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獣人を創ってみよう
045.販促イベント
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『メスブタ! 父様のお店に迷惑をかけるのはやめなさい!』
テレビの中では、エルがぼたんと対峙して、大声を張り上げている。
そういえば、エルはその場にいるのだから、何も反応しないわけがなかった。
『ぷぎーっ! 私は君と違って、父様以外の人間にいやらしい姿を見せたくないの!』
『ボクだって見せたくないよ!』
『そんな写真集を出しているのに?』
『うっ! こ、これは売り上げに貢献するために……』
ちなみに、今日のぼたんは全裸ではない。
毛皮のコートを羽織っている。
街中を全裸で歩いていては捕まってしまうので、服を身に着けているのだろう。
ただし、前が開いたコートから見える中身は、何も着けているようには見えない。
はっきり言って、全裸よりも変態度が上なのだが、あれはよいのだろうか。
イベント会場に入れたようなので、コスプレだとでも思われたのかも知れない。
なにはともあれ、今のぼたんモザイクを入れなくても放送できる状態だ。
そのためか、エルとぼたんの舌戦が生中継されている。
出し物のような扱いをされているようだ。
『大体! メスブタは普段からいやらしい格好をしているじゃないか! 今さら何を言っているのさ!』
エルは自分の写真集のことは棚に置いておいて、ぼたんの格好を指摘することにしたようだ。
しかし、ぼたんは余裕の表情を崩さない。
『いつもは周りに豚しかいないからいいの! 豚のみんなは普段から全裸だからいやらしくないの!』
ぼたんの判断基準だと、そういうことになるらしい。
ぼたんが婿候補として攫った男達もいるはずなのだが、彼らは豚枠なのだろうか。
あと、世界樹のところにいるときは、いつもモザイク入りでテレビ中継されているのだが、それはいいのだろうか。
テレビ局側が許可を取って撮影しているとは思えないので、本人は知らないのかも知れない。
どちらにしろ、ひとつだけ言えることがある。
今の格好も充分いやらしい。
というか、全裸にコートは変態っぽい。
「教授! 早くなんとかした方がよくないですか?」
「しかし、エルがあの様子では、抱き枕をぼたんに渡せという指示に従ってくれるかどうか……」
一緒にテレビを見ている我が助手が、状況の解決を要求してくる。
それに対して、吾輩は迷う。
むろん、吾輩もなんとかした方がよいとは思う。
しかし、先ほどまでとは状況が変わった。
エルが素直に指示に従ってくれるとは思えないのだ。
下手な指示を出せば、逆に場を混乱させてしまう可能性がある。
「……いっそ、出し物ということにして、客寄せに利用した方が――」
「教授!」
「――というのは冗談だ」
冗談というか、ふと欲が出ただけなのだが、正直に言うと我が助手に怒られそうなので誤魔化す。
そんなことをしている間にも、テレビの中の状況は変化している。
『ほら、これを』
『ありがとう、みーちゃん』
道子がライトセ○バーをエルに渡している。
イベント会場に本物の剣や弓は持ち込めなかったらしくエルは手ぶらだったので、気を利かせたのだろう。
だが、この状況で武器を手渡すとは、余計な気の利かせ方だ。
もっとも、武器と言ってもライトセ○バーなので、道子も出し物だと認識しているのかも知れない。
『てやーっ!』
『ぷぎーっ! 甘いっ!』
ライトセ○バーを手にしたエルが、ぼたんに切りかかる。
しかし、ぼたんは着ていたコートを素早く脱ぐと、それを赤い布代わりにして、まるで闘牛士のように華麗にエルの攻撃を避ける。
二人の攻防に、周囲で見ていた野次馬達から拍手が沸き起こる。
「……盛り上がってるな。このままでよいのではないか?」
「そんなわけないでしょう! ぼたん、全裸になっちゃいましたよ!」
「うむ。その通りなのだが……上手く胸と股が映らないようにしているな。見事なものだ」
「そこは感心するところじゃありません!」
我が助手はそう言うが、絶妙なカメラワークなのだ。
一歩間違えば放送事故になるところを、生中継を中断することなく、テクニックを駆使して継続している。
このテレビ局はプロ意識が高いようだ。
単に視聴率を優先して暴走しているだけの可能性もあるが。
『えいっ♪』
『うわっ!』
そんな感じで盛り上がっていた二人の攻防ではあるが、決着は一瞬で付いた。
ぼたんがコートをエルに被せるようにして投げて、素早くエルの背後に回る。
そして、エルを押し倒して、自由を奪ってしまった。
エルはもともと剣より弓の方が得意だ。
ライトセ○バーしかなく、近距離の戦いを強いられた状況では、当然の結果と言える。
周囲に植物が無いことも、エルに不利になったようだ。
植物を急成長させて、その隙に逃げ出すという方法も使えない。
『ぷぎーっ♪ お楽しみターイム♪』
『や、やめ――』
ぼたんが、うきうきした様子でエルの服を剥いていく。
艶めかしく肩が見えたところで、再び周囲から拍手が沸き起こる。
しかし、誰も助けようとしないな。
やはり、出し物と思われているようだ。
攻防とは言っても大怪我をするようなものではなかったし、ぼたんもエルも店で売っているグッズのような姿になっている。
販売促進の出し物と思われても否定はできない。
とはいえ、ぼたんに続いてエルまで全裸になったら、イベント会場に出入り禁止にされそうだ。
そろそろ、なんとかしないといけない。
「もしもし、吾輩だが……」
会場にいるアルバイト要員に電話をかけて、事態の鎮静化を図ることにした。
テレビの中では、エルがぼたんと対峙して、大声を張り上げている。
そういえば、エルはその場にいるのだから、何も反応しないわけがなかった。
『ぷぎーっ! 私は君と違って、父様以外の人間にいやらしい姿を見せたくないの!』
『ボクだって見せたくないよ!』
『そんな写真集を出しているのに?』
『うっ! こ、これは売り上げに貢献するために……』
ちなみに、今日のぼたんは全裸ではない。
毛皮のコートを羽織っている。
街中を全裸で歩いていては捕まってしまうので、服を身に着けているのだろう。
ただし、前が開いたコートから見える中身は、何も着けているようには見えない。
はっきり言って、全裸よりも変態度が上なのだが、あれはよいのだろうか。
イベント会場に入れたようなので、コスプレだとでも思われたのかも知れない。
なにはともあれ、今のぼたんモザイクを入れなくても放送できる状態だ。
そのためか、エルとぼたんの舌戦が生中継されている。
出し物のような扱いをされているようだ。
『大体! メスブタは普段からいやらしい格好をしているじゃないか! 今さら何を言っているのさ!』
エルは自分の写真集のことは棚に置いておいて、ぼたんの格好を指摘することにしたようだ。
しかし、ぼたんは余裕の表情を崩さない。
『いつもは周りに豚しかいないからいいの! 豚のみんなは普段から全裸だからいやらしくないの!』
ぼたんの判断基準だと、そういうことになるらしい。
ぼたんが婿候補として攫った男達もいるはずなのだが、彼らは豚枠なのだろうか。
あと、世界樹のところにいるときは、いつもモザイク入りでテレビ中継されているのだが、それはいいのだろうか。
テレビ局側が許可を取って撮影しているとは思えないので、本人は知らないのかも知れない。
どちらにしろ、ひとつだけ言えることがある。
今の格好も充分いやらしい。
というか、全裸にコートは変態っぽい。
「教授! 早くなんとかした方がよくないですか?」
「しかし、エルがあの様子では、抱き枕をぼたんに渡せという指示に従ってくれるかどうか……」
一緒にテレビを見ている我が助手が、状況の解決を要求してくる。
それに対して、吾輩は迷う。
むろん、吾輩もなんとかした方がよいとは思う。
しかし、先ほどまでとは状況が変わった。
エルが素直に指示に従ってくれるとは思えないのだ。
下手な指示を出せば、逆に場を混乱させてしまう可能性がある。
「……いっそ、出し物ということにして、客寄せに利用した方が――」
「教授!」
「――というのは冗談だ」
冗談というか、ふと欲が出ただけなのだが、正直に言うと我が助手に怒られそうなので誤魔化す。
そんなことをしている間にも、テレビの中の状況は変化している。
『ほら、これを』
『ありがとう、みーちゃん』
道子がライトセ○バーをエルに渡している。
イベント会場に本物の剣や弓は持ち込めなかったらしくエルは手ぶらだったので、気を利かせたのだろう。
だが、この状況で武器を手渡すとは、余計な気の利かせ方だ。
もっとも、武器と言ってもライトセ○バーなので、道子も出し物だと認識しているのかも知れない。
『てやーっ!』
『ぷぎーっ! 甘いっ!』
ライトセ○バーを手にしたエルが、ぼたんに切りかかる。
しかし、ぼたんは着ていたコートを素早く脱ぐと、それを赤い布代わりにして、まるで闘牛士のように華麗にエルの攻撃を避ける。
二人の攻防に、周囲で見ていた野次馬達から拍手が沸き起こる。
「……盛り上がってるな。このままでよいのではないか?」
「そんなわけないでしょう! ぼたん、全裸になっちゃいましたよ!」
「うむ。その通りなのだが……上手く胸と股が映らないようにしているな。見事なものだ」
「そこは感心するところじゃありません!」
我が助手はそう言うが、絶妙なカメラワークなのだ。
一歩間違えば放送事故になるところを、生中継を中断することなく、テクニックを駆使して継続している。
このテレビ局はプロ意識が高いようだ。
単に視聴率を優先して暴走しているだけの可能性もあるが。
『えいっ♪』
『うわっ!』
そんな感じで盛り上がっていた二人の攻防ではあるが、決着は一瞬で付いた。
ぼたんがコートをエルに被せるようにして投げて、素早くエルの背後に回る。
そして、エルを押し倒して、自由を奪ってしまった。
エルはもともと剣より弓の方が得意だ。
ライトセ○バーしかなく、近距離の戦いを強いられた状況では、当然の結果と言える。
周囲に植物が無いことも、エルに不利になったようだ。
植物を急成長させて、その隙に逃げ出すという方法も使えない。
『ぷぎーっ♪ お楽しみターイム♪』
『や、やめ――』
ぼたんが、うきうきした様子でエルの服を剥いていく。
艶めかしく肩が見えたところで、再び周囲から拍手が沸き起こる。
しかし、誰も助けようとしないな。
やはり、出し物と思われているようだ。
攻防とは言っても大怪我をするようなものではなかったし、ぼたんもエルも店で売っているグッズのような姿になっている。
販売促進の出し物と思われても否定はできない。
とはいえ、ぼたんに続いてエルまで全裸になったら、イベント会場に出入り禁止にされそうだ。
そろそろ、なんとかしないといけない。
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会場にいるアルバイト要員に電話をかけて、事態の鎮静化を図ることにした。
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