たくげぶ!

みなはらつかさ

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第七話 コンベンションに行こう! ―前編―

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 月曜日。

「授業、きつかった~」

 部室で、だらんと垂れるきいろ。

「きーちゃんの苦手な、英語と社会だったからねー」

「ボク、日本史興味ないのー。高校行ったら、絶対世界史取る~」

「ヨシヨシ」

 にこに、撫でて慰められる。

「面白いのになあ、日本史も」

「勉学性の違いってやつだね~。数学とか理科は楽しいのになあ」

 歌留奈の言葉に、よくわからない造語で答えるきいろ。

「そいや、るーこはどの教科が好き?」

「わたしですか? 国語とか好きですね」

「ほー。ボク、書道も苦手なんだよねー。それはさておき、本筋に話を移して。今日は何やる?」

 垂れ状態から回復。

「ウィングスパンとかどーよ」

「いーね! 二人は?」

「賛成」

「初めてなので、おまかせで」

 ウィングスパンは、鳥を繁殖させて、得点を競うカードゲームだ。様々な勝ち筋がある、よくできたゲームである。

「勝ったー!」

 きいろの勝利宣言。

「く~、ワタリガラスの大回転は、やっぱぶっ壊れだな」

「だね~」

「でも、すっごく面白かったです! 鳥も可愛くて」

 ドベに終わったものの、るうは楽しめたようだ。

「お、好感触。ボクの大回転で、萎えちゃうかと思ったけど」

「いえいえ! それぐらいじゃ、へこみません!」

「あ!」

 突如としてきいろが素っ頓狂な大声を上げ、スマホを取り出す。

「忘れるとこだった。これ、見て!」

「へー、T市でコンベやるのか」

「みんな、行けそう?」

 ノリノリで身を乗り出すきいろたちに、「あの」と挙手する、るう。

「コンベってなんですか?」

「んー? 広い会場借りて、参加費払って、沢山の人でTRPGやるんだー」

「あー……。例の手引きエッセイに、書いてあった気もします。でも、そんな大人数さばき切れるんですか?」

 首を傾げる質問者。

「いや、卓はせいぜい五、六人ってとこじゃないかな? それだけ別れてやるんだ」

「へえ」

「でさ、るーこもいい経験だし、みんなバラバラで参加しない? 知らない人と卓囲むのも、醍醐味だし!」

 目をキラキラさせる、きいろ。

「うわ~……。知らない人ととか、緊張します~」

「何事も、チャレンジだよ!」

 きいろの、サムズアップ。

「で、コンベ参加はいいとして、それまでの方針は?」

「ボクは、プレイヤーで行こっかなって。だから、それまでは、ゲーム制作に集中~」

「私たちも、世界観作り始めた方がいい?」

 自分たちの出番を気にする歌留奈。

「お願い。探検が盛んだった時代でよろ~」

「ざっくりしてんなー」

「ボクが書いた、残念ファンタジー小説見たでしょ? 自慢じゃないけど、世界観構築、ド下手だからね?」

 本当に、自慢にならない。

「あーね……」

 目を逸らす、にこと歌留奈。るうは、すべてを察した。

「わたしにも、手伝えることってあるんでしょうか?」

「その辺は、かるかんたちに訊いてー。ボク、そっち方面、ほんとポンコツだから」

「あ、はい……」

 きいろがへこみ始めたので、流れを打ち切ることにした。

「まー。さしあたっては、コンベ楽しもーぜ!」

「だね」

 元気を取り戻す、きいろであった。


 ◆ ◆ ◆


「とりあえず、探検が盛んだった時代って言うと、大航海時代になるんだけど、どう?」

 当日。行きの電車の中で、そんな話をする歌留奈。

「う~ん……。ボクとしては、定番の探検ルックの似合う時代がいいかな。もう少し、下げられない?」

「わかった。それでやってみる」

「アタシは、タイトル案考えたんだけど、いーか?」

 歌留奈の隣から、身を乗り出してくる、にこ。

「ジ・エクスプローラーズってどうよ。そのまんま、探検隊って意味だけど」

「なんか、パンチが足りないね。……頭に、秘境探検ってつけない?」

「秘境探検 ジ・エクスプローラーズか! いいな!」

 ぱちんと指を鳴らす。

「ところで、るーこが地蔵と化してるけど、だいじょーぶ?」

「スイマセン、緊張しちゃって……」

「取って食われたりしないから、安心しなよ」

 るうの肩を、ぽんぽんと叩く。

「はあ……」

「お。T駅着いたよ。行きやんしょ」

 上機嫌な三人と、不安げなるう。

 「T記念会館」とスマホに入力しながら、会場を目指すのであった。
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