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仕事を終えて外に出ると、思わぬ寒さに身震いした。思えばこの一ヶ月ほどの間、季節を感じる余裕なんてなかった。風が冷たいとか月がキレイとか、心にゆとりがないと気づけないんだな……。
帰る時はいつも疲れ切って、下向いてばかりだったもんな。ちゃんと顔を上げて、夜空の星やお日様を見るくらいの余裕はなきゃダメだ。
いつもよりゆっくり歩いて離れに戻るとちょうどダイニングでレイ坊ちゃまが晩ご飯を食べているところだった。
「あのう、このボールって坊ちゃまのですよね?」
ボールを手に話しかける。黙々とご飯を口へ運んでいた彼は、チラリとボールを見ると頷いた。やっぱりレイ坊ちゃまのだったんだ。
「このボールのお陰で、今日やっと凌空坊ちゃまと仲良くなれて、すごく助かりました。ありがとうございました」
まずはお礼から。
「でも、どうしてですか?」
訊きたいことはそれから。
「構うなって言ったクセに、どうしてまた助けてくれたんですか?」
今夜も反応は頗る鈍い。
「……別に」
「もう古いですよ、そんな返し」
古いって言ってるあたしが古いのか?
「助けたワケじゃない」
「じゃああのボールは何なんですか? まさか遊んでたワケじゃないでしょ?」
ボールだからってことじゃないけど、この人との会話はキャッチボールじゃなくて遠投。投げたら投げたっきりになっちゃう。
仮に偶然だったとしても、ボールのお陰で助かったことには変わりないし、それは素直にありがたいんだけど……。なんか釈然としない。お願いだからなんか喋ってよーって苛立ちそうになって、ふとイッセイ坊ちゃまの言葉を思い出した。
『アイツ、あんたに気があるのかも』
フッ。それだけは絶対あり得ないけど。思いながらも、シーンとしてるのがイヤで冗談交じりに訊いてみた。
「もしかして、あたしに気があるんですか?」
彼は手に取ろうとしていたコップを倒しお茶をこぼした。
「もう! 何やってるんですかー」
慌てて布巾を取りに走る。
「タイミング良すぎて、図星かと思いましたよー」
テーブルや床を拭きながら何の気なしに彼を見ると、「え」って顔された。
それに「えっ?」ってなった。ウソ!?
「まさか、ホントにあたしのこと?」
「……」
確認すると目を逸らされた。何、その子どもみたいな反応。バレバレじゃん!
「えーっと……気まずくなるのイヤなんで、とりあえず聞かなかったことにしますね」
困った時はそれが一番。聞かなかったことにする!
まあ、彼は黙って頷いただけだけどさ。そこ頷いちゃったらもうダメだよね。完全に認めちゃったも同然。
気まずくなるのイヤだって言ったけど、普通に気まずいわ。
「とにかく、ボールありがとうございました。暫く借りててもいいですか?」
頷いたのを確認してからボールを玄関に置きに行き、そのまま浴室へ行って、お風呂の用意をすることに。
はー。ヤダなぁ。
相手が誰であれ、好いてもらえるのはありがたいことだけど……。
なんか、とんでもないのに好かれちゃったなー。
浴槽を洗っていると、得体の知れない恐怖に襲われた。
なに!?
「はあぁぁぁ!」
辺りを見回したあたしは声にならない悲鳴を上げた。浴室のドアの隙間から、体のちょうど半分だけ覗かせてレイ坊ちゃまがこちらをじっと見ていた。
でも、あたしが見つけたのと同時にサッと消えてしまった。
こ、怖い! 怖すぎる!
家政婦が見たってのは知ってるけど、家政婦を見るなんてただの変態だからぁ!
今まで気づかなかっただけで、いつもあんな風に見られてたの?
バレたのをいいことにやり始めたの? ヤダー! どっちにしても怖いよぉ。
その夜はあまりの恐怖に、おちおち眠ることもできなかった。襖やカーテンや押入れ……ありとあらゆる隙間が怖くて仕方なかった。
とりあえず寝不足のまま起きて、仕事はしたけれど、その日は一日中頭も体も使い物にならなかった。
帰ったら文句言ってやる!って日中は意気込んでたけど、考えたら夜中のことは全部あたしの妄想で、実際に隙間から見られてたワケじゃない。
お風呂場でのことも、もしかしたらたまたまかもしれないし、事を荒立てるのはよそう。
ただの勘違いとして流そうとしたけれどそれから毎日のように視線を感じるようになった。
ゾクッとして振り返ると、ササッと消える。
だるまさんが転んだですか?
凌空坊ちゃまのことが上手くいきそうでホッとしていたのも束の間、あたしは新たな問題に直面した……。
「ねえ、みのり」
あれ以来、凌空坊ちゃまはあたしを『お前』呼ばわりしなくなった。
目上の人を呼び捨てにするのもどうかと思うけど、お前に比べたらかなりの前進だ。
「やくそく、わすれないでよ」
毎日のようにそう言って、幼稚園に行っている。指折り数えてって言葉があるけど、まさにそんな感じ。
ボール遊びするだけなのに、そこまで楽しみにしてくれるなんて申し訳ないくらい。
苦手だと思ってたけど、子どもって結構可愛いかも。自分の子どもならもっと可愛いのかな。
いつかはあたしも? 相手もいないし、今は全然ピンとこないけど。
「ねえ、ぼく、きょうはみのりのおうちでねてもいいよ」
土曜日の夜がやって来ると、帰り際、あたしの手を掴んで坊ちゃまが恥ずかしそうに言った。
「何言ってんだ、マセガキが」
そばにいたイッセイ坊ちゃまが、凌空坊ちゃまを抱き上げて言った。
「ねえ、いいでしょ? イッセイもおいでよ。3人でいっしょにねようよ」
「3人でって、いくらなんでもそんなことできるワケねえだろ。俺の部屋で寝ろよ」
「ヤダ! みのりのおうちがいい」
あんなに嫌われていたのが嘘のようだ。まあ、悪い気はしないね。
「うーん。じゃあお爺ちゃまに訊いてみましょう」
さすがに、旦那様の許可もなく連れ出すことはできない。
リビングにいた旦那様に訊ねると、申し訳ないと言いつつも快諾してもらえた。
「じゃあ行きましょうか。坊ちゃま」
「いいの? やったー」
こうしてると無邪気な幼稚園児だ。手を繋いで離れに向かう。
「ねえねえ、イッセイもくる?」
「さあ、どうでしょう」
さすがに、変だもんね。それこそオトナの事情って感じ?
「えー。いっしょにねて、いっしょにおきて、それでいっしょにあそびたいな」
パパとママと3人で寝てる気分を味わいたいのかなぁ。なんて考えると、切なくなる。
「ここがみのりのおうち? ちいさいね」
離れに入り、一階を軽く走って見て回ると坊ちゃまは言った。いやいや、決して小さくはないですよ。ごく一般的な、普通に立派な一軒家ですから。
「あたしとレイ坊ちゃましかいないからこれでも広いんですよ」
「みのりとレイはいっしょにすんでるの? どうして? けっこんしてるの?」
子どもの素朴な『なぜ』には時々困ってしまう。
「してないですよ。ただ、一緒に住んでるだけです」
「すきなの?」
「はい?」
「みのりはレイがすきなの?」
いや、向こうがねとも言えないしなぁ。
「あのーなんていうか」
答えに困っていたら、イッセイ坊ちゃまが凌空坊ちゃまの布団を抱えて現れた。
「この俺様がなんでこんな重労働を」
口ぶりは俺様だけど、いいとこあるじゃないか。
「ねえ、イッセイ。みのりとレイはいっしょにすんでるんだよ。でね、みのりはレイがすきなんだって」
「えっ!?」
あたしも驚いたけど、イッセイ坊ちゃまも驚いていた。
「マジかよ」
「ううん。言ってない、言ってない! そんなこと!」
言うワケないじゃん。好きじゃないのに。こんなややこしい状況の中、レイ坊ちゃまが二階から降りて来た。
「あー! レイだ! ねえ、みのりがね、レイのことすきなんだって」
なんちゅうことを!
「コラァ! そんなこと言ってないでしょー!」
怒って捕まえても、キャッキャッ言って笑ってる。よっぽど嬉しいのね。
「ねえねえ。4人でねようよ!」
名案が浮かんだと言わんばかりに、凌空坊ちゃまは目を輝かせながら言った。
「ヤダよ。4人でなんて」
暴君は口を尖らせ、貴公子は浴室に逃げようとしていた。
大人たちの素っ気ない態度に、凌空坊ちゃまはあからさまにがっがりしている。あたしだって4人でなんて寝たくないけど、ママがいなくて寂しい思いをしている坊ちゃまのためだもの。
「今日だけ我慢して下さい!」
両手を合わせて頼み込む。
「今日だけだぞ」
イッセイ坊ちゃまの言葉に、レイ坊ちゃまも静かに頷いた。
ワーイワーイって凌空坊ちゃまは漫画みたいに飛び跳ねて喜んだ。
この笑顔が見れるなら、多少のことは我慢しようって思えるから不思議。
「みのり、ぼく、イッセイ、レイのじゅんばんでねるんだって」
それが一番安全な配置。
「おい! ふざんけんなよ! なんで俺がこいつの横なんだよ! わざとかよ」
「え? じゃあイッセイ坊ちゃま、凌空坊ちゃま、あたし、レイ坊ちゃまならどうです?」
「お前、徹底的に俺を避ける気だな」
「だって、前科者ですし」
これを言うと結構な確率で黙る。
「ねえねえ『ぜんかもの』ってなに?」
あたしたちのやり取りを聞いていた凌空坊ちゃまが不思議そうに訊いた。
イッセイ坊ちゃまはバツの悪そうな顔で「お前にはまだ早えよ」と言った。
確かに、幼稚園児には説明できないね、あんなコト……。知りたくて不服そうにしている凌空坊ちゃまをイッセイ坊ちゃまは必死で誤魔化していた。プッ。ウケる。
「ぼく、こんなにいっぱいでねるのはじめて」
いつもならとっくに寝ている時間なのに凌空坊ちゃまは興奮しているのか、電気を消してもなかなか寝なかった。
少しの間、お喋りしていた凌空坊ちゃまに「早く寝ないと明日ボールで遊べなくなちゃいますよ」って言うと、すぐに眠りについた。
なんて素直でかわいいんだ。子どもの寝顔は天使だって言うけど、ホントだね。
小さな手を布団の中に入れ、あたしも眠りについた。
夜中に妙な感触がして目を覚ますと、レイ坊ちゃまがあたしの手を掴んでいた。
「何するんです?」
いやらしいことでもする気かと焦る。
「いや……あの」
言いにくそうに坊ちゃまが指をさす。
見ると、あたしに背を向けて寝ていたレイ坊ちゃまの背中に、あたしが絡みつい
ていた。
レイ坊ちゃまはそんなあたしを引き離そうとしていただけだった。
「ああ、ごめんなさい……」
カッコ悪……。っていうか、変態のわりに紳士なんだ。変態だから?
いかん、いかん。失礼だぞ。それからまた眠り、何事もなかったかのように朝を迎えた。
凌空坊ちゃまはこれでもかってぐらい張り切って、お庭を走り回っていた。
講師料高いぞ、とかなんとか言ってたイッセイ坊ちゃまも、なんだかんだ楽しんでるみたいだし、大成功かな?
お嬢様もお昼には戻るって言ってたし、ようやく坊ちゃまもママに会えるね。
お昼ご飯を食べて、少し遊んで、おやつを食べて……。もう夕方なのにお嬢様は帰らない。
あれ? 何かあったのかな?
「やっぱりママもかえってこないの?」
寂し気な声に、すぐには言葉が出なかった。
「お仕事が忙しいだけですよ。きっともうすぐ帰って来ますから」
分からないまま慰めを言った。
「パパもかえってこないし、ママもどっかいっちゃったのかな」
小さな胸に抱えている大きな不安に、胸が締め上げられた。
パパは海外出張、なんて嘘、とっくに気づいてたんだ。両親の不仲を一番肌で感じるのは子どもだもんね……。
「そんなことあるワケ……」
「でもいいよ。みのりがあそんでくれるから、ぼくがまんする」
何だかいじらしくて、堪らず凌空坊ちゃまを抱きしめた。
「大丈夫。ママは絶対帰って来るから。こんな可愛い子が待ってるのに、どっか行くワケないよ」
妻になってもママになっても、仕事をして頑張ってる女性はステキだと思う。そこまで情熱を傾けられる仕事があることを羨ましいとさえ思う。
だから、同じ女性としてお嬢様を応援したい気持ちはある。
でも、坊ちゃまのこんな悲しい姿を見てしまうと、内心は複雑で。
結局、お嬢様が帰って来たのは夕食の少し前だった。仕事が押して、乗るはずだった飛行機に間に合わなかったらしい。
「せめて電話の一本でも」の一言が言えなくて。雇われの身ってホントに弱い。逃げ道がない今は余計に……。
離れに帰るとどっと疲れが出て、ソファーに倒れ込んだ。
凌空坊ちゃま、大丈夫かなぁ。心配しつつ、そのまま寝落ちた。
パッと目が覚めたら朝の6時だった。ヤバい! 遅刻だ!
あ。今日休みもらったんだった。起き上がると、ソファーから毛布が落ちた。
あれ? なんで毛布?
首を傾げたのと同時に、ダイニングにいるレイ坊ちゃまが目に入った。
「あ、おはようございます。この毛布って坊ちゃまが?」
他にいないか。案の定、彼は黙って頷いた。
「ありがとうございます。坊ちゃまって実は優しいんですね」
お礼を言うと朝食の途中で席を立った。どんだけ分かりやすいんだ。
からかうなんてガキだけど、ちょっと面白いかも。
その日は一日中ダラダラして過ごした。
ゆっくりした分、また明日から頑張らなきゃ!
翌朝、凌空坊ちゃまは案外ケロッとしていて安心した。
昨日はママがいたからかな? やっぱりママの力は大きい。
仲良くなれて、言うこともちゃんと聞いてくれて、お世話は随分としやすくなった。
あんなに長くて憂鬱だった一週間もあっという間だと感じれるようになった。
流れている時間は同じなのに、精神的な影響って大きいな。
その週は、土日とも休みをもらえたのでそろそろこたつを買いに行くことに。一応、家は借りものだし、家具を増やす許可を左近さんにはもらっておいた。ウキウキしながら家具屋さんに行き、こたつ布団を選んでいる時だった。
「あ……」
カートを押したカップルがあたしの前で足を止めた。
「隼士……」とカオリちゃんだった。仲良く腕を組んでお買い物らしい。わざと見たワケじゃないけど、カートの中身が見えてしまった。寝具とか食器とか、生活に必要なものが色々と入っていた。
そっか。2人は一緒に暮らしてるんだ。ずっと考えないようにしてきた。
家政婦として働くことに必死なフリして誤魔化してきた。
あれから、隼士は一度も連絡を寄越さなかった。
『ごめん』の一言ぐらいあるんじゃないかって期待してたけど、驚くほど何もなかった。
もしかしたら『やっぱりお前の方がええわ』って言ってくれるかもしれないなんて、考えたりもした。日が経つにつれて虚しくなった。
隼士の中で、あたしはもう終わっていたんだ。
何の未練も迷いもなく、カオリちゃんとの関係も浮気じゃなく、寧ろあっちが本命であたしは邪魔なだけだった。
笑顔で2人の横を通り過ぎ、虚しさを埋めるみたいに色々買い込んだ。
こたつは配送をお願いして、それ以外のものは両手に抱えて帰った。手のひらが千切れそうに痛くて、涙が零れた。
ヤダヤダ。絶対泣くもんか。あんな奴のために、涙流すなんて勿体ない。息ができなくて、視界が霞む。
黒澤家の門を潜ると、急いで離れに向かった。
こんな顔、誰にも見られたくない。
「遅せーじゃねえかよ。いつまでこの俺を……え?」
それなのに、離れにはイッセイ坊ちゃまがいた。
なんで?
「お前泣いてんの?」
「泣いてません!」
鼻声で言った。どう考えても泣いてるけど。
「こたつでも売り切れてたか?」
坊ちゃまはあたしの涙を指で拭った。
「まあとりあえず荷物置けよ。袋千切れそうじゃねえか」
言いながら、あたしの手から袋を取って床に置いた。
「……柄にもなく、優しくしないで下さいよ。泣きそうなんですから」
「柄にもなくって何だよ。俺は紳士だって言ってんだろうが。大体、お前もう泣いてるし。何の強がりだよ」
言葉の後、急に抱き寄せられた。
え?
「お前さあ、なんでいっつも泣いてないって言うの? 初めて会った時もそうだったけど、泣きたきゃ泣けよ」
意外な対応に困惑する間もなく、あたしはイッセイ坊ちゃまの胸で泣いていた。
ホントはこうして誰かに縋りたかった。
甘えたかった。
泣きたかった。
だけど、今までこんな風に胸を貸して泣けよって言ってくれる人いなかった。
どちらかというと、自分が慰めてあげることの方が多かった。
強い自分が当たり前になっていた。
「坊ちゃまって結構いい人なんですね」
「なんだ、今頃気づいたのか。さては惚れたな、俺に」
「あ、それは大丈夫でーす」
「フンッ。かわいくねえ奴」
だからフラれたんだろうなって、今なら何となく分かる。
カオリちゃんはあたしにもよく甘えてたし、確かに可愛かった。
あたしがいなきゃって思わせてくれた。
きっと、そういうことなのよね?
フル○ンの暴君は意外に優しくて、意外に胸板が逞しくて、ずっと抱きしめていてほしいぐらいだった。
帰る時はいつも疲れ切って、下向いてばかりだったもんな。ちゃんと顔を上げて、夜空の星やお日様を見るくらいの余裕はなきゃダメだ。
いつもよりゆっくり歩いて離れに戻るとちょうどダイニングでレイ坊ちゃまが晩ご飯を食べているところだった。
「あのう、このボールって坊ちゃまのですよね?」
ボールを手に話しかける。黙々とご飯を口へ運んでいた彼は、チラリとボールを見ると頷いた。やっぱりレイ坊ちゃまのだったんだ。
「このボールのお陰で、今日やっと凌空坊ちゃまと仲良くなれて、すごく助かりました。ありがとうございました」
まずはお礼から。
「でも、どうしてですか?」
訊きたいことはそれから。
「構うなって言ったクセに、どうしてまた助けてくれたんですか?」
今夜も反応は頗る鈍い。
「……別に」
「もう古いですよ、そんな返し」
古いって言ってるあたしが古いのか?
「助けたワケじゃない」
「じゃああのボールは何なんですか? まさか遊んでたワケじゃないでしょ?」
ボールだからってことじゃないけど、この人との会話はキャッチボールじゃなくて遠投。投げたら投げたっきりになっちゃう。
仮に偶然だったとしても、ボールのお陰で助かったことには変わりないし、それは素直にありがたいんだけど……。なんか釈然としない。お願いだからなんか喋ってよーって苛立ちそうになって、ふとイッセイ坊ちゃまの言葉を思い出した。
『アイツ、あんたに気があるのかも』
フッ。それだけは絶対あり得ないけど。思いながらも、シーンとしてるのがイヤで冗談交じりに訊いてみた。
「もしかして、あたしに気があるんですか?」
彼は手に取ろうとしていたコップを倒しお茶をこぼした。
「もう! 何やってるんですかー」
慌てて布巾を取りに走る。
「タイミング良すぎて、図星かと思いましたよー」
テーブルや床を拭きながら何の気なしに彼を見ると、「え」って顔された。
それに「えっ?」ってなった。ウソ!?
「まさか、ホントにあたしのこと?」
「……」
確認すると目を逸らされた。何、その子どもみたいな反応。バレバレじゃん!
「えーっと……気まずくなるのイヤなんで、とりあえず聞かなかったことにしますね」
困った時はそれが一番。聞かなかったことにする!
まあ、彼は黙って頷いただけだけどさ。そこ頷いちゃったらもうダメだよね。完全に認めちゃったも同然。
気まずくなるのイヤだって言ったけど、普通に気まずいわ。
「とにかく、ボールありがとうございました。暫く借りててもいいですか?」
頷いたのを確認してからボールを玄関に置きに行き、そのまま浴室へ行って、お風呂の用意をすることに。
はー。ヤダなぁ。
相手が誰であれ、好いてもらえるのはありがたいことだけど……。
なんか、とんでもないのに好かれちゃったなー。
浴槽を洗っていると、得体の知れない恐怖に襲われた。
なに!?
「はあぁぁぁ!」
辺りを見回したあたしは声にならない悲鳴を上げた。浴室のドアの隙間から、体のちょうど半分だけ覗かせてレイ坊ちゃまがこちらをじっと見ていた。
でも、あたしが見つけたのと同時にサッと消えてしまった。
こ、怖い! 怖すぎる!
家政婦が見たってのは知ってるけど、家政婦を見るなんてただの変態だからぁ!
今まで気づかなかっただけで、いつもあんな風に見られてたの?
バレたのをいいことにやり始めたの? ヤダー! どっちにしても怖いよぉ。
その夜はあまりの恐怖に、おちおち眠ることもできなかった。襖やカーテンや押入れ……ありとあらゆる隙間が怖くて仕方なかった。
とりあえず寝不足のまま起きて、仕事はしたけれど、その日は一日中頭も体も使い物にならなかった。
帰ったら文句言ってやる!って日中は意気込んでたけど、考えたら夜中のことは全部あたしの妄想で、実際に隙間から見られてたワケじゃない。
お風呂場でのことも、もしかしたらたまたまかもしれないし、事を荒立てるのはよそう。
ただの勘違いとして流そうとしたけれどそれから毎日のように視線を感じるようになった。
ゾクッとして振り返ると、ササッと消える。
だるまさんが転んだですか?
凌空坊ちゃまのことが上手くいきそうでホッとしていたのも束の間、あたしは新たな問題に直面した……。
「ねえ、みのり」
あれ以来、凌空坊ちゃまはあたしを『お前』呼ばわりしなくなった。
目上の人を呼び捨てにするのもどうかと思うけど、お前に比べたらかなりの前進だ。
「やくそく、わすれないでよ」
毎日のようにそう言って、幼稚園に行っている。指折り数えてって言葉があるけど、まさにそんな感じ。
ボール遊びするだけなのに、そこまで楽しみにしてくれるなんて申し訳ないくらい。
苦手だと思ってたけど、子どもって結構可愛いかも。自分の子どもならもっと可愛いのかな。
いつかはあたしも? 相手もいないし、今は全然ピンとこないけど。
「ねえ、ぼく、きょうはみのりのおうちでねてもいいよ」
土曜日の夜がやって来ると、帰り際、あたしの手を掴んで坊ちゃまが恥ずかしそうに言った。
「何言ってんだ、マセガキが」
そばにいたイッセイ坊ちゃまが、凌空坊ちゃまを抱き上げて言った。
「ねえ、いいでしょ? イッセイもおいでよ。3人でいっしょにねようよ」
「3人でって、いくらなんでもそんなことできるワケねえだろ。俺の部屋で寝ろよ」
「ヤダ! みのりのおうちがいい」
あんなに嫌われていたのが嘘のようだ。まあ、悪い気はしないね。
「うーん。じゃあお爺ちゃまに訊いてみましょう」
さすがに、旦那様の許可もなく連れ出すことはできない。
リビングにいた旦那様に訊ねると、申し訳ないと言いつつも快諾してもらえた。
「じゃあ行きましょうか。坊ちゃま」
「いいの? やったー」
こうしてると無邪気な幼稚園児だ。手を繋いで離れに向かう。
「ねえねえ、イッセイもくる?」
「さあ、どうでしょう」
さすがに、変だもんね。それこそオトナの事情って感じ?
「えー。いっしょにねて、いっしょにおきて、それでいっしょにあそびたいな」
パパとママと3人で寝てる気分を味わいたいのかなぁ。なんて考えると、切なくなる。
「ここがみのりのおうち? ちいさいね」
離れに入り、一階を軽く走って見て回ると坊ちゃまは言った。いやいや、決して小さくはないですよ。ごく一般的な、普通に立派な一軒家ですから。
「あたしとレイ坊ちゃましかいないからこれでも広いんですよ」
「みのりとレイはいっしょにすんでるの? どうして? けっこんしてるの?」
子どもの素朴な『なぜ』には時々困ってしまう。
「してないですよ。ただ、一緒に住んでるだけです」
「すきなの?」
「はい?」
「みのりはレイがすきなの?」
いや、向こうがねとも言えないしなぁ。
「あのーなんていうか」
答えに困っていたら、イッセイ坊ちゃまが凌空坊ちゃまの布団を抱えて現れた。
「この俺様がなんでこんな重労働を」
口ぶりは俺様だけど、いいとこあるじゃないか。
「ねえ、イッセイ。みのりとレイはいっしょにすんでるんだよ。でね、みのりはレイがすきなんだって」
「えっ!?」
あたしも驚いたけど、イッセイ坊ちゃまも驚いていた。
「マジかよ」
「ううん。言ってない、言ってない! そんなこと!」
言うワケないじゃん。好きじゃないのに。こんなややこしい状況の中、レイ坊ちゃまが二階から降りて来た。
「あー! レイだ! ねえ、みのりがね、レイのことすきなんだって」
なんちゅうことを!
「コラァ! そんなこと言ってないでしょー!」
怒って捕まえても、キャッキャッ言って笑ってる。よっぽど嬉しいのね。
「ねえねえ。4人でねようよ!」
名案が浮かんだと言わんばかりに、凌空坊ちゃまは目を輝かせながら言った。
「ヤダよ。4人でなんて」
暴君は口を尖らせ、貴公子は浴室に逃げようとしていた。
大人たちの素っ気ない態度に、凌空坊ちゃまはあからさまにがっがりしている。あたしだって4人でなんて寝たくないけど、ママがいなくて寂しい思いをしている坊ちゃまのためだもの。
「今日だけ我慢して下さい!」
両手を合わせて頼み込む。
「今日だけだぞ」
イッセイ坊ちゃまの言葉に、レイ坊ちゃまも静かに頷いた。
ワーイワーイって凌空坊ちゃまは漫画みたいに飛び跳ねて喜んだ。
この笑顔が見れるなら、多少のことは我慢しようって思えるから不思議。
「みのり、ぼく、イッセイ、レイのじゅんばんでねるんだって」
それが一番安全な配置。
「おい! ふざんけんなよ! なんで俺がこいつの横なんだよ! わざとかよ」
「え? じゃあイッセイ坊ちゃま、凌空坊ちゃま、あたし、レイ坊ちゃまならどうです?」
「お前、徹底的に俺を避ける気だな」
「だって、前科者ですし」
これを言うと結構な確率で黙る。
「ねえねえ『ぜんかもの』ってなに?」
あたしたちのやり取りを聞いていた凌空坊ちゃまが不思議そうに訊いた。
イッセイ坊ちゃまはバツの悪そうな顔で「お前にはまだ早えよ」と言った。
確かに、幼稚園児には説明できないね、あんなコト……。知りたくて不服そうにしている凌空坊ちゃまをイッセイ坊ちゃまは必死で誤魔化していた。プッ。ウケる。
「ぼく、こんなにいっぱいでねるのはじめて」
いつもならとっくに寝ている時間なのに凌空坊ちゃまは興奮しているのか、電気を消してもなかなか寝なかった。
少しの間、お喋りしていた凌空坊ちゃまに「早く寝ないと明日ボールで遊べなくなちゃいますよ」って言うと、すぐに眠りについた。
なんて素直でかわいいんだ。子どもの寝顔は天使だって言うけど、ホントだね。
小さな手を布団の中に入れ、あたしも眠りについた。
夜中に妙な感触がして目を覚ますと、レイ坊ちゃまがあたしの手を掴んでいた。
「何するんです?」
いやらしいことでもする気かと焦る。
「いや……あの」
言いにくそうに坊ちゃまが指をさす。
見ると、あたしに背を向けて寝ていたレイ坊ちゃまの背中に、あたしが絡みつい
ていた。
レイ坊ちゃまはそんなあたしを引き離そうとしていただけだった。
「ああ、ごめんなさい……」
カッコ悪……。っていうか、変態のわりに紳士なんだ。変態だから?
いかん、いかん。失礼だぞ。それからまた眠り、何事もなかったかのように朝を迎えた。
凌空坊ちゃまはこれでもかってぐらい張り切って、お庭を走り回っていた。
講師料高いぞ、とかなんとか言ってたイッセイ坊ちゃまも、なんだかんだ楽しんでるみたいだし、大成功かな?
お嬢様もお昼には戻るって言ってたし、ようやく坊ちゃまもママに会えるね。
お昼ご飯を食べて、少し遊んで、おやつを食べて……。もう夕方なのにお嬢様は帰らない。
あれ? 何かあったのかな?
「やっぱりママもかえってこないの?」
寂し気な声に、すぐには言葉が出なかった。
「お仕事が忙しいだけですよ。きっともうすぐ帰って来ますから」
分からないまま慰めを言った。
「パパもかえってこないし、ママもどっかいっちゃったのかな」
小さな胸に抱えている大きな不安に、胸が締め上げられた。
パパは海外出張、なんて嘘、とっくに気づいてたんだ。両親の不仲を一番肌で感じるのは子どもだもんね……。
「そんなことあるワケ……」
「でもいいよ。みのりがあそんでくれるから、ぼくがまんする」
何だかいじらしくて、堪らず凌空坊ちゃまを抱きしめた。
「大丈夫。ママは絶対帰って来るから。こんな可愛い子が待ってるのに、どっか行くワケないよ」
妻になってもママになっても、仕事をして頑張ってる女性はステキだと思う。そこまで情熱を傾けられる仕事があることを羨ましいとさえ思う。
だから、同じ女性としてお嬢様を応援したい気持ちはある。
でも、坊ちゃまのこんな悲しい姿を見てしまうと、内心は複雑で。
結局、お嬢様が帰って来たのは夕食の少し前だった。仕事が押して、乗るはずだった飛行機に間に合わなかったらしい。
「せめて電話の一本でも」の一言が言えなくて。雇われの身ってホントに弱い。逃げ道がない今は余計に……。
離れに帰るとどっと疲れが出て、ソファーに倒れ込んだ。
凌空坊ちゃま、大丈夫かなぁ。心配しつつ、そのまま寝落ちた。
パッと目が覚めたら朝の6時だった。ヤバい! 遅刻だ!
あ。今日休みもらったんだった。起き上がると、ソファーから毛布が落ちた。
あれ? なんで毛布?
首を傾げたのと同時に、ダイニングにいるレイ坊ちゃまが目に入った。
「あ、おはようございます。この毛布って坊ちゃまが?」
他にいないか。案の定、彼は黙って頷いた。
「ありがとうございます。坊ちゃまって実は優しいんですね」
お礼を言うと朝食の途中で席を立った。どんだけ分かりやすいんだ。
からかうなんてガキだけど、ちょっと面白いかも。
その日は一日中ダラダラして過ごした。
ゆっくりした分、また明日から頑張らなきゃ!
翌朝、凌空坊ちゃまは案外ケロッとしていて安心した。
昨日はママがいたからかな? やっぱりママの力は大きい。
仲良くなれて、言うこともちゃんと聞いてくれて、お世話は随分としやすくなった。
あんなに長くて憂鬱だった一週間もあっという間だと感じれるようになった。
流れている時間は同じなのに、精神的な影響って大きいな。
その週は、土日とも休みをもらえたのでそろそろこたつを買いに行くことに。一応、家は借りものだし、家具を増やす許可を左近さんにはもらっておいた。ウキウキしながら家具屋さんに行き、こたつ布団を選んでいる時だった。
「あ……」
カートを押したカップルがあたしの前で足を止めた。
「隼士……」とカオリちゃんだった。仲良く腕を組んでお買い物らしい。わざと見たワケじゃないけど、カートの中身が見えてしまった。寝具とか食器とか、生活に必要なものが色々と入っていた。
そっか。2人は一緒に暮らしてるんだ。ずっと考えないようにしてきた。
家政婦として働くことに必死なフリして誤魔化してきた。
あれから、隼士は一度も連絡を寄越さなかった。
『ごめん』の一言ぐらいあるんじゃないかって期待してたけど、驚くほど何もなかった。
もしかしたら『やっぱりお前の方がええわ』って言ってくれるかもしれないなんて、考えたりもした。日が経つにつれて虚しくなった。
隼士の中で、あたしはもう終わっていたんだ。
何の未練も迷いもなく、カオリちゃんとの関係も浮気じゃなく、寧ろあっちが本命であたしは邪魔なだけだった。
笑顔で2人の横を通り過ぎ、虚しさを埋めるみたいに色々買い込んだ。
こたつは配送をお願いして、それ以外のものは両手に抱えて帰った。手のひらが千切れそうに痛くて、涙が零れた。
ヤダヤダ。絶対泣くもんか。あんな奴のために、涙流すなんて勿体ない。息ができなくて、視界が霞む。
黒澤家の門を潜ると、急いで離れに向かった。
こんな顔、誰にも見られたくない。
「遅せーじゃねえかよ。いつまでこの俺を……え?」
それなのに、離れにはイッセイ坊ちゃまがいた。
なんで?
「お前泣いてんの?」
「泣いてません!」
鼻声で言った。どう考えても泣いてるけど。
「こたつでも売り切れてたか?」
坊ちゃまはあたしの涙を指で拭った。
「まあとりあえず荷物置けよ。袋千切れそうじゃねえか」
言いながら、あたしの手から袋を取って床に置いた。
「……柄にもなく、優しくしないで下さいよ。泣きそうなんですから」
「柄にもなくって何だよ。俺は紳士だって言ってんだろうが。大体、お前もう泣いてるし。何の強がりだよ」
言葉の後、急に抱き寄せられた。
え?
「お前さあ、なんでいっつも泣いてないって言うの? 初めて会った時もそうだったけど、泣きたきゃ泣けよ」
意外な対応に困惑する間もなく、あたしはイッセイ坊ちゃまの胸で泣いていた。
ホントはこうして誰かに縋りたかった。
甘えたかった。
泣きたかった。
だけど、今までこんな風に胸を貸して泣けよって言ってくれる人いなかった。
どちらかというと、自分が慰めてあげることの方が多かった。
強い自分が当たり前になっていた。
「坊ちゃまって結構いい人なんですね」
「なんだ、今頃気づいたのか。さては惚れたな、俺に」
「あ、それは大丈夫でーす」
「フンッ。かわいくねえ奴」
だからフラれたんだろうなって、今なら何となく分かる。
カオリちゃんはあたしにもよく甘えてたし、確かに可愛かった。
あたしがいなきゃって思わせてくれた。
きっと、そういうことなのよね?
フル○ンの暴君は意外に優しくて、意外に胸板が逞しくて、ずっと抱きしめていてほしいぐらいだった。
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