デブは嫌いだと婚約破棄されたので、ためしに痩せてみました

さー

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デブであることを認める

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 その日リリーはどうやって家に帰ったのか記憶が曖昧である。
「リリー様、おはようございます」
リリー付のメイド、アナがカーテンを開けながらリリーを起こす。
「おはよう、アナ」
いつもと同じ朝だが、一つ違うのはアナがリリーから微妙に顔を逸らしていることだ。
それはアナだけではなく執事もほかのメイドたちも同じだった。
おそらく昨日リリーがひどい顔で帰ったことが噂になっているのだろう。
リリーはひとりため息をついた。

「ねえアナ、私ってそんなに太ってるかしら?」
「どうしたんですか?急に」
実はね...昨日の出来事をすべて話した。

「そうですか、そんなことが...」

「確かに少しぽっちゃりしてるかもしれないけど...ブタはないわよね~」
リリーがそう言うとアナは何か考えるそぶりをみせた。
そして、覚悟を決めた表情で言った。
「リリー様、リリー様を思って言わせていただきます。はっきり言ってリリー様はぽっちゃりではありません。誰がどう見てもデブです。」

「・・・・・え?」

「今まで気を使って皆さん言われませんでしたけど、太っておられます。肥満です!」
アナは申し訳なさそうに、だがはっきりとそう言った。
肥満、その言葉がリリーの頭の中で響いていた。

認めたくない・・・でも思い返せば思い当たることがいくつもあった。
リリーが履いたヒールはことごとく折れてしまうこと
アナやお父様と馬車に乗るとなぜかリリーのほうへ傾くこと
立派なはずの家の階段にヒビがはいったこと
言わずもがなリリーが歩いていた時のことだ。

私ってデブだったのね・・・
リリーは今までのことを思い返し無性に恥ずかしくなった。

いつからだったろう
リリーが太り始めたのは・・・

リリーが8歳のころだ、大好きな母親が病に倒れた。
「リリーお母さまは体調が悪いんだ、困らせてはいけないよ」
そういう父親は少しやつれて見える。
「わかってるわ、お父様」
リリーは幼いながらも状況を精一杯理解しようとしていた。

お母さまはほぼ寝たきりだし、お父様も疲れていらっしゃる。
私がしっかりしなくては・・・
リリーは8歳にしては大人びた子供になっていった
だが、やはりまだ幼く無理をした精神面は食生活にあらわれていった。
一人でする食事は味気なかった。
それでも食べている間だけは何も考えずにいられるきがした。
お腹がはちきれるほど食べ物をつめこむ
そうすると寂しさや不安がまぎれていった。

リリーが9歳になる少し前、母親は闘病の末天国に旅立った。
そのころにはリリーはすでに肥満体型になっていたのだ。
母親が亡くなった後、ようやくリリーに目を向ける余裕ができた父親がリリーの過食癖に気づくころには取り返しがつかないところまでいっていた。
放置してしまった負い目なのだろう、父親は食べてばかりのリリーを見ても何も言わなかった。

そして、リリーが9歳になってしばらくしたあと、父親同士が友人だというマイケルと婚約したのである。
初対面の日、10歳のマイケルがリリーに目を向け嫌な顔をしたのを覚えている。
それからというものの、マイケルはいつだってリリーに冷たかった
今思えばリリーの体型が気に入らなかったのだろう
結果、公衆の面前で婚約破棄という暴挙にでたのだ


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