1 / 1
エンゼル係数高井さん
しおりを挟む
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
古式ゆかしいお嬢様学校で、少女たちの挨拶が交わされる。
「生徒会長、ごきげんよう」
「お姉様、ごきげんよう」
「ごきげんよう」
生徒会長である私が微笑んで返すと、下級生たちも嬉しそう。
ただ……。
お腹空いた!
「表」の顔は、生徒に慕われる完璧生徒会長。その実は、スーパーくいしん坊!
きちんとお弁当を食べたけど、まさか巨大お弁当箱を見せるわけにもいかず、それはもう、可愛らしいお弁当箱でしたとも。
もちろん、ぜんぜん足りない!
買い食いは禁止されているし、家に帰るまでの我慢!
うう……目が回って倒れ……。
◆ ◆ ◆
(あれ、ここは……?)
気がつくと、どうも自分はベッドで寝ているらしい。
「会長、大丈夫ですか?」
心配そうに私の顔を覗く、副会長の高井さん。見慣れたショートボブが、重力で垂れる。
「私、どうして……」
「廊下で突然、倒れられたんです。それでみんなで、一所懸命保健室までお運びして……」
は、恥ずかしい! やってしまった!
「会長、頑張りすぎですよ。昨日も、学院祭の準備を遅くまで取り仕切って」
ため息をつく高井さん。実はお腹が空きすぎて倒れましたなんて、死んでも言える空気じゃない。
ぐうううううう……。
お腹は空気を読んでくれませんでした。
「あの。お腹、空いてらっしゃるんですか?」
ここにきて隠しても仕方ない。おずおずとうなずく。
「たしかに、会長のお弁当、小さかったですものね」
「面目ないです」
「いえいえ。仕事量に対して、たしかに少なすぎです。もう倍、カロリーが必要と見ました」
そう言われ、もじもじ。
「でも、私にも見栄が……」
「見栄で倒れてたら、本末転倒です! 不肖高井、こっそりお弁当をお渡しします。そして、二人で食べましょう!」
ええー!
「ほかの生徒会のみんなはどうするの?」
「仲良く全員で、食べなければいけない、という決まりはありませんから」
それはそうだけど。
「感じ悪くないかしら?」
「いいえ、実はみんな、それぞれカップルでして。二人きりになりたかったはずです」
「えー!?」
変な声を出してしまう。
「まさかでしょう?」
「不肖高井、情報網は抜かりありません」
なんとまあ。女子校には多い話だと聞くけれど。灯台下暗し。
「でもそれだと、私と高井さんがその……」
ごにょごにょ。
「お嫌ですか?」
「いえ! 嫌ということはないのよ!? ただ……」
「会長、人目を気にしすぎです。それでは、息が詰まってしまうでしょう」
おっしゃるとおりで。我ながら、人目を気にしすぎだなあとは思う。
「では、お相伴に預かろうかしら。ところで、養護教諭の先生は?」
「所用で席を外してらっしゃいます」
あら。恥ずかしい話を聞かれなくてよかった。……やっぱり、人目を気にしすぎよね。
◆ ◆ ◆
翌お昼。私含めた学生たちが、各々のお気に入りスポットで食事するために、お弁当を手に散っていく。
もちろん、私のお弁当はミニサイズ。やはり、今までのイメージを崩したくない。
私たち生徒会一同は、いつものように生徒会室に集まるものの。
「みなさんにお話があります。これからは、別に生徒会だからとまとまらず、各々好きな場所で食べたほうがよいと思うのです」
ざわめく一同。誰と誰の視線が交差するかで、「お付き合い」がわかってしまった。なるほどね。
「その、突然なお話ですけど、なんでまた急に?」
う、フリーっぽい書記の子に突っ込まれてしまった。
「えーと、あー……」
困った。言えるわけないじゃない!
「会長は、伝統と同時に、自由を重んじる方です。それで十分ではありませんか」
高井さんのフォロー。書記の子も納得してくれたようで。
「おほん。ということで、自由行動としましょう」
「わかりました」と、お弁当を手に手に生徒会室を去っていく。
「会長。わたしたちも行きましょう。いいところがあるんです」
高井さんに先導され、後をついていくと……。
「綺麗……」
紅く染まった紅葉が茂る並木道のベンチに、腰掛ける私たち。
「三年通っているけど、ここは気づかなかったわ」
「この学校も、広いですからね。ここがお気に入りでして」
「素敵ね」
微笑み合う。
「では、いただきましょう」
お弁当箱を開くと……。
「やっぱり会長のお弁当、今日も小さいですね」
「う。私にも、イメージが、その……」
ごにょごにょ。
「ちょうどよかったです。今日、二人前持ってきましたから」
「ええ!? それじゃ、高井さんのイメージが……!」
「不肖高井、そのへんは気にしませんので」
自由だなあ。それに引き換え、私はなんと小心なのだろう。……と落ち込みたいところだけど、空腹には勝てない。
まずは、持参のものから。
うちのシェフが作ってくれた一級品。う~ん、おいしい!
あっという間に食べ終わってしまった。
「では、私のをどうぞ」
もう一つのお弁当箱を手渡してくる彼女。
「それでは、ありがたく……」
これは……! 伝説のタコさんウインナー!
それに、だし巻き卵、ミニハンバーグ、アスパラベーコン、プチトマトにブロッコリー、エトセトラ……。
彩りも鮮やかで、なんと可愛らしい!
「高井さんのシェフ、いいお仕事をなさるのね」
「いえ、不肖わたしの手作りです。趣味なんです、料理」
なんと……。高井さんの腕やいかに。
……おいしい! うちのシェフとは、また一味違うおいしさ!
「おいしい……。趣味ですまないレベルだわ……!」
「照れてしまいます。でも、お褒めに預かり、ありがたく存じます」
称賛に、お日様のような笑顔で返す彼女。
なんだろう。そのとき、胸の奥がなにかぽっと、暖かくなるのを感じた。
どうにも彼女を直視できなくなって、黙々と箸を進める。
「ごちそうさまでした! 高井さん、素晴らしいお弁当だったわ! ありがとう!」
本当に、本当に最高のお弁当だった。こちらもお日様笑顔を向けると、彼女、照れてうつむいてしまう。
「大げさです、そんな……」
もじもじと返される。
「お世辞なんて言わないわよ。よし! これで午後も頑張れそう!」
「あの!」
お弁当箱をしまっていると、彼女がなにか言いたそう。
「これからもお弁当、作ってきていいですか……?」
「ええ!? そんなの厚かましくて、頼めないわ!」
「いえ、また倒れられたら事ですし、その……おいしいおいしいと言っていただけるの、すごく嬉しくて……」
さらに、もじもじ。
「そこまで言うなら……。本当に、手間ではなくて?」
「一人ぶんも二人ぶんも、対して手間は変わりませんので!」
「では、恐縮ですけど、お願いしようかしら」
「はい、喜んで!」
高井さんのお日様笑顔が眩しい。秋風が、私たちを撫でつけ、吹き抜けていった。
◆ ◆ ◆
「わあ……!」
今日は中華風。春雨サラダに、ユーリンチー。チンジャオロース。そして、かわいいシュウマイ。
「いただきます」
うん! やっぱり今日もおいしい!!
「高井さん、すごいわ!」
感動のあまり熱視線を送ると、うつむいてもじもじしてしまう彼女。その様子に、また胸の奥がぽっと暖かくなる。なんだろう、この気持ち。
「わたしはその、会長の日々の頑張りに報いたいだけで……」
「本当に、その気持が嬉しい! もちろんお弁当も! ああ、なにかお返しできるといいのだけど……」
「いえそんな、滅相もない!」
手を、わたわたと振る姿も微笑ましい。
「でも、厚意を受け取りっぱなしというわけにも……」
「では! その……デートしていただけませんか?」
「はい?」
やや混乱。
「だめ……ですよね」
「いえ、だめというか、そういうのは意中の殿方とするものでしょう!?」
「わたしは……いえ、わたしたちは、いずれ政略結婚する身です。デートなどという些事、流されてしまうことでしょう。わたしは、青春してみたいのです!」
政略結婚という言葉に、胸がズキリと痛む。この学校に通う多くの生徒は、良家や大企業の令嬢たち。
大学を卒業したら、親同士で決めた、同じく良家や大企業の御曹司と結婚させられる。
私たちに、自由恋愛という言葉はない。
果たして、好きになれない相手であった場合、楽しくデートなどできるものだろうか。いや、そもそも相性が良くても、デートなどという浮いた話が持ち上がる余地が、あるだろうか。
高井さんの発言は、重い。
「そう、ね。青春、してみましょうか」
努めて、笑顔で返す。
「ありがとうございます!」
きらきら輝く瞳を向けてくる彼女。
お互い、デートなんて初めてで、どうなることだろう。
◆ ◆ ◆
某駅で待ち合わせ。少し早く着いてしまった。遅れるのも、失礼な話だし。
「すみません! おまたせしましたか!?」
おめかしした高井さんが、改札から出てくる。腕時計を見ると、時間ぴったり。
「いいえ。私が少し早く、着いてしまっただけだから」
「とりあえず、どこへ行きましょう?」
「カフェなどいかがかしら? 一旦、ゆっくりしましょう」
「はい!」
彼女とともに、落ち着ける雰囲気のカフェを探す。
デートって、こんな感じなのね。胸の奥が、暖かい。
おしゃれなカフェを発見。口コミの評価も高い。
「ここにしましょうか」
「そうですね」
二人で、レモンティーを頼む。私は、チョコケーキも。お腹が空いているんですもの。
「なかなかいい茶葉ね。ケーキも、良いお味」
「今度、なにかお菓子作ってきますね」
弾んだ声で、提案する高井さん。
「そんな、気を使わなくていいのよ?」
「わたしがそうしたい、ではだめですか?」
「そこまで言うなら……」
本当に彼女は、どうしてここまでしてくれるのだろう。
「ところで、本格的にランチといきたいわね」
さすがに、ケーキ一つでは食べたりない。
「わたしにおまかせを! 行きましょう!」
会計を済ませると、また屋外へ。どこへ連れて行くつもりなのかしら?
「こことかいいですね!」
落ち着ける雰囲気の、公園に到着した。
「さあ、ベンチに座りましょう」
彼女に促されるまま、ベンチに腰掛ける。向かいの池では、カルガモがのどかに泳いでいた。
「お弁当です!」
彼女が取り出したそれは、いつもの二倍以上のサイズ!
「高井さん、この量は……」
「会長、いつも食べ足りなそうなので! いつもの二食ぶん、プラス五割増です!」
す、すごい圧倒感! でも、はしたないけど、よだれが出そう。
「存分に、召し上がってください。多ければ、残していただいても結構ですので! あ、お茶です」
水筒を差し出す彼女。ごくり。
「いただきます……」
「いただきます」
高井さんと声を合わせ、開封。一つ目は、和食。きんぴらごぼうや魚の照焼きなどが食欲をそそる。
……おいしい!
「おいしいわ、高井さん!」
「お褒めに預かり、恐縮です」
お日様笑顔で返す彼女。またも、胸がぽっと熱くなる。
二つ目は、洋食……っていって、いいのかしら?
唐揚げに、エビとブロッコリーのサラダ、イカリングに白身魚のフライ、コールスローサラダ。普段、我が家の食事として供されないようなものなのが、逆に嬉しい。
ああ、おいしい! 箸が止まらない!
「ありがとう、とてもおいしかったわ」
口元を拭い終わると、お礼を述べる。
「ありがとうございます。もしかして、まだ食べたりなかったりします?」
「いえ、さすがにお腹いっぱいよ。ありがとう。このあとは、どうしましょうか」
「ええと……その。手を繋いでよろしいでしょうか?」
「ええ、よろしくてよ」
突飛もないけど他愛もないお願いを快諾。
彼女が身を寄せてきて、指を絡めてくる。
「ずっと、会長とこうしてみたかったんです。夢が叶いました。嬉しいです」
体も預けてくる。
なんだか私も、胸がぽっぽと熱くなってしまう。
「高井さん」
「すみません。もう少し、このまま」
言われるままにする。これで、少しでも恩返しができるのなら。
どのぐらい、そうしていたろう。
「くしゅん!」
くしゃみしてしまった。
「あ! 寒いですよね! 失礼しました!」
慌てて手を解き、身を離す彼女。
「ううん、ちょっと冷えただけだから」
「いえ、会長が体調を崩されては事ですから!」
「じゃあ、もう一度カフェで、温かい飲み物でもいただきましょうか」
「はい!」
こうして、先程のカフェへ舞い戻ってホットティーを注文し、飲み終わると、私たちのデートはお開きとなった。
◆ ◆ ◆
うーん。
デートしただけでは、お返しがし足りない!
毎日、お弁当を作ってくれる高井さん。
そんな彼女に、もっと恩返しがしたい!
そこで、ある秘密のプロジェクトを遂行中……。
「会長。学院祭まであと一週間ですね」
「早いものね」
高井さん弁当をエネルギー源に指揮を執り、ついにここまでやってきた。
全体の進行は、すこぶる順調。
「あなたのおかげだわ」
「いいえ、これもひとえに会長の頑張りの賜物で」
互いに称賛。
「さて、書類がまだ山積みだわ。一緒に片付けましょう」
「はい!」
このまま皆の作業をほーっと眺めているわけにもいかない。我々生徒会の仕事も山積みだ。
そして、学院祭当日――。
なにぶんお嬢様学校なので、出し物は美術部員や書道部員の書画や、吹奏楽部のオーケストラなど。
クラスの出し物も、概ね上品。
その様子を、あくまで職務として見て回る我々生徒会。
お昼のチャイムが鳴った。
「生徒会も、昼休みにしましょう」
めいめい、散っていく。
「高井さん、一緒に来てくださる?」
「はい!」
二人で、いつものベンチへ。
「では会長、今日は……」
「ありがとう。でも、今日はちょっとしたサプライズがあるの」
そう言うと、お弁当箱を差し出す。
「私も、作ってみたの。食べていただける?」
「会長の手料理ですか! 喜んで!」
蓋を開ける彼女。
頑張ってうちのシェフに習った、料理の数々。
だし巻き卵に、きんぴらごぼう。鮭の塩焼き、ちくわの磯辺揚げに、厚揚げのそぼろあんかけ。
ごはんには、錦糸卵。
「すごい……! わたしのためにここまで……」
「それは、私の言葉でもあるわ。いつも、おいしいお弁当ありがとう。お口に合うといいのだけど」
「いただきます!」
もりもりと食べる彼女。よかった。おいしいと、その食べっぷりが語ってくれている。
「おいしいです、会長!」
お日様笑顔に、胸がぽっと暖かくなる。
「ありがとう。私、自分のぶんを持ってきていないの。高井さんの、いただけるかしら」
「はい!」
二つのお弁当箱をいただく。
おいしいものは、ダブってもおいしい。
「おいしい。今度から、わたしにも高井さんのお弁当を作らせて?」
「そんな、悪いですよ!」
「私がそうしたいからじゃ、だめかしら?」
「そうおっしゃるなら、ありがたくいただきます」
やがて食べ終わり、食後のお茶を愉しむ。秋風が、私たちを撫でていく。
◆ ◆ ◆
学院祭最後の夜。打ち上げ花火が夜空に大輪の花を咲かせていた。
「きれいですね」
「ええ」
高井さんと隣り合い、そのさまをうっとりと眺める。
「このあとはもう、大きなイベントもないわね」
「そう、ですね」
ん? 彼女、ちょっと言い淀んだような。
「不肖高井、副会長として最後までお供します!」
「大げさね」
ちょっと、くすっときてしまう。
「手を、繋いでいいでしょうか」
「構わなくてよ」
彼女が差し出してきた手を握る。
花火ももうすぐ終わり。生徒会の仕事も、一つの山場を超えた。
大学受験も、姉妹校への推薦をいただけることになったので、さほど苦労することもない。
「そういえば、高井さん、進路は?」
「姉妹校の大学に、推薦をいただけることになりました」
「まあ! 私と同じ! 楽しみね」
そう言って微笑むと、彼女も微笑み返す。
最後の花火が爆ぜた。
◆ ◆ ◆
今日も今日とて、生徒会の執務。私たち三年生組の任期はもうすぐ終わるけれど、なんだかんだ、やることは多い。
学院祭は終わったけれど、それこそ私たちが主役となる卒業式が訪れる。私は全卒業生を代表し、答辞を読む予定。
「会長」
高井さんに呼びかけられる。
「何かしら?」
「執務が終わりましたら、少しお付き合い願えないでしょうか」
「ええ、構わないわよ」
お弁当の新しいメニューでも思いついたのかしら。
◆ ◆ ◆
高井さんに連れられ、人気のないところにやってきた。
「どんなご用かしら?」
ずいぶんうら寂しいところに連れてこられたなと思いつつ、用件を尋ねる。
「会長。あの、その……」
言い淀む彼女。気のせいか、頬が紅い。
「会長。恋をしたことはありますか?」
突拍子もない質問返しに、ぽかんとなる。
「ええ、恋!? ええと……そういえばこの十八年、そういう浮ついた気持ちになったことないけれど……」
高井さんの真意がわからない。とりあえず、率直な返事をした。
「わたしは、恋してます」
「まあ! 相手はどなた……って訊くのは失礼かしら?」
「いいえ。その相手は、眼前にいますので」
さあ……っと、秋風が私たちの間を吹き抜ける。
「あの、私!?」
自分を指差すと、耳まで真っ赤になって、おずおずと頷く彼女。
女子校では珍しい話ではないけれど。自分が恋のお相手になってしまうとは……。
でも、嫌な気持ちがしない。むしろ、胸がぽかぽかと暖かくなる。いや、熱い。
「高井さん、なぜ私なの?」
「才色兼備で、それでいて食いしん坊というちょっとした弱点があって……。そこが、たまらなく好きで好きで、好きになりました」
潤んだ瞳で見つめられると、心臓がドキドキしてくる。
ああ、そうか。私も彼女を好いているんだ。
「気持ち、受け取ったわ。そして、私も恋していたみたい。あなたに。抱きしめていい?」
「はい!」
彼女の細い体を、ぎゅっと抱きしめる。晩秋の秋風の中で、彼女の温もりを感じる。
「会長に抱きしめられるなんて、夢みたいです……!」
「胃袋でハートを掴むなんていうけれど、まさにそのとおりね」
くすりと笑む。
「高井さん。キスの経験は?」
「いえ」
「じゃあ、私と一緒ね。捧げ合いましょう?」
「はい……!」
唇を重ねる。
人を愛するって、こんなにも気持ちがぽかぽかして、浮つくものなんだ。
ありがとう、マイ・エンゼル。
「ごきげんよう」
古式ゆかしいお嬢様学校で、少女たちの挨拶が交わされる。
「生徒会長、ごきげんよう」
「お姉様、ごきげんよう」
「ごきげんよう」
生徒会長である私が微笑んで返すと、下級生たちも嬉しそう。
ただ……。
お腹空いた!
「表」の顔は、生徒に慕われる完璧生徒会長。その実は、スーパーくいしん坊!
きちんとお弁当を食べたけど、まさか巨大お弁当箱を見せるわけにもいかず、それはもう、可愛らしいお弁当箱でしたとも。
もちろん、ぜんぜん足りない!
買い食いは禁止されているし、家に帰るまでの我慢!
うう……目が回って倒れ……。
◆ ◆ ◆
(あれ、ここは……?)
気がつくと、どうも自分はベッドで寝ているらしい。
「会長、大丈夫ですか?」
心配そうに私の顔を覗く、副会長の高井さん。見慣れたショートボブが、重力で垂れる。
「私、どうして……」
「廊下で突然、倒れられたんです。それでみんなで、一所懸命保健室までお運びして……」
は、恥ずかしい! やってしまった!
「会長、頑張りすぎですよ。昨日も、学院祭の準備を遅くまで取り仕切って」
ため息をつく高井さん。実はお腹が空きすぎて倒れましたなんて、死んでも言える空気じゃない。
ぐうううううう……。
お腹は空気を読んでくれませんでした。
「あの。お腹、空いてらっしゃるんですか?」
ここにきて隠しても仕方ない。おずおずとうなずく。
「たしかに、会長のお弁当、小さかったですものね」
「面目ないです」
「いえいえ。仕事量に対して、たしかに少なすぎです。もう倍、カロリーが必要と見ました」
そう言われ、もじもじ。
「でも、私にも見栄が……」
「見栄で倒れてたら、本末転倒です! 不肖高井、こっそりお弁当をお渡しします。そして、二人で食べましょう!」
ええー!
「ほかの生徒会のみんなはどうするの?」
「仲良く全員で、食べなければいけない、という決まりはありませんから」
それはそうだけど。
「感じ悪くないかしら?」
「いいえ、実はみんな、それぞれカップルでして。二人きりになりたかったはずです」
「えー!?」
変な声を出してしまう。
「まさかでしょう?」
「不肖高井、情報網は抜かりありません」
なんとまあ。女子校には多い話だと聞くけれど。灯台下暗し。
「でもそれだと、私と高井さんがその……」
ごにょごにょ。
「お嫌ですか?」
「いえ! 嫌ということはないのよ!? ただ……」
「会長、人目を気にしすぎです。それでは、息が詰まってしまうでしょう」
おっしゃるとおりで。我ながら、人目を気にしすぎだなあとは思う。
「では、お相伴に預かろうかしら。ところで、養護教諭の先生は?」
「所用で席を外してらっしゃいます」
あら。恥ずかしい話を聞かれなくてよかった。……やっぱり、人目を気にしすぎよね。
◆ ◆ ◆
翌お昼。私含めた学生たちが、各々のお気に入りスポットで食事するために、お弁当を手に散っていく。
もちろん、私のお弁当はミニサイズ。やはり、今までのイメージを崩したくない。
私たち生徒会一同は、いつものように生徒会室に集まるものの。
「みなさんにお話があります。これからは、別に生徒会だからとまとまらず、各々好きな場所で食べたほうがよいと思うのです」
ざわめく一同。誰と誰の視線が交差するかで、「お付き合い」がわかってしまった。なるほどね。
「その、突然なお話ですけど、なんでまた急に?」
う、フリーっぽい書記の子に突っ込まれてしまった。
「えーと、あー……」
困った。言えるわけないじゃない!
「会長は、伝統と同時に、自由を重んじる方です。それで十分ではありませんか」
高井さんのフォロー。書記の子も納得してくれたようで。
「おほん。ということで、自由行動としましょう」
「わかりました」と、お弁当を手に手に生徒会室を去っていく。
「会長。わたしたちも行きましょう。いいところがあるんです」
高井さんに先導され、後をついていくと……。
「綺麗……」
紅く染まった紅葉が茂る並木道のベンチに、腰掛ける私たち。
「三年通っているけど、ここは気づかなかったわ」
「この学校も、広いですからね。ここがお気に入りでして」
「素敵ね」
微笑み合う。
「では、いただきましょう」
お弁当箱を開くと……。
「やっぱり会長のお弁当、今日も小さいですね」
「う。私にも、イメージが、その……」
ごにょごにょ。
「ちょうどよかったです。今日、二人前持ってきましたから」
「ええ!? それじゃ、高井さんのイメージが……!」
「不肖高井、そのへんは気にしませんので」
自由だなあ。それに引き換え、私はなんと小心なのだろう。……と落ち込みたいところだけど、空腹には勝てない。
まずは、持参のものから。
うちのシェフが作ってくれた一級品。う~ん、おいしい!
あっという間に食べ終わってしまった。
「では、私のをどうぞ」
もう一つのお弁当箱を手渡してくる彼女。
「それでは、ありがたく……」
これは……! 伝説のタコさんウインナー!
それに、だし巻き卵、ミニハンバーグ、アスパラベーコン、プチトマトにブロッコリー、エトセトラ……。
彩りも鮮やかで、なんと可愛らしい!
「高井さんのシェフ、いいお仕事をなさるのね」
「いえ、不肖わたしの手作りです。趣味なんです、料理」
なんと……。高井さんの腕やいかに。
……おいしい! うちのシェフとは、また一味違うおいしさ!
「おいしい……。趣味ですまないレベルだわ……!」
「照れてしまいます。でも、お褒めに預かり、ありがたく存じます」
称賛に、お日様のような笑顔で返す彼女。
なんだろう。そのとき、胸の奥がなにかぽっと、暖かくなるのを感じた。
どうにも彼女を直視できなくなって、黙々と箸を進める。
「ごちそうさまでした! 高井さん、素晴らしいお弁当だったわ! ありがとう!」
本当に、本当に最高のお弁当だった。こちらもお日様笑顔を向けると、彼女、照れてうつむいてしまう。
「大げさです、そんな……」
もじもじと返される。
「お世辞なんて言わないわよ。よし! これで午後も頑張れそう!」
「あの!」
お弁当箱をしまっていると、彼女がなにか言いたそう。
「これからもお弁当、作ってきていいですか……?」
「ええ!? そんなの厚かましくて、頼めないわ!」
「いえ、また倒れられたら事ですし、その……おいしいおいしいと言っていただけるの、すごく嬉しくて……」
さらに、もじもじ。
「そこまで言うなら……。本当に、手間ではなくて?」
「一人ぶんも二人ぶんも、対して手間は変わりませんので!」
「では、恐縮ですけど、お願いしようかしら」
「はい、喜んで!」
高井さんのお日様笑顔が眩しい。秋風が、私たちを撫でつけ、吹き抜けていった。
◆ ◆ ◆
「わあ……!」
今日は中華風。春雨サラダに、ユーリンチー。チンジャオロース。そして、かわいいシュウマイ。
「いただきます」
うん! やっぱり今日もおいしい!!
「高井さん、すごいわ!」
感動のあまり熱視線を送ると、うつむいてもじもじしてしまう彼女。その様子に、また胸の奥がぽっと暖かくなる。なんだろう、この気持ち。
「わたしはその、会長の日々の頑張りに報いたいだけで……」
「本当に、その気持が嬉しい! もちろんお弁当も! ああ、なにかお返しできるといいのだけど……」
「いえそんな、滅相もない!」
手を、わたわたと振る姿も微笑ましい。
「でも、厚意を受け取りっぱなしというわけにも……」
「では! その……デートしていただけませんか?」
「はい?」
やや混乱。
「だめ……ですよね」
「いえ、だめというか、そういうのは意中の殿方とするものでしょう!?」
「わたしは……いえ、わたしたちは、いずれ政略結婚する身です。デートなどという些事、流されてしまうことでしょう。わたしは、青春してみたいのです!」
政略結婚という言葉に、胸がズキリと痛む。この学校に通う多くの生徒は、良家や大企業の令嬢たち。
大学を卒業したら、親同士で決めた、同じく良家や大企業の御曹司と結婚させられる。
私たちに、自由恋愛という言葉はない。
果たして、好きになれない相手であった場合、楽しくデートなどできるものだろうか。いや、そもそも相性が良くても、デートなどという浮いた話が持ち上がる余地が、あるだろうか。
高井さんの発言は、重い。
「そう、ね。青春、してみましょうか」
努めて、笑顔で返す。
「ありがとうございます!」
きらきら輝く瞳を向けてくる彼女。
お互い、デートなんて初めてで、どうなることだろう。
◆ ◆ ◆
某駅で待ち合わせ。少し早く着いてしまった。遅れるのも、失礼な話だし。
「すみません! おまたせしましたか!?」
おめかしした高井さんが、改札から出てくる。腕時計を見ると、時間ぴったり。
「いいえ。私が少し早く、着いてしまっただけだから」
「とりあえず、どこへ行きましょう?」
「カフェなどいかがかしら? 一旦、ゆっくりしましょう」
「はい!」
彼女とともに、落ち着ける雰囲気のカフェを探す。
デートって、こんな感じなのね。胸の奥が、暖かい。
おしゃれなカフェを発見。口コミの評価も高い。
「ここにしましょうか」
「そうですね」
二人で、レモンティーを頼む。私は、チョコケーキも。お腹が空いているんですもの。
「なかなかいい茶葉ね。ケーキも、良いお味」
「今度、なにかお菓子作ってきますね」
弾んだ声で、提案する高井さん。
「そんな、気を使わなくていいのよ?」
「わたしがそうしたい、ではだめですか?」
「そこまで言うなら……」
本当に彼女は、どうしてここまでしてくれるのだろう。
「ところで、本格的にランチといきたいわね」
さすがに、ケーキ一つでは食べたりない。
「わたしにおまかせを! 行きましょう!」
会計を済ませると、また屋外へ。どこへ連れて行くつもりなのかしら?
「こことかいいですね!」
落ち着ける雰囲気の、公園に到着した。
「さあ、ベンチに座りましょう」
彼女に促されるまま、ベンチに腰掛ける。向かいの池では、カルガモがのどかに泳いでいた。
「お弁当です!」
彼女が取り出したそれは、いつもの二倍以上のサイズ!
「高井さん、この量は……」
「会長、いつも食べ足りなそうなので! いつもの二食ぶん、プラス五割増です!」
す、すごい圧倒感! でも、はしたないけど、よだれが出そう。
「存分に、召し上がってください。多ければ、残していただいても結構ですので! あ、お茶です」
水筒を差し出す彼女。ごくり。
「いただきます……」
「いただきます」
高井さんと声を合わせ、開封。一つ目は、和食。きんぴらごぼうや魚の照焼きなどが食欲をそそる。
……おいしい!
「おいしいわ、高井さん!」
「お褒めに預かり、恐縮です」
お日様笑顔で返す彼女。またも、胸がぽっと熱くなる。
二つ目は、洋食……っていって、いいのかしら?
唐揚げに、エビとブロッコリーのサラダ、イカリングに白身魚のフライ、コールスローサラダ。普段、我が家の食事として供されないようなものなのが、逆に嬉しい。
ああ、おいしい! 箸が止まらない!
「ありがとう、とてもおいしかったわ」
口元を拭い終わると、お礼を述べる。
「ありがとうございます。もしかして、まだ食べたりなかったりします?」
「いえ、さすがにお腹いっぱいよ。ありがとう。このあとは、どうしましょうか」
「ええと……その。手を繋いでよろしいでしょうか?」
「ええ、よろしくてよ」
突飛もないけど他愛もないお願いを快諾。
彼女が身を寄せてきて、指を絡めてくる。
「ずっと、会長とこうしてみたかったんです。夢が叶いました。嬉しいです」
体も預けてくる。
なんだか私も、胸がぽっぽと熱くなってしまう。
「高井さん」
「すみません。もう少し、このまま」
言われるままにする。これで、少しでも恩返しができるのなら。
どのぐらい、そうしていたろう。
「くしゅん!」
くしゃみしてしまった。
「あ! 寒いですよね! 失礼しました!」
慌てて手を解き、身を離す彼女。
「ううん、ちょっと冷えただけだから」
「いえ、会長が体調を崩されては事ですから!」
「じゃあ、もう一度カフェで、温かい飲み物でもいただきましょうか」
「はい!」
こうして、先程のカフェへ舞い戻ってホットティーを注文し、飲み終わると、私たちのデートはお開きとなった。
◆ ◆ ◆
うーん。
デートしただけでは、お返しがし足りない!
毎日、お弁当を作ってくれる高井さん。
そんな彼女に、もっと恩返しがしたい!
そこで、ある秘密のプロジェクトを遂行中……。
「会長。学院祭まであと一週間ですね」
「早いものね」
高井さん弁当をエネルギー源に指揮を執り、ついにここまでやってきた。
全体の進行は、すこぶる順調。
「あなたのおかげだわ」
「いいえ、これもひとえに会長の頑張りの賜物で」
互いに称賛。
「さて、書類がまだ山積みだわ。一緒に片付けましょう」
「はい!」
このまま皆の作業をほーっと眺めているわけにもいかない。我々生徒会の仕事も山積みだ。
そして、学院祭当日――。
なにぶんお嬢様学校なので、出し物は美術部員や書道部員の書画や、吹奏楽部のオーケストラなど。
クラスの出し物も、概ね上品。
その様子を、あくまで職務として見て回る我々生徒会。
お昼のチャイムが鳴った。
「生徒会も、昼休みにしましょう」
めいめい、散っていく。
「高井さん、一緒に来てくださる?」
「はい!」
二人で、いつものベンチへ。
「では会長、今日は……」
「ありがとう。でも、今日はちょっとしたサプライズがあるの」
そう言うと、お弁当箱を差し出す。
「私も、作ってみたの。食べていただける?」
「会長の手料理ですか! 喜んで!」
蓋を開ける彼女。
頑張ってうちのシェフに習った、料理の数々。
だし巻き卵に、きんぴらごぼう。鮭の塩焼き、ちくわの磯辺揚げに、厚揚げのそぼろあんかけ。
ごはんには、錦糸卵。
「すごい……! わたしのためにここまで……」
「それは、私の言葉でもあるわ。いつも、おいしいお弁当ありがとう。お口に合うといいのだけど」
「いただきます!」
もりもりと食べる彼女。よかった。おいしいと、その食べっぷりが語ってくれている。
「おいしいです、会長!」
お日様笑顔に、胸がぽっと暖かくなる。
「ありがとう。私、自分のぶんを持ってきていないの。高井さんの、いただけるかしら」
「はい!」
二つのお弁当箱をいただく。
おいしいものは、ダブってもおいしい。
「おいしい。今度から、わたしにも高井さんのお弁当を作らせて?」
「そんな、悪いですよ!」
「私がそうしたいからじゃ、だめかしら?」
「そうおっしゃるなら、ありがたくいただきます」
やがて食べ終わり、食後のお茶を愉しむ。秋風が、私たちを撫でていく。
◆ ◆ ◆
学院祭最後の夜。打ち上げ花火が夜空に大輪の花を咲かせていた。
「きれいですね」
「ええ」
高井さんと隣り合い、そのさまをうっとりと眺める。
「このあとはもう、大きなイベントもないわね」
「そう、ですね」
ん? 彼女、ちょっと言い淀んだような。
「不肖高井、副会長として最後までお供します!」
「大げさね」
ちょっと、くすっときてしまう。
「手を、繋いでいいでしょうか」
「構わなくてよ」
彼女が差し出してきた手を握る。
花火ももうすぐ終わり。生徒会の仕事も、一つの山場を超えた。
大学受験も、姉妹校への推薦をいただけることになったので、さほど苦労することもない。
「そういえば、高井さん、進路は?」
「姉妹校の大学に、推薦をいただけることになりました」
「まあ! 私と同じ! 楽しみね」
そう言って微笑むと、彼女も微笑み返す。
最後の花火が爆ぜた。
◆ ◆ ◆
今日も今日とて、生徒会の執務。私たち三年生組の任期はもうすぐ終わるけれど、なんだかんだ、やることは多い。
学院祭は終わったけれど、それこそ私たちが主役となる卒業式が訪れる。私は全卒業生を代表し、答辞を読む予定。
「会長」
高井さんに呼びかけられる。
「何かしら?」
「執務が終わりましたら、少しお付き合い願えないでしょうか」
「ええ、構わないわよ」
お弁当の新しいメニューでも思いついたのかしら。
◆ ◆ ◆
高井さんに連れられ、人気のないところにやってきた。
「どんなご用かしら?」
ずいぶんうら寂しいところに連れてこられたなと思いつつ、用件を尋ねる。
「会長。あの、その……」
言い淀む彼女。気のせいか、頬が紅い。
「会長。恋をしたことはありますか?」
突拍子もない質問返しに、ぽかんとなる。
「ええ、恋!? ええと……そういえばこの十八年、そういう浮ついた気持ちになったことないけれど……」
高井さんの真意がわからない。とりあえず、率直な返事をした。
「わたしは、恋してます」
「まあ! 相手はどなた……って訊くのは失礼かしら?」
「いいえ。その相手は、眼前にいますので」
さあ……っと、秋風が私たちの間を吹き抜ける。
「あの、私!?」
自分を指差すと、耳まで真っ赤になって、おずおずと頷く彼女。
女子校では珍しい話ではないけれど。自分が恋のお相手になってしまうとは……。
でも、嫌な気持ちがしない。むしろ、胸がぽかぽかと暖かくなる。いや、熱い。
「高井さん、なぜ私なの?」
「才色兼備で、それでいて食いしん坊というちょっとした弱点があって……。そこが、たまらなく好きで好きで、好きになりました」
潤んだ瞳で見つめられると、心臓がドキドキしてくる。
ああ、そうか。私も彼女を好いているんだ。
「気持ち、受け取ったわ。そして、私も恋していたみたい。あなたに。抱きしめていい?」
「はい!」
彼女の細い体を、ぎゅっと抱きしめる。晩秋の秋風の中で、彼女の温もりを感じる。
「会長に抱きしめられるなんて、夢みたいです……!」
「胃袋でハートを掴むなんていうけれど、まさにそのとおりね」
くすりと笑む。
「高井さん。キスの経験は?」
「いえ」
「じゃあ、私と一緒ね。捧げ合いましょう?」
「はい……!」
唇を重ねる。
人を愛するって、こんなにも気持ちがぽかぽかして、浮つくものなんだ。
ありがとう、マイ・エンゼル。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
側妃の愛
まるねこ
恋愛
ここは女神を信仰する国。極まれに女神が祝福を与え、癒しの力が使える者が現れるからだ。
王太子妃となる予定の令嬢は力が弱いが癒しの力が使えた。突然強い癒しの力を持つ女性が異世界より現れた。
力が強い女性は聖女と呼ばれ、王太子妃になり、彼女を支えるために令嬢は側妃となった。
Copyright©︎2025-まるねこ
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる