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14 新・百合乱暴

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「二の腕ちゃーん、三度目も逃げずに来たんだァ~」

 バカにする口調で、注射器が言う。

 なんで自分でもここに来たのかわからない。ただ、この注射器から逃げるわけにはいかない、そう思ったのだ。

「くすっ。今度もイジメがいがありそう……」

 注射器は舌なめずりし、二の腕に襲いかかる。ダメ、逃げたいのに力が入らない!

「ひぎぃ!」

 注射器によって穴が広げられ、痛みが走る。

「くすすっ。今日も、いいモン挿入れてあげるね」

 私の中に、いやらしい液とともに、汚らわしい物体が挿入される。嫌ッ! 嫌ァッ!!

「ふう、マンゾクしたぁ~。あんたを汚すのって、ほーんとコーフンしちゃう」

 にちゃあと、変態的な笑みを浮かべる注射器。私は、その場から逃げ出した。

 この汚物をなんとかしないと……!

 注射器によって体内に入れられてしまった汚らわしい代物をなんとかしようと、自分で自分を叩く。すると、穴を開けられたあたりが腫れてしまった。

 なんだか、体が熱い。嫌……私はこんなことで興奮する、変態じゃない!

 狂ったように、自分で自分を叩く。違う! 違う! 私は、あのサディストとは違う! ただ、汚物を消し去りたいだけ!

 何日ぐらい、そうして心身ともに自虐していただろう。

 自分自身を叩きまくるのにも疲れた。

 腫れも、体の熱さも引いている。勝った……。私は、あの変態女の責め苦に勝ったんだ!

 でも。

 一度目も二度目もおんなじことをして。それでまた、三度目もあいつのところに行ってしまった……。

 違う。私は変態じゃない……。
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