遺伝子操作でファンタジーの住人を創るならエルフよりオークの方がよいと思うのでやってみた。

かみゅG

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ドワーフを創ってみよう

032.○○県は魔界と繋がっている?

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 テレビを消したところで、我が助手が話しかけてくる。

「ところで教授、ぼたんやエルちゃんがテレビに映りまくっていますけど、大丈夫ですか?」
「む?」

 たしかに最近、ぼたんやエルは毎日のようにテレビで中継されている。
 二人とも人間とは異なる姿をしているためか、ゲリライベント扱いしているテレビ局もあるようだ。
 噂では二人のファンクラブもあり、グッズ販売なども行っているらしい。

「コスプレと思われているようだな。まあ、オークやエルフが人間社会に馴染む取っ掛かりとしては悪くないのではないか? グッズの売り上げが研究室に入らないのが納得いかんが」
「そうじゃなくて! 警察や自衛隊とかが出てきたら、厄介なことになるんじゃないですか? 二人とも戸籍も無いし、身体検査を受けたら人間じゃないことがバレちゃいますし」

 我が助手は、ぼたんやエルの種族がバレることを心配しているようだ。
 しかし、吾輩はその辺りも含めて答えたつもりだ。

「それを踏まえて悪くないと言ったのだ。もし、国の研究機関が密にオークやエルフを捕まえたら、実験動物にするのは目に見えている。しかし、ファンクラブができるほど一般に知られてしまえば、そう簡単に横暴なことはできまい」
「そうですか? 場合によっては、一般に知られていても、そういうことをされるんじゃないですか?」
「それは、エイリアンが侵略してきた場合などだろう。二人は山の中で姉弟喧嘩をしているだけだぞ」
「姉弟喧嘩にしては他人を巻き込んで迷惑をかけていますけど……」
「ぼたんが捕まえた人間をエルが解放しているから、バランスが取れているのではないか? エルは感謝されているようだぞ。ぼたんの方も、自ら捕まりに行く人間がいるようだから、全ての一般人から嫌われているわけではないようだしな」
「ああ、なんか、変な性癖の人が、自分からぼたんに捕まりに行っているみたいですね。ぼたんのことを女王様とか言って崇めているとか……」

 我が助手が頭の痛そうな顔をしている。
 一応は納得したようだが、まだ釈然としないようだ。
 我が助手が安心するように、もう少し説明することにする。

「ちなみに、我が助手よ。世界樹が根を張ったのは、どのような地域か知っているか?」
「えっと、ぎふ県の山中ですよね」
「うむ。その通りだ」

 世界樹が根を張った場所のGPS座標はわかっている。
 我が助手は、市町村までは知らなかったようだが、おおよその地域は知っていたようだ。
 吾輩の説明を聞くには、そのくらいわかっていれば充分だ。

「あの地域は昔から魔王を信奉しているのだ。実際、魔王があの地域を治めていた時代もあったらしい。おそらく、どこかに魔界と繋がっている穴でもあるのだろう。あの地域の住人は、いまさらオークやエルフが現れても驚いたりはしない」
「なんですか、それ。どこから来た話ですか。ぎふ県の人に怒られますよ」

 やれやれ。
 我が助手は勉強が足りないようだ。
 吾輩に対して、頭の可哀そうな人間でも見るような目を向けてくるが、それが自分の無知を証明していることに気付いていないのだろう。
 吾輩は逆に、憐れな者を見る目を向けながら、説明を続ける。

「どこから来た話もなにも、駅前に行ったら一目瞭然だぞ。なにしろ、黄金の魔王像が祀ってあるのだからな」
「はあ? そんなおかしな地域があるわけないじゃないですか」
「嘘だと思うなら、ググってみるといい。キーワードは『ぎふ県』『駅前』『黄金の像』だ」

 我が助手が嫌そうな顔をしながらも、言われた通りにする。
 そして、訝しげな顔をして手を止める。
 検索で見つかった情報を読んでいるのだろう。

「……ねえ、教授。その魔王って、第六天魔王のことですか?」
「うむ」
「……ひょっとして、戦国武将だったりしますか?」
「うむ」
「……もしかして、織田さんですか?」
「うむ」
「…………」
「…………」

 質問は以上だろうか。
 ならば、吾輩の言うことを納得したということだろうか。
 確かめるために声をかけようとしたところで、一瞬早く我が助手が口を開く。
 そして、吾輩の襟元を掴んで揺さぶってくる。

「それなら、そう言ってくださいよ! おかしな地域とか言っちゃったじゃないですか! 私がぎふ県の人に怒られちゃいますよ!」
「そんなことを言われても知らん。我が助手が勝手に言ったのだろう。というか、揺さぶらないでくれ」
「教授だって魔界と繋がっているとか言ったんですから同罪ですよ! 一緒にぎふ県の人に怒られてください」
「吾輩は事実を言っただけだ。なにも非難される謂れはない。ところで、気持ち悪くなってきたので揺さぶらないでくれ」
「ズルいですよ、教授!」
「あの地域の住民は心が広いから心配はいらん。それより、そろそろ吐きそうなので揺さぶらないでくれ」

 何度も言って、ようやく我が助手は揺さぶるのを止めてくれる。
 まったく、人を道連れにしようとするとは、ズルいのはどちらだと言いたい。
 だが、我が助手が動揺するのもわかる。
 あの地域は観光名所も多く、よいところではあるのだが、魔王を信奉しているだけあって油断できないところでもあるのだ。
 我が助手にも教えておいてやるか。

「我が助手よ。それほど心配なら、ひとつよいことを教えてやろう」
「なんですか?」
「『ケイちゃん』というものを知っているか?」
「『ケイちゃん』? 人の名前ですか?」
「うむ。おそらく、そうだろう」

 実は吾輩も詳しくは知らない。
 しかし、あの地域を調べているときに、偶然にも情報を手に入れたのだ。

「ただし、個体名ではなく、特定の存在を表す隠語だと思う。あの地域は『ケイちゃん』と呼ばれるものを食べる習慣があるらしい」
「え? 『ケイちゃん』をですか?」
「うむ。これは推測なのだが、魔王への生贄を『ケイちゃん』と呼んでいるのではないだろうか。『食べる』というのも、おそらく『生贄にする』という意味の隠語だろう」
「そんな残酷な習慣が! ……って、あるわけないじゃないですか。教授、本気で怒られますよ」

 我が助手が馬鹿にしたように、こちらを見てくる。
 やれやれ。
 先ほどのことを、もう忘れたのだろうか。
 無知は身を滅ぼすことさえあるというのに。

「嘘だと思うなら、それでもよい。しかし、ひとつ忠告しておこう。あの地域に行って『ケイちゃん』について聞かれたら、『あれって美味しいですよね』と答えた方がよいぞ。もし、違う答えを口にすれば、何をされるかわからんからな」
「……まさか、本当のことなんですか?」
「無論だ。なんなら、ググってみるとよい。キーワードは『ぎふ県』『郷土料理』『ケイちゃん』だ」

 我が助手が不安そうな顔で検索をする。
 最近の検索エンジンは優秀だ。
 結果はすぐに出る。

「ッ! ホントに出てきた! まさか、そんなッ!」

 我が助手の驚愕した声が響き渡る。

「だから、言っただろう」

 世間には、地域によって常識では計り知れない文化があるものなのだ。
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