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父の本音

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 学院に復帰するため、父と話をしにいく
仕事が忙しい父とはもうしばらく顔をあわせていない。
つまり父のなかでのリリーはデブのままだ
どんな顔をするだろうと一瞬考えたリリーだったが、普段無関心な父のことだ
特に何も変わらないだろうと思いなおす。

コンコン
「失礼します」
「入れ」

父の書斎に入ると父は書類をみているようだった。
「復学についてお話にきました」
「そうか」
父は書類におとしていた目をリリーに向けた
その瞬間、大きく目を見開いた

「お前、リリーか・・・?」
リリーは驚いた、父が今にも泣きそうな表情をしていたからだ。

「母さんにそっくりだな・・・」
懐かしむように父は言った

「リリー、すまなかった」
突然の謝罪にリリーは驚く

「お、お父様・・・」
「母さんが倒れてから、おまえにかまうことができなかった。母さんのことで精一杯だったんだ
寂しい思いをさせていることに気づけなかった。」
「母さんがなくなったあとも、今まで放っておいた手前おまえにどう接すればいいのかわからなかった。」
「ほんとうにすまなかった」
父はそういって頭をさげた

「私のことはどうでもいいのでは?」
震える声で父に問うた

「そんなことはない!愛する娘だ、だがそう思わせたのはわたしだ」
リリーは涙が止まらなかった
ずっと父は私のことがどうでもいいんだと思っていた
愛していたのはお母さまのことだけだって
初めて聞く父の本音
とても驚き、そしてこれ以上ないほど嬉しかった

父はおそるおそるといった感じでリリーを抱きしめてくれた
「これからは一緒に食事をしよう、私たちはもっと話をするべきだな」
リリーの背中を優しくなでながら言った父の言葉に
リリーは何度も頷いた



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