苦笑してしまう。
「なんで笑うのさ?」
半眼でこちらを見るツバサは確実に拗ねている。
「だって、ごめん。拗ねてるの?ツバサ君?」
「………園田さんってさ、これアニメだって言ったよね。」
「ん、うん?そうだよ、人気アニメ。」
「ふーん、………好きなキャラクターとか居たの?」
好きなキャラ、もちろん居た。所謂推しである。実は意識してあまり考えないようにしていた。だって、実際本当に現実には居ないからキャーキャー言って騒いで、推していた。好きだった。手が届かないからこそ安心して恋をしていた。でも此処には本当に存在して居る。もし出会ってしまったら………。考えると胸が苦しくなる。自分がどうなってしまうのか、分からなくて怖い、だから意識的に考えないようにしていたのだ。
ツバサの言葉で、推しの姿が脳裏に浮かぶ。それをブンブンと頭を振ってなんとかかき消す。多分会う事は無い筈だ。考えるだけ不毛だ。
「皆好きだったよ」
なんとかそう言うが、ツバサは半眼でつまらなそうにしている。
「ふーん、じゃあ別に良いでしょ。皆好きならユアンにも好かれたって」
何故かトゲトゲしいツバサの言葉に笑ってしまいそうになる。
「ぷっ。なにそれツバサ君、変だよ、なんだかそれだとヤキモチ焼いてるみたいに聞こえるって」
クスクスと笑うと顔を赤くしたツバサがこちらをムッとした顔で見ていた。
「ごめんごめん。ね、この話やめよ?なんか、やだこんな雰囲気………、私達そう言うんじゃ無いじゃん。変だよ」
「………うん、そうだね、………ごめんね。」
ツバサは少し暗い表情だ。だがすぐにニコリと微笑んでくれた。
「でも、もしユアンが園田さんに好意的なら………利用したほうが良いって本気で思うよ。僕は」
「ん?ツバサ君、その話はやめるんだよね?」
「いや、実際これは真面目に聞いて欲しいな。」
真剣な顔でツバサは言う。
「強制力のせいかはわからないけど、何故か園田さんまで特別クラスに編入する事になったよね?正直僕は『チート』っていうのがあるみたいだから、なんとかなると思う。怖いけど………、でも園田さんは何も無いから」
「うん。一応光の魔法適正はあるけどしょぼいよ」
「だから、もし守ってくれる人が出来るのならそれは悪いことじゃないと思う。だって特別クラスに入るって事は任務も有るよね?だから………」
「………ツバサ君は守ってくれないの?」
ミライがそう尋ねるとツバサは顔を真っ赤に染めた。
「え?いや、ちょっ、………からかってる?」
真っ赤になるツバサはやっぱり変だ。
「ごめんごめん。うん、ツバサ君の言うこともなんとなくわかった。私も生き残るためには味方を作らないとだよね」
「うん、あ、もちろん僕が側にいる時は守るよ!!………でも、そうじゃない時は他の誰かに守って貰って欲しい。僕は園田さんと一緒じゃなきゃハッピーエンドには辿り着けないからね。………君抜きで世界が助かっても嬉しくないよ、僕、………君と並んでハッピーエンドを見たいんだ」
ツバサの言葉にミライの頬もほんのりと赤く染まった。
「ツバサ君は時々主人公だね……、天然ってこわ………」
「?」
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