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deyon

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犯人はお主であったか

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この時期になると思い出す、私はこれまで生きてきてこれほどの爽快感と絶望感が同時にやってきたことがあったであろうか。ま、そんな大げさな話ではないのだけれども。

8年程前に私は不思議な病気に取り憑かれる。なんと元旦の朝に決まって顔が腫れるのである。浮腫れるといったほうがいいかもしれない。そして気管支も腫れているのであろう、息がおもうようにできないのである。クチボソのように口を小さくしてそっと、ゆっくり息をするのである。
鏡をみると13ラウンド戦ったボクサーのような顔にできあがっている。
・・・なんということだ・・この顔で生き続けるのか・・倫理観と哲学が心の拠り所となってしまう。
しかし2日程たつとすっかり治ってしまうのである。息も絶え絶えだったのがなんともなかったように完治である。その後1年間はなんともない、健康そのもので過ごすのであるが、また翌年の元旦に息も絶え絶えの尻のような顔になるのである。そして2日たつと完治。また翌年も同じ症状が。なんなのだこれは・・日本人が1年で一番縁起の良いであろう日に私はこのようなミステリアスなことになっている。

霊とか宗教、黒魔術の類はいっさい信じない人間なのだがさすがにこのときばかりは気弱になっており、お布施をだしなさいといわれれば「出す、出す、何でも出す、舌も出す」といった具合であった。しかし私はあまり賢くはないのだが物事には常に理があるという信念をもっている。単純に偏屈といわれればそれまでだが。まず症状を冷静に分析する。顔が浮腫む、気管支閉塞、頭皮、背中、指先などがピリピリした感じでかゆい・・・アレルギー症状ではないか!なんと4年間気が付かなかった。わら人形でも水に沈めておるのではないかと思っていたが冷静になればなんてことない。食った物の何かにあたったのだ。

謎が氷塊していく安心感にカタルシスをおぼえる。次はアレルギー物質の特定だ。何を食べたのだ私は。年末、正月に決まって起こるのだからその時特別に食べるものだ。正月によく食べるもの・・もち、黒豆・・いやいや私の体はそんなものではびくともしない・・一瞬頭に閃光が走る。
あっ!かずのこだ!・・

それは私に謎が解けた爽快感と大好物が今後食べられなくなるという絶望感の2つを同時にプレゼントしてくれた。くそう、あの美しい金色の恋人にもう会えない。諦めきれない気持ちでパソコンにむかう。かずのこアレルギーで検索をかけてみるが意外にヒット数が少ない。不審に思い少し調べてみると魚卵アレルギーに属している。・・?・・いやこれはおかしい。私はイクラ、こもちししゃも、めんたいこ、すじこ・・そういった類のものは大好きなので日々よく食べておる。そしてなんともないのであるぞ。

魚卵アレルギーではない。では原因はかずのこではないのか、いややはりアレルギーは金色の美女である。というのも私は正月は酒を飲み食べ物はかずのこ以外食べてないからである。では何故・・あの美しい金色が気になる。金色?なるほど、添加物だ。しかしまて、ここでも疑問が。イクラなどにも同じ添加物は入っておるぞ。こうなったらとことん調べて金色の悪女を丸裸にしてやる。ヒヒヒ。

そして判明した。イクラ等には入って無くてかずのこには入っているもの。「漂白剤」であった。犯人はこいつであった。かずのこもまた被害者だったのである。「おにょれ漂白剤、そこへなおれ。私の恋娘をたぶらかしおって!」「やかましい、尻顔侍、ワシがいなければこのように美しくはならなんだわ!ぶははは」

しかし私は知っている。いつだったか、おおよそ自分の支払いではとても入れないような料亭で食したことがあるのだが、そこに確かにかずのこが出ていたのである。当然おいしくたいらげたのだが翌日はなんともなかった。どうもこの辺に現在の食べ物の問題提起が隠されているような気がする。
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