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ドワーフを創ってみよう
036.魔法は英語でマジックと言う
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道子はたびたび研究室に遊びにくるようになった。
今もエルと遊んでいる。
「ちょっと、みーちゃん! この前くれた聖剣、すぐに折れちゃったんだけど!」
「そなたのフォースが足りなかったのではないか?」
『みーちゃん』というのは道子の愛称だろう。
愛称で呼び合うくらいには仲が良くなったようだ。
「そんなことないよ! だって、全く斬れなかったんだよ!」
「なら、そなたのレベルが低いのだ。いくら勇者が伝説の武器を持っていても、レベルが低くては魔王を倒せるわけがない」
「えぇー?」
道子がエルに渡した玩具――もとい、武器は、なかなか良い効果を発揮しているようだ。
切れ味は皆無だが、見栄えが良い。
テレビで放送されているぼたんとエルの対決を盛り上げるのに一役買っている。
最近知ったのだが、テレビ放送されるぼたんとエルの対決は生中継ではないらしい。
必ず事前に撮影したものが放送されている。
その理由は単純で、加工しないと放送できないからだ。
どうりで、ぼたんの胸や股を木漏れ日や木の葉が都合よく隠すと思った。
世界樹の側なので木漏れ日や木の葉があるのはおかしくないが、あまりにも都合が良すぎた。
ぼたんが豚を脱走させていた最初の頃は単なるモザイクだったのだが、テレビ局の努力がうかがえる。
もしかして、エルが豚に矢を刺したときの流血も、テレビ局がカットしていたのだろうか。
もしそうだとすると、道子の渡した武器は、豚を物理的にカットするのではなく、テレビ局の労力をカットしたということになる。
視聴者もノーカットで観ることができて喜んでいることだろう。
狙ったのだとしたら、大したものだ。
道子はやはり見所がある。
「ところで勇者よ。武器もよいが、魔法を習得するつもりはないか? 望むなら、力を授けてやるぞ?」
「魔法? そんなの使えるの?」
道子の提案に、エルが疑わし気な視線を向ける。
武器の件で、道子への信頼度が下がっているようだ。
しかし、道子は余裕の表情をしている。
「見ているがよい」
そう言うと、道子は手をポケットに入れて引き抜いてから、エルの前に突き出す。
エルがその手に注目したところで、道子の指先がわずかに動く。
「うわっ!」
道子の指先から、ぼわっ!と炎が出て、エルがのけぞる。
炎はすぐに消えたが、その熱が伝染したかのように、エルが興奮する。
「すごいっ!? 今のなに!?」
「ふっふっふっ、魔法だ」
道子がエルにドヤ顔で教える。
「ボクも使ってみたい!」
「ふっ、よかろう」
尊敬の眼差しを受けながら、道子がエルに魔法を授けるべく、説明を始める。
*****
道子とエルを眺めていると、いつの間にか我が助手が近くまできていた。
小声で話しかけてくる。
「教授、アレいいんですか? 詐欺って言いません? エルちゃん、完全に騙されてますよ」
アレというのは、道子が披露した魔法のことだろう。
我が助手の問いに、吾輩は答える。
「別に騙してはいないだろう。魔法は英語でマジックと言うしな」
「マジックは日本語で手品って言いますね」
マジックと手品は語源は違うのだが、現代では同じ意味で使われることが多い。
道子はエルに魔法と言って炎を出してみせた。
そこにタネや仕掛けがあったとしても、嘘を言っていることにはならない。
道子が使ったのは、おそらくフラッシュコットンと発火ギミックだ。
「でも、教授、知ってますか? 一流の詐欺師って、嘘は言わないんですよ」
「ほう」
「紛らわしい言い方をして、相手が勘違いするのを誘うんです」
「預言者や占い師と一緒だな」
正確には少し違うが、相手がどうとでも取れる言い回しをするという意味では同じだ。
ちなみに、マジックをするマジシャンも、心理トリックをよく使う。
魔法を使う魔法使いが、似たようなことをしたとしても、全くおかしくはない。
なにしろ、魔法はマジックというのだから、何の問題もない。
「まあ、いいですけどね。手品の炎なら、ぼたんもエルちゃんも火傷はしないでしょうし」
「見た目が派手だから、テレビ映りもよいだろうな」
吾輩と我が助手がそんなことを話している間も、エルと道子の会話は続いている。
「え? 道具を使うの? 魔力とかで炎を出すんじゃないの?」
「魔法使いは、魔法を使うときに杖を使うだろう。それと一緒だ。そなたは剣を使うから、杖だと邪魔になると思って、代わりとなる道具で教えているのだ」
嘘は言っていない。
魔力で炎を出すのかという質問には答えていないが、嘘は言っていない。
コットンフラッシュで炎を出すときにはそもそも杖は必要ないが、魔法使いが魔法を使うときに杖を使うイメージがあるのは間違いではない。
剣を使うときに杖が邪魔になるというのも間違いではない。
だから、嘘は言っていない。
「そうなんだ。ありがとう」
素直に礼を言って、エルは道子の説明を聞き続ける。
この調子なら、エルが手品――もとい、魔法を習得するのに、さほど時間はかからないだろう。
今もエルと遊んでいる。
「ちょっと、みーちゃん! この前くれた聖剣、すぐに折れちゃったんだけど!」
「そなたのフォースが足りなかったのではないか?」
『みーちゃん』というのは道子の愛称だろう。
愛称で呼び合うくらいには仲が良くなったようだ。
「そんなことないよ! だって、全く斬れなかったんだよ!」
「なら、そなたのレベルが低いのだ。いくら勇者が伝説の武器を持っていても、レベルが低くては魔王を倒せるわけがない」
「えぇー?」
道子がエルに渡した玩具――もとい、武器は、なかなか良い効果を発揮しているようだ。
切れ味は皆無だが、見栄えが良い。
テレビで放送されているぼたんとエルの対決を盛り上げるのに一役買っている。
最近知ったのだが、テレビ放送されるぼたんとエルの対決は生中継ではないらしい。
必ず事前に撮影したものが放送されている。
その理由は単純で、加工しないと放送できないからだ。
どうりで、ぼたんの胸や股を木漏れ日や木の葉が都合よく隠すと思った。
世界樹の側なので木漏れ日や木の葉があるのはおかしくないが、あまりにも都合が良すぎた。
ぼたんが豚を脱走させていた最初の頃は単なるモザイクだったのだが、テレビ局の努力がうかがえる。
もしかして、エルが豚に矢を刺したときの流血も、テレビ局がカットしていたのだろうか。
もしそうだとすると、道子の渡した武器は、豚を物理的にカットするのではなく、テレビ局の労力をカットしたということになる。
視聴者もノーカットで観ることができて喜んでいることだろう。
狙ったのだとしたら、大したものだ。
道子はやはり見所がある。
「ところで勇者よ。武器もよいが、魔法を習得するつもりはないか? 望むなら、力を授けてやるぞ?」
「魔法? そんなの使えるの?」
道子の提案に、エルが疑わし気な視線を向ける。
武器の件で、道子への信頼度が下がっているようだ。
しかし、道子は余裕の表情をしている。
「見ているがよい」
そう言うと、道子は手をポケットに入れて引き抜いてから、エルの前に突き出す。
エルがその手に注目したところで、道子の指先がわずかに動く。
「うわっ!」
道子の指先から、ぼわっ!と炎が出て、エルがのけぞる。
炎はすぐに消えたが、その熱が伝染したかのように、エルが興奮する。
「すごいっ!? 今のなに!?」
「ふっふっふっ、魔法だ」
道子がエルにドヤ顔で教える。
「ボクも使ってみたい!」
「ふっ、よかろう」
尊敬の眼差しを受けながら、道子がエルに魔法を授けるべく、説明を始める。
*****
道子とエルを眺めていると、いつの間にか我が助手が近くまできていた。
小声で話しかけてくる。
「教授、アレいいんですか? 詐欺って言いません? エルちゃん、完全に騙されてますよ」
アレというのは、道子が披露した魔法のことだろう。
我が助手の問いに、吾輩は答える。
「別に騙してはいないだろう。魔法は英語でマジックと言うしな」
「マジックは日本語で手品って言いますね」
マジックと手品は語源は違うのだが、現代では同じ意味で使われることが多い。
道子はエルに魔法と言って炎を出してみせた。
そこにタネや仕掛けがあったとしても、嘘を言っていることにはならない。
道子が使ったのは、おそらくフラッシュコットンと発火ギミックだ。
「でも、教授、知ってますか? 一流の詐欺師って、嘘は言わないんですよ」
「ほう」
「紛らわしい言い方をして、相手が勘違いするのを誘うんです」
「預言者や占い師と一緒だな」
正確には少し違うが、相手がどうとでも取れる言い回しをするという意味では同じだ。
ちなみに、マジックをするマジシャンも、心理トリックをよく使う。
魔法を使う魔法使いが、似たようなことをしたとしても、全くおかしくはない。
なにしろ、魔法はマジックというのだから、何の問題もない。
「まあ、いいですけどね。手品の炎なら、ぼたんもエルちゃんも火傷はしないでしょうし」
「見た目が派手だから、テレビ映りもよいだろうな」
吾輩と我が助手がそんなことを話している間も、エルと道子の会話は続いている。
「え? 道具を使うの? 魔力とかで炎を出すんじゃないの?」
「魔法使いは、魔法を使うときに杖を使うだろう。それと一緒だ。そなたは剣を使うから、杖だと邪魔になると思って、代わりとなる道具で教えているのだ」
嘘は言っていない。
魔力で炎を出すのかという質問には答えていないが、嘘は言っていない。
コットンフラッシュで炎を出すときにはそもそも杖は必要ないが、魔法使いが魔法を使うときに杖を使うイメージがあるのは間違いではない。
剣を使うときに杖が邪魔になるというのも間違いではない。
だから、嘘は言っていない。
「そうなんだ。ありがとう」
素直に礼を言って、エルは道子の説明を聞き続ける。
この調子なら、エルが手品――もとい、魔法を習得するのに、さほど時間はかからないだろう。
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