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1.国王の独白~晴天の霹靂
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僕にはもうすぐ顔の知らない嫁がくる。なぜ顔を知らないかって?だって、彼女とは1度も会ったことがないから。
政略結婚って、そんなものだよね。
まずは簡単な自己紹介をしよう。僕は中央大陸の西の端にあるサイラス王国のアルディン・サイラス、24歳。生まれは王族、仕事は国王、趣味はおしのびの食べ歩き。特技は王族教育のおかげでたくさんある。一つあげるとすれば、剣術だ。
ちなみに、剣術はオーラを使えるソードマスターだ。王太子時代にある事件がきっかけでひどく落ち込んだ時期があった。事件を忘れるために連日昼夜を問わず剣術に励み、気付けば大陸全土で100人にも満たないソードマスタークラスになっていた。
サイラス王国は小さいけれど、国土の西側は海に面し、南には森林が広がる風光明媚な国だ。
国土の東は大陸の2大覇者の1つ、オルドネージュ帝国と国境を接している。この国境には険しい山々がいくつも連なり、王都アルカスから隣国オルドネージュの首都オーディンまで早駆け獣ラックルでも約2週間はかかる。
ちなみに通常の馬車で国境を越えようとすると、1ヶ月以上かかる。なぜなら山道は狭く、馬車が通れない箇所も多いからだ。馬車が通れなければ大きく迂回しながらの山越えとなるので、時間が非常にかかるのだ。
サイラスはこの険しい山々と海と森林に囲まれた立地のおかげで、中央大陸の2大覇者、西のオルドネージュ帝国と東のクライストン帝国の覇権争いに巻き込まれずに済んだ。
えっ、国境の山を超えるだけで1ヶ月もかかる国なんて、時間と兵力を費やしてまで手に入れたいとは思われなかっただけだって?うーん。そこは否定できない。
でも、中央大陸に数多あった弱小国家の中で、滅亡も属国化もせずに独立を保ったのはサイラス含めて3カ国だけだから。そこは国王として誇りに思う。
で、冒頭の嫁の話に戻ろうか。これがまたとんでもない嫁なんだ。あ、容姿がとんでもない訳ではない。たぶん。だって政略結婚だから顔を知らないし。
本来、国同士の婚姻が決まったら、婚約期間中に双方の姿絵を贈り合うのが礼儀だ。諸事情によっては婚約に至らないこともあるので、姿絵は正式に婚約が整ってから贈り合う。
ところで姿絵って本人の2割増しから10割増しの場合もあるらしい。10割増しって、もはや別人レベルだ。でも、僕たちには姿絵を送りあう物理的な時間すらない。
なぜなら僕たちの結婚は、ある日突然決まったからだ。まさに晴天の霹靂だった。相手国が一方的に通告してきたのだ。晩春の月になったらうちの長女がお前に嫁ぐから、よきに計らえって。ものすごい上から目線だ。ちなみに僕に拒否権はない。あちらの方がとんでもないほど格上だから。
その証拠に「サイラス王国との婚姻を結ぶ」ではなく「サイラス王国へ降嫁する」って表現を使われたからね。
国王の結婚は自国の国益優先でする国婚だ。伯爵家以上の上位貴族の令嬢で健康で世継ぎを産める年齢であれば、自分の好みは二の次だ。そして僕はサイラスのために、この結婚を受け入れる。嫁にくるのは正真正銘、大帝国の皇女様だから。
なぜそんな皇女様が、こんな西の果ての僻地の小国の、顔も知らない王国に嫁に来るのか。理由を考えるのは、怖いからあえてしない。僕なんかよりずっと、ずっと格上の皇女さま。ゆ、憂鬱だ。考えてはいけない。
僕は王妃となる女性を迎え入れるための準備のあれやこれやを想像して、ため息を吐いた。
政略結婚って、そんなものだよね。
まずは簡単な自己紹介をしよう。僕は中央大陸の西の端にあるサイラス王国のアルディン・サイラス、24歳。生まれは王族、仕事は国王、趣味はおしのびの食べ歩き。特技は王族教育のおかげでたくさんある。一つあげるとすれば、剣術だ。
ちなみに、剣術はオーラを使えるソードマスターだ。王太子時代にある事件がきっかけでひどく落ち込んだ時期があった。事件を忘れるために連日昼夜を問わず剣術に励み、気付けば大陸全土で100人にも満たないソードマスタークラスになっていた。
サイラス王国は小さいけれど、国土の西側は海に面し、南には森林が広がる風光明媚な国だ。
国土の東は大陸の2大覇者の1つ、オルドネージュ帝国と国境を接している。この国境には険しい山々がいくつも連なり、王都アルカスから隣国オルドネージュの首都オーディンまで早駆け獣ラックルでも約2週間はかかる。
ちなみに通常の馬車で国境を越えようとすると、1ヶ月以上かかる。なぜなら山道は狭く、馬車が通れない箇所も多いからだ。馬車が通れなければ大きく迂回しながらの山越えとなるので、時間が非常にかかるのだ。
サイラスはこの険しい山々と海と森林に囲まれた立地のおかげで、中央大陸の2大覇者、西のオルドネージュ帝国と東のクライストン帝国の覇権争いに巻き込まれずに済んだ。
えっ、国境の山を超えるだけで1ヶ月もかかる国なんて、時間と兵力を費やしてまで手に入れたいとは思われなかっただけだって?うーん。そこは否定できない。
でも、中央大陸に数多あった弱小国家の中で、滅亡も属国化もせずに独立を保ったのはサイラス含めて3カ国だけだから。そこは国王として誇りに思う。
で、冒頭の嫁の話に戻ろうか。これがまたとんでもない嫁なんだ。あ、容姿がとんでもない訳ではない。たぶん。だって政略結婚だから顔を知らないし。
本来、国同士の婚姻が決まったら、婚約期間中に双方の姿絵を贈り合うのが礼儀だ。諸事情によっては婚約に至らないこともあるので、姿絵は正式に婚約が整ってから贈り合う。
ところで姿絵って本人の2割増しから10割増しの場合もあるらしい。10割増しって、もはや別人レベルだ。でも、僕たちには姿絵を送りあう物理的な時間すらない。
なぜなら僕たちの結婚は、ある日突然決まったからだ。まさに晴天の霹靂だった。相手国が一方的に通告してきたのだ。晩春の月になったらうちの長女がお前に嫁ぐから、よきに計らえって。ものすごい上から目線だ。ちなみに僕に拒否権はない。あちらの方がとんでもないほど格上だから。
その証拠に「サイラス王国との婚姻を結ぶ」ではなく「サイラス王国へ降嫁する」って表現を使われたからね。
国王の結婚は自国の国益優先でする国婚だ。伯爵家以上の上位貴族の令嬢で健康で世継ぎを産める年齢であれば、自分の好みは二の次だ。そして僕はサイラスのために、この結婚を受け入れる。嫁にくるのは正真正銘、大帝国の皇女様だから。
なぜそんな皇女様が、こんな西の果ての僻地の小国の、顔も知らない王国に嫁に来るのか。理由を考えるのは、怖いからあえてしない。僕なんかよりずっと、ずっと格上の皇女さま。ゆ、憂鬱だ。考えてはいけない。
僕は王妃となる女性を迎え入れるための準備のあれやこれやを想像して、ため息を吐いた。
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