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先輩は私の一つ上の学年でした。
先輩と私が同室の生活は二年続きました。
高校は三年間です。
先輩は私より一年早く卒業しました。
私は三年生になりました。
先輩が創った赤百合の会は私が引き継ぎました。
活動は私と先輩と行っていた日課です。
それを私が赤百合の会のメンバーに行なっています。
「お姉さまぁ、もっと吸っていただいて大丈夫ですぅ」
「ありがとう。なら、もうちょっとだけ吸わせてもらうわね」
「はい――ああっ!」
「んっ」
先輩の評判に傷をつけるわけにはいきません。
先輩が卒業したとしても先輩が赤百合の会を創ったという事実はなくなりません。
だから私は赤百合の会のメンバーに丁寧に接しています。
それに――
「きたわよ~。私も混ぜて~」
先輩は今もこうしてやってくるからです。
毎日ではありません。
でも週末は必ずやってきます。
平日もたまにやってきます。
入学後かなり経ってから知ったことがあります。
私の入学した高校は上流階級のお嬢様達が通う高校らしいです。
具体的には知りませんが授業料も普通の高校より高いそうです。
そんな高校に入学させてくれた両親はかなり奮発してくれたと思います。
そんな高い授業料を払ってもお嬢様達が通うには理由があります。
お嬢様の親達が通わせるには理由があります。
それはここが鳥を閉じ込める籠だということです。
お嬢様達を籠の中の鳥にできるということです。
上流階級のお嬢様達には許婚がいることがあります。
上流階級のお嬢様達には貞節が求められます。
許婚以外の異性と深い仲になるなんてもってのほかです。
学生時代のクラスメイトだって例外じゃありません。
そういう観点でこの高校はお嬢様の貞節を守るのに最適です。
貞節を強制的に守らせるのに最適です。
女子高で学内に異性はいません。
山奥で学外から異性がくることもありません。
それどころかここはスマホの電波も通じません。
だからインターネットをすることもできません。
寮にはテレビもありません。
だからちょっとエッチな深夜番組を見ることもできません。
籠の中に入ってしまえば外部との連絡手段は有線の電話だけです。
その電話でかけることができるのは家族に対してだけです。
そんな状況ですから電話の内容が盗聴されていても不思議ではありません。
だから会話の内容も限られます。
つまりこの学校の生徒は性的な情報を入手することができません。
性的な知識を身に付けることができません。
知らないことはできない。
知らないことはしようと思いつくことができない。
お嬢様達の貞節を守るにはこれ以上の環境はありません。
ですが抜け道もあります。
それはエスカレーター式で入学する生徒とは違う外部から入学してくる生徒の存在です。
その生徒達は性的な知識を持っています。
入学当初に先輩が私に共学の様子を聞き違ったのもそういった理由だったのでしょう。
お嬢様達は抜け道を使って性的な知識を手に入れます。
ですが異性がいない環境では異性とその知識を実践することはできません。
けれどそれにも抜け道があります。
異性がいないなら同性とすればいいのです。
入学当初に私は先輩に連れられて女子生徒が女子生徒に告白する場面を目撃しました。
それは異性との行為に憧れた女子生徒達の代償行為だったのでしょう。
ですがそんなことをして学校側に気付かれないのでしょうか。
おそらく気付かれているのだと思います。
気付かれていて見逃されているのだと思います。
それが健全な男女交際すら許されない生徒達に対する同情が理由なのか他の理由なのかはわかりません。
ですが同性同士の行為が見逃されているのは確かです。
そうでなければ大人数になり過ぎた赤百合の会が罰せられない理由がありません。
廊下にまで響く声を上げていて注意されない理由がありません。
でも理由には興味はありません。
重要なのは赤百合の会が存続できて私の目的に役立つかどうかです。
「先輩、お仕事は順調ですか?」
「まずまずね。特に赤百合の会の出身者は評判がいいわ」
高校を卒業した先輩は大学には行きませんでした。
それ自体は珍しくありません。
高校卒業と同時に結婚する人が多いからです。
でも先輩は違いました。
自分で会社を創ったのです。
さすがは赤百合の会の創設者です。
行動力が凄いです。
先輩が創ったのは上流階級専門の結婚相談所のようなことをする会社です。
「床上手の処女って男の人に喜ばれるみたいで、謝礼金も気前がいいわ」
「先輩、下品ですよ」
先輩の話は生々しいです。
籠から解き放たれた鳥のように自由気ままに行動しています。
先輩にも許婚がいるらしいのですが仕事を理由に結婚を先延ばししているそうです。
結婚するまでの間の束の間の自由を満喫しているのでしょうか。
先輩と私が同室の生活は二年続きました。
高校は三年間です。
先輩は私より一年早く卒業しました。
私は三年生になりました。
先輩が創った赤百合の会は私が引き継ぎました。
活動は私と先輩と行っていた日課です。
それを私が赤百合の会のメンバーに行なっています。
「お姉さまぁ、もっと吸っていただいて大丈夫ですぅ」
「ありがとう。なら、もうちょっとだけ吸わせてもらうわね」
「はい――ああっ!」
「んっ」
先輩の評判に傷をつけるわけにはいきません。
先輩が卒業したとしても先輩が赤百合の会を創ったという事実はなくなりません。
だから私は赤百合の会のメンバーに丁寧に接しています。
それに――
「きたわよ~。私も混ぜて~」
先輩は今もこうしてやってくるからです。
毎日ではありません。
でも週末は必ずやってきます。
平日もたまにやってきます。
入学後かなり経ってから知ったことがあります。
私の入学した高校は上流階級のお嬢様達が通う高校らしいです。
具体的には知りませんが授業料も普通の高校より高いそうです。
そんな高校に入学させてくれた両親はかなり奮発してくれたと思います。
そんな高い授業料を払ってもお嬢様達が通うには理由があります。
お嬢様の親達が通わせるには理由があります。
それはここが鳥を閉じ込める籠だということです。
お嬢様達を籠の中の鳥にできるということです。
上流階級のお嬢様達には許婚がいることがあります。
上流階級のお嬢様達には貞節が求められます。
許婚以外の異性と深い仲になるなんてもってのほかです。
学生時代のクラスメイトだって例外じゃありません。
そういう観点でこの高校はお嬢様の貞節を守るのに最適です。
貞節を強制的に守らせるのに最適です。
女子高で学内に異性はいません。
山奥で学外から異性がくることもありません。
それどころかここはスマホの電波も通じません。
だからインターネットをすることもできません。
寮にはテレビもありません。
だからちょっとエッチな深夜番組を見ることもできません。
籠の中に入ってしまえば外部との連絡手段は有線の電話だけです。
その電話でかけることができるのは家族に対してだけです。
そんな状況ですから電話の内容が盗聴されていても不思議ではありません。
だから会話の内容も限られます。
つまりこの学校の生徒は性的な情報を入手することができません。
性的な知識を身に付けることができません。
知らないことはできない。
知らないことはしようと思いつくことができない。
お嬢様達の貞節を守るにはこれ以上の環境はありません。
ですが抜け道もあります。
それはエスカレーター式で入学する生徒とは違う外部から入学してくる生徒の存在です。
その生徒達は性的な知識を持っています。
入学当初に先輩が私に共学の様子を聞き違ったのもそういった理由だったのでしょう。
お嬢様達は抜け道を使って性的な知識を手に入れます。
ですが異性がいない環境では異性とその知識を実践することはできません。
けれどそれにも抜け道があります。
異性がいないなら同性とすればいいのです。
入学当初に私は先輩に連れられて女子生徒が女子生徒に告白する場面を目撃しました。
それは異性との行為に憧れた女子生徒達の代償行為だったのでしょう。
ですがそんなことをして学校側に気付かれないのでしょうか。
おそらく気付かれているのだと思います。
気付かれていて見逃されているのだと思います。
それが健全な男女交際すら許されない生徒達に対する同情が理由なのか他の理由なのかはわかりません。
ですが同性同士の行為が見逃されているのは確かです。
そうでなければ大人数になり過ぎた赤百合の会が罰せられない理由がありません。
廊下にまで響く声を上げていて注意されない理由がありません。
でも理由には興味はありません。
重要なのは赤百合の会が存続できて私の目的に役立つかどうかです。
「先輩、お仕事は順調ですか?」
「まずまずね。特に赤百合の会の出身者は評判がいいわ」
高校を卒業した先輩は大学には行きませんでした。
それ自体は珍しくありません。
高校卒業と同時に結婚する人が多いからです。
でも先輩は違いました。
自分で会社を創ったのです。
さすがは赤百合の会の創設者です。
行動力が凄いです。
先輩が創ったのは上流階級専門の結婚相談所のようなことをする会社です。
「床上手の処女って男の人に喜ばれるみたいで、謝礼金も気前がいいわ」
「先輩、下品ですよ」
先輩の話は生々しいです。
籠から解き放たれた鳥のように自由気ままに行動しています。
先輩にも許婚がいるらしいのですが仕事を理由に結婚を先延ばししているそうです。
結婚するまでの間の束の間の自由を満喫しているのでしょうか。
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