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deyon

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理不尽なのである

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私が中学生のころ緒形拳のことを、いのがたこぶしと呼んでいたことがある。変わった名前だなと思っていたのであるが特に不思議ではなかった。もっと変わった名前の人はいる。しかしそんなに親しくない友人に、おがたけんと読むのだと半ば馬鹿にしたような感じで教えてもらった。本当に物を知らないやつであるな・・・そんな顔をこちらに向けながらである。私は頭をかきながら卑屈にエヘヘ笑いをしていたが心の中では ちょっと待ってくれ。そんなに馬鹿にされることか? いのだけは間違っているがその他は読み方は間違っていない。こぶしとも読めるではないか・・・この出来事を私はまだ覚えている。相当理不尽と感じていたのであろう。


2週間ほど前、垢抜けた町にくりだしたのである。綺麗なオフィスがならびいわゆるOLと呼ばれている人達が闊歩する。久しぶりである。こじゃれたイタリアン料理店に入る。メニューを見る。どれも美味しそうだ。そして発見するのである。

『シェフの気まぐれサラダ』

気まぐれないでほしいのである。私は決められたとおり入り口から入り、紳士的に席に着き、品良くメニューから選んでいる。であるからシェフにはきっちりプランをたてておいてもらいたいのである。しかし気まぐれてしまうのである。私も支払いを気まぐれちゃう。少し理不尽である。


これは同級生から聞いた話であるが神崎君(仮名)の会社の飲み会での話である。居酒屋の次にカラオケということになり選曲などをしていた。そして神崎君の上司である部長の歌のイントロが流れる。「部長、この曲18番ですか」神崎君は気を利かして盛り上げようとしたのだが部長は「3番までだ」とにらむ。これはどこかで聞いた話ではあるが本当にあったこととなるとかなり理不尽である。もちろん非は部長にある。流行言葉をしらない年配者の揚げ足をとって笑うというはなしではない。18番ということばはもう既に市民権を得てずいぶんとたつ。死語になりつつあるのではないか。それにこの出来事以来、神崎君は18番と呼ばれてしまっている。気の毒であり理不尽だ。


そして蚊である。夏庭に出ると蚊にくわれるのである。そう、まさにここである。もし蚊が言葉をしゃべることができるのならこう言うであろう。「お、お代官様、めっそうもございません、人間様を食うだなんて あっしはコンマ何ミリリットルの血と半径1mm程度を痒くしただけでございます。誤解でございます。食うだなんて そんなたいそれた事を・・」裁きは両手でパンである。 理不尽である。
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