リリスな誘惑

ひお

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「おいで」

ベッドの上で、オリバーが手を伸ばす。

バスローブを着ただけの心もとない格好に、弓月は僅かに逡巡した。

あの日。

オリバーと出会ったあの日は逆に自分がベッドに彼を押し倒したのに、今はなんだか不安で仕方ない。

舞台の上では大胆になれるのに、現実ではこんなにも弱い。


さっき、ファーストキスを知ったばかり。なのに今、もうベッドを共にしようとしているなんてあまりに展開が早すぎる。弓月の頭の中はぐるぐるしたまんまで、動揺を隠すので精一杯。

あのままなし崩しに「食べられる」のかと思ったけれど、オリバーはやっぱり紳士で。

同い年のはずなのに、どうしてこうも経験値が違うのか。弓月はなんだか悔しい気持ちにもなったけれど同時に、彼が我慢の効く男でよかったとも思う。

「スーツ、引取りに来てくれるから着替えてしまおう」

少し切羽詰まった風ではあったけれど、そう言ってブレイクタイムをとってくれた。

オリバーが先にシャワーを済ませたけれど、弓月はわざと湯船に湯を張って時間を引き伸ばした。

だって、どうしたらいいのかわからない。

どんな顔をしてオリバーに向き合えばいいのか。

さっきこの人を愛そうと心に決めたはずだ。でも、その先何をするのか、どうなるのか、知識では知っていても実際は知らない。

(え……もしかしなくても俺抱かれる方……だよね……?どうしよ、なにか準備したほうがいい!?いやでもまさかこんなことになるなんて考えてなかったし……いやいや考えてないわけじゃなかったけどでも……!)

そんなことをとめどなく考えていて、うっかりのぼせかけた。

香井弓月、花も盛りの男子高校生でありながら恋愛の経験が全くと言っていいほど無いことを、これほど悔いたことはなかった。


不安と迷いに苛まれながらなんとかバスルームを出て向かったベッドルーム。

リラックスした風にベッドでスマホをいじるバスローブ姿のオリバーを見た時には、文字通り頭の中が無になってしまった。


そして、冒頭に至る。


「ゆっくりできた?」

「あ……うん」

手を引かれ、オリバーの隣に座る。壊れ物でも扱うようにそっと腰を抱かれ、一気に気恥ずかしさが襲ってきた。

「いい匂い…….バスソルト使ったのかな。なんの香り?ローズ?」

乾かしたばかりの髪に鼻を埋め、すんすんと嗅がれる。体を清めたばかりだけれど、自分の身体の匂いを嗅がれるのは、なんだか気恥ずかしくてたまらない。

「……ゼラニウムって、書いてた……」

「へえ……いいねこれ。こっちにきてからお風呂に湯を溜めることも多いし、買って帰ろうかな」

風呂上がりの弓月はいつもより少し体温があがっている。オリバーはそんな弓月を改めて抱きしめ、唇の横にキスをおとした。

「もしかして緊張してる?」

「そ、んなことは……っ」

「ほんとに?」

続けて、こめかみから目尻に。視線で促されると、嘘なんかつけなくなってしまう。

「だ、って、俺、」

「うん」

「恋人、いたことないし、」

「そうなんだ、じゃあ俺が全部初めてってことかな」

「……」

情けないだろうか。でも、そんな余裕も無かったのはその通りだし。

女性の役を演じているうちに、女性を恋愛対象と見れなくなってしまった?たんに恋愛に興味がなかっただけ?

よくわからない。自分がこんなにおかしな形をした人間だなんて思いもしなくて、弓月は泣きたくなった。

「きっと俺のために特別を残しておいてくれたんだね。……こっちを見て」

誘われるように顔をあげれば、そのまま掬いあげられるようにキスをされる。

「大事に抱くから、全部……俺に委ねて」


気がついた時にはバスローブは脱がされ、ベッドに仰向けにされていた。

もう何度も重ねた口付けは深さをまし、互いの舌が絡み合う水音が耳をなぶっていく。

ボディラインを確かめるように肌を撫でられ、肌が粟立った。ぞくぞくとした言いようのない感覚に戸惑い、無意識にオリバーの手を追う。

「弓月の肌は吸い付くような手触りだね。すごく気持ちいい。ずっと触っていたいな」

普段からしっかりトレーニングをしているから、身体ができている。とはいえ女性的な雰囲気も無くすわけにいかないからと、食事に気を使ったり、セルフマッサージ、ストレッチと、ボディメイクもかかしていない。つまりは努力の賜物だ。

「……ここ、控えめでとても可愛いね。触った感じはどう?」

オリバーの指が、弓月の胸の突端に止まる。

今まで意識したこともなかった場所を指先で転がされたものの、そこまで妙な感覚はなかった。

強いて言えば、少しくすぐったいくらい。それを素直に言うと、オリバーは楽しそうに笑って、弓月の乳首に舌を這わせた。

「開発しがいがあるね。……今に身悶えするくらい感じるようにしてあげる」

そのまま、舐めたり、吸ったり。時折そっと甘噛みされたりしているうちに、皮膚の薄いその場所は硬さをもち、ぽっちりと立ち上がってきた。

同時に、弓月の反応にも変化が現れる。

(や、なんで……っ)

ぴりぴりした電流が身体の中の細い芯を走り抜けていくような感覚。それは下半身に結びついて、気がつくと弓月の若い性器はゆるりと頭をもたげていた。

(それに、どうして……っ、なんでこんなに切ない気持ちになるの……!)

なんだか無性に泣きたくなって、弓月は思わず顔を背ける。

「弓月、俺から目をそらさないで。……可愛い身体だね、敏感ですごく感じやすい。嬉しいな、弓月の初めてを全部俺が貰えるんだ 」

優しく何度も唇を吸われ、頭がぼんやりした。瞳を真っ直ぐに覗き込んでこられると、心の奥底まで見透かされているような気分だった。

「ほら、こっちも素直だ」

「っあ……!?」

ふいに兆し始めていた性器を握り込まれ、弓月はびくっと身体を跳ねさせた。

「弓月はどこもかしこも綺麗だね。ここも」

「は、あっ、ん……!」

小さい訳では無いけれど、特別立派なわけでもない。オリバーがゆっくりと手を動かすうちにしっかり立ち上がったそれは、切れ口から透明な蜜を零しはじめた。

でも、されっぱなしは気に入らない。こんな時でも持ち前の負けん気が頭をもたげてきた弓月は、思い切ってオリバーのバスローブに手を滑り込ませた。が。

「……あの……」

「うん?」

「まって……ええ……?」

体格の差はもちろんあるだろう。けれど、ちょっとこれは……

「あの……おおきく……ないですか……」

「そう?まあ、俺の方が身体大きいし」

「……」

弓月は戸惑った。

そりゃ、オリバーは身長があるし。トレーニングもしっかりやっているから、筋肉だってちゃんとついてる。当然、人種だって違う。だからこんなに差があるのだろうか。

いやそれにしたって…

「……あの……大変失礼ですが女性経験はいかほどで……?」

「うん?ガールフレンドの数かい?……数えたことないなあ。でもみんな素敵な女性だったよ」

「………」

なんだろうこのとんでもない敗北感は。弓月は手の中のそれをにぎにぎした。

オリバーのものは、太さと長さがあるけれど、少し柔らかい。自分も時々処理はするけれど、自分のものとは全然違う感触だった。

「……気持ちいいな。弓月とこういうことができる日がくるなんて夢みたいだ。……ところで、日本人のペニスは伸張率がすごいっていうよね。弓月はマックスになったらどのくらい?」

「え?ひゃ……っ!あ、あ、あ」

手慣れた手つきで扱きあげられ、若い身体はすぐに追い上げられてしまう。他人に触られると、自分の身体なのに思うようにならない。

「弓月、一緒に」

オリバーのものと、弓月のものと、重ね合わせて二人の手で包む。すっかり立ち上がった性器を一緒に擦り快楽を貪る姿はひどく倒錯的で、弓月は喘ぐことしか出来なかった。

色々なことが一気に起こりすぎて、頭が不安と混乱と快感でぐちゃぐちゃで、思わず1粒、涙が落ちる。

「まって、だめ、俺……もう……っ」

「ん、OK、いいよ…俺も……」

珍しく切羽詰まった声色のオリバーにふと目を開けると、そこにはまるで肉食獣のような目をした彼の姿。それが、弓月のど真ん中にハマった。

「イッ……、ぁああ……っ!!!」

二度、三度と精液を吐き出し、緊張した四肢が弛緩する。最後の一滴まで絞り出すように扱かれたけれど、頭が溶けるような感覚は初めてだった。

少ししたあとで、腹の上に熱い何かが落ちる。ああ、オリバーもイッたのかと思うと、なんだかふわふわした気持ちが湧き上がってきた。

「……オリバー……」

玉のような汗が浮いた頬を両手で包み、自分の方へ引き寄せる。

オリバーは弓月のその行動にぱっと表情を綻ばせると、素直に弓月の肩口に頭を寄せた。

金色の髪の毛が鼻や口元をかすめて、くすぐったい。弓月はくすくすと笑い、彼の頬に唇で触れた。

恋人に甘えられるのって、こんなに嬉しいんだ。これも、初めて知ったこと。

「……弓月はさ、トップとボトム、どっちがいい?俺は弓月が望むならボトムでもいいけど……出来るなら俺の手で、弓月を大事に可愛がりたいな」

「……?」

トップとボトム。上と下?弓月はぽやんとした頭で考えた。

「ええと……抱く側か、抱かれる側かってことだよ」

「!」

英語だったから気が付かなかった。そうか、男同士だから、そういうのがあるんだった。

つい自分が抱かれる側なのかなとか思い込んでいたけれど、そうか、オリバーは選ばせてくれるつもりなのか。

とはいえ弓月は女性経験が無い。女性経験どころか誰かと性的な接触をするのも初めてだ。男性同士で性行為をすることもあるとは知識としては知ってはいたものの、そっちも詳しくは知らない。だからどう答えたらいいものか。

でもいくら考えても、自分が人を抱く姿が想像できない。女性相手だろうと、男性相手だろうと。

でも、頭を撫でられたり、抱き寄せられたり、そういうのはなんとなく好き。

答えに仇してオリバーをちらりと見上げると、オリバーはにこりと笑って、弓月の足を片方持ち上げた。

「……男同士の場合、ここ、使うけどね」

「ひゃっ!!」

光量は抑えられているけれど、それでもまだ明るい室内。オリバーの目の前に恥ずかしい場所が晒し出され、弓月は真っ赤になって慌てて手でその場所を隠した。

「隠さないで全部見せて?……ほら、すごく可愛い。小さな蕾が震えてるみたい」

「やだ……そんなとこ見ないで……」

「俺も弓月も、もっと恥ずかしい姿を見せ合うんだよ。俺は弓月の全部を見たい」

ね、どっちがいい?

優しく聞かれ、弓月は再び頭の中が真っ白になった。

「……ぼ……ボトムで……」

「ほんとに?大丈夫?」

「……だって俺、経験ないし……」

いくらオリバーを愛していても、そもそも自分が誰かを抱けるのか、オリバーをそういう意味でどうこうできるのか、まったくわからない。

女性相手の触れ合いすらしたことがないのに、男性相手なんてなおさら。

「経験ってことなら、今から積むこともできると思うけど……相手は俺になるけど」

「……いやあの……正直、自分が人を抱く姿が想像出来なくて……」

「……」

そこまで言って、急に情けなさが膨れ上がる。

それは、生物の雄としてどうなんだ。普通の男子高校生ならきっと、女性に興味を持って女性をなんとかものにしたくて、その為に色々心を砕くんだろうけれど……弓月にはそれが無かったから。

「…オリバー……?」

沈黙したオリバーに、まずい回答だったかなと不安になる。

けれど恐る恐る彼を見ると、オリバーは心底嬉しそうな表情を浮かべていた。

どうしてそんな顔をしているのか、弓月にはわからない。けれど、オリバーが喜んでいることはよくわかった。

「わかった。じゃあ……俺が大事に抱かせてもらうね」

言うなりいきなり体勢を入れ替えられ、彼と向かい合わせになるように座らされる。

「今日は最後までしないけど…」

そう告げられ、ほっとしたのもつかの間。

「ひんっ?!」

弓月の尻のあわいを、何かが擦り上げた。

見なくてもわかる。これはオリバーの逸物だ。

「いつか弓月のここに俺のを入れるから……俺の形、覚えておいてね」

そう言って、二度、三度と擦るように動く。

ペニスの凹凸が弓月の小さな蕾を擦り、時々入口に引っかかるのがはっきりわかった。

「っ、んっ、あっ、そんな、こんなにおっきいの、入らな………っ」

「入るよ。時間をかけてじっくり丁寧に慣らそうね。初めてでも気持ちよくなれるようにするから……」

弓月の前を扱きつつ、後ろを優しく擦り続ける。

くすぐったさと、気持ちよさと、羞恥と。色々なものがないまぜになって、弓月はオリバーにしがみついたまま二度目の頂点に至ろうとしていた。

「も、いく……また………っ!」

「いいよ、……出してごらん」

激しくなる手の動き。尿道を絞るように扱かれ、敏感なくびれをこね回され、先端から溢れる蜜を塗りこめられ……その快感に抗うことが出来ず、弓月はほどなく2回目の絶頂を迎えた。



***


やってしまった。

弓月は得意のポーカーフェイスで動揺を必死に押し殺していた。

昨日は思いのほか盛り上がってしまった。

二回イカされて、なんとなくくやしくて自分からも彼にしかけて。そしてやり返されて、何度となく欲に溺れてしまった自覚がある。

夜はダメだ。どうも感情的になってしまって、情緒の制御がきかなくなる。さらにオリバーにのせられて、いいように好き勝手されて、色んなものがボロボロ、もう猫をかぶるどころの話じゃない。

そして今、我に返って思う。自分はなにをやらかしたのかと。

というか、キスもエッチも初めてだった。そりゃあさすがに最後まではしなかったけれども。恥ずかしいことも山ほど口走った気がする。気がするというのは、正直、一連のことをあまり覚えていないからだ。

ただ気持ちよくて、恥ずかしくて、頭がクラクラしていたから。

(……だって……あんなの反則……)

断片的に残っている記憶をたぐり、思い返す。

オリバーはひたすら優しかった。

覚束無い弓月をリードし、快楽の甘さを、愛される充足感を徹底的に教えこんで。

(余韻がやばい……これ、最後までしたらどうなっちゃうの)

少し記憶を辿るだけで、肌が粟立つ。ゾクゾクした甘い痺れが体の芯から湧き上がって、また変になってしまいそうで考えるのをやめた。

隣には、まだ起きる気配のないオリバー。彼の顔をまじまじと観察する。

昨日はあんなに雄っぽく弓月を振り回したのに、今はそんな様子はこれっぽっちも感じさせない。

普段すましているときは本当に美男子という印象なのに、実際彼と関わってみると良い意味で感情の起伏が大きくて、人懐っこい。

(……綺麗。キラキラしてる)

光の透ける金色の髪。ながいまつ毛に縁取られた双眸。すっと通った鼻梁は元々はっきりした顔立ちをますます華やかにしていて、賢さと聡明さが表情に滲み出ているような気さえする。

(どうしてこんな人が、俺を好きになっちゃったんだろう)

オリバーは弓月を美しいというけれど、外見の美しさであればオリバーだって誰にも引けを取らないだろうに。

少なくとも、オリバーと並んだら、クラスメイトの男子達は大体じゃがいもかかぼちゃかさつまいも。みんなそこそこハイソな出身のはずが、見劣りしてしまう。

(ていうかそっか。俺、オリバーと恋人同士なんだ)

事実がストンと胸の中に落ちてくる。同時に、ひどく安堵している自分がいた。

自分を一番に愛してくれる人のいる心強さ。寂しい時に寄り添ってくれる人のいる温かさ。

誰かと、感情を、気持ちを分け合える幸せ。

そういうものが、ずっとずっと欲しかった。


「……そんなに見られたら照れちゃうな」

「!」

美術品でも見るかのようにぼんやり彼の顔を眺めていた弓月は、ふいに目覚めたオリバーにびくりと跳ね上がった。

完全に気が抜けていた。いや、いいのだけれど、ずっと人に対して気を張ってきた弓月にしたら、いきなり自分の緩い部分をさらけだすのはなかなかに難しいのだ。

「おはよう弓月、昨日は素敵だったよ」

「!!」

このイケメンが!!思わず叫びそうになって、すんでの所でとどまった。

オリバーの前では、素直に。

それは弓月が決めたこと。なにも肩肘はる必要もない。

「…おはよ……」

昨日出来たばかりの恋人の胸に、そっと額を預ける。なんだこれ恥ずかしい。そう思ったけれど、優しく頭を撫でられると、そんなことどうでもいいやという気持ちになった。

きっと今まで、一人で意地をはりすぎていたんだ。

他ではともかく、彼の前だけなら緩んでもいいのかもしれない。


「……せっかく軽井沢まで来たんだし、帰る前に観光でもどうかな?」

「……楽しそう、行きたい」

恋人になって、初めてのデート。

こんなにも幸せで甘酸っぱい気持ちを知らずにいたなんて、ちょっと勿体ないことをしていた。明らかに今、自分が浮かれているとわかる。

でもきっと、今日のことは何年経っても忘れないんだろう。この先何があっても、今この時、幸せなことは何も変わらないのだから。

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