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五章 ラグルの呼び声
408.荒野に流れる銀の水
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坂道の先から町を囲む荒野と、一本の大きな川が見えた。
陽光を受け、川面は銀色に輝き、ゆるやかに流れながら、この町に命を運んでいる。
遠くには、茶色い丘がいくつも連なっている。
その向こうはきっと、果てしない砂地となっているのだろう・・・ダルキア砂漠ほどではないにしても。
「・・・あれが、ラグル川ですか」
サラが目を細めてつぶやく。
「そう。川があるからこそ、こんな乾いた土地でも暮らしていけるのよ」
母の声には、どこか懐かしむような響きがあった。
坂を下る途中、石垣の隙間から黄色い小花がのぞき、熱風に揺れていた。
その花は強い日差しにも負けず、土の色と溶け合うように咲いている。
やがて、港についた。
やはり露店が出ており、焼いた薄餅や干し果物、編んだ籠に山盛りのナツメやデーツが並んでいる。
香ばしい匂いと甘い香りが入り混じり、空気が一層濃く感じられた。
「うわ・・・これ、見てるだけで口が甘くなります・・・!」
サラが足を止めると、店主が気前よく試食を差し出してくれる。
「どうぞ。砂糖は使ってないよ。この川沿いの畑で、育てたやつだ」
私もひとつ口に入れると、ねっとりとした甘さが舌に広がった。
それを見たノエルも恐る恐る手を伸ばす。
「・・・これ、骨とか入ってないですよね」
「おいおい・・・これはイチジクだよ?イチジクに骨は入らんよ!」
店主が笑い、周囲の客までつられて笑った。
どうやら今日も、ノエルの“骨チェック”は続くらしい。
港の広場には、木造の桟橋が何本も川面に突き出していた。
ゆったりと流れるラグル川の上には、平底の荷船や小舟が繋がれ、男たちが荷を積み下ろしている。
麻袋や木箱の間からは、干した香草の束や、丸められた絨毯の端がちらりとのぞいていた。
「川なのに、まるで海の港みたいですね」
サラが興味深そうに辺りを見渡す。
「ここは、ラグル川に面する都市の中でもっとも大きいからね。川を使って運ばれるもの、例えば穀物や香辛料なんかは、全部この川を通る・・・って聞いたことがあるわ」
母がそう説明すると、近くの船頭が笑顔でうなずいた。
「それに、この時期は上流から雪解け水が流れてくるから、川がいちばん賑やかになるんだよ」
川辺には、荷運びを終えた船員たちが、屋台で昼食を取っていた。
鉄鍋で焼かれる平たいパンの香ばしい匂い、煮込みスープの湯気、そして香草を刻む包丁の音が、川のせせらぎと混ざり合う。
「・・・あれ、魚ですか?」
ノエルが指差したのは、屋台の端に吊るされた銀色の干物だった。
「川魚だよ。塩をまぶして干したやつだ」
屋台の親父が答えると、ノエルは一歩だけ後ずさる。
「・・・昨日の骨を思い出しました」
サラが吹き出し、私もつられて笑ってしまう。
広場の片隅では、水車がゆっくりと回っていた。
桶から流れ落ちる水が、周囲の畑へと引かれていく。
この町の命が、川とともに脈打っているのがよくわかる光景だった。
陽光を受け、川面は銀色に輝き、ゆるやかに流れながら、この町に命を運んでいる。
遠くには、茶色い丘がいくつも連なっている。
その向こうはきっと、果てしない砂地となっているのだろう・・・ダルキア砂漠ほどではないにしても。
「・・・あれが、ラグル川ですか」
サラが目を細めてつぶやく。
「そう。川があるからこそ、こんな乾いた土地でも暮らしていけるのよ」
母の声には、どこか懐かしむような響きがあった。
坂を下る途中、石垣の隙間から黄色い小花がのぞき、熱風に揺れていた。
その花は強い日差しにも負けず、土の色と溶け合うように咲いている。
やがて、港についた。
やはり露店が出ており、焼いた薄餅や干し果物、編んだ籠に山盛りのナツメやデーツが並んでいる。
香ばしい匂いと甘い香りが入り混じり、空気が一層濃く感じられた。
「うわ・・・これ、見てるだけで口が甘くなります・・・!」
サラが足を止めると、店主が気前よく試食を差し出してくれる。
「どうぞ。砂糖は使ってないよ。この川沿いの畑で、育てたやつだ」
私もひとつ口に入れると、ねっとりとした甘さが舌に広がった。
それを見たノエルも恐る恐る手を伸ばす。
「・・・これ、骨とか入ってないですよね」
「おいおい・・・これはイチジクだよ?イチジクに骨は入らんよ!」
店主が笑い、周囲の客までつられて笑った。
どうやら今日も、ノエルの“骨チェック”は続くらしい。
港の広場には、木造の桟橋が何本も川面に突き出していた。
ゆったりと流れるラグル川の上には、平底の荷船や小舟が繋がれ、男たちが荷を積み下ろしている。
麻袋や木箱の間からは、干した香草の束や、丸められた絨毯の端がちらりとのぞいていた。
「川なのに、まるで海の港みたいですね」
サラが興味深そうに辺りを見渡す。
「ここは、ラグル川に面する都市の中でもっとも大きいからね。川を使って運ばれるもの、例えば穀物や香辛料なんかは、全部この川を通る・・・って聞いたことがあるわ」
母がそう説明すると、近くの船頭が笑顔でうなずいた。
「それに、この時期は上流から雪解け水が流れてくるから、川がいちばん賑やかになるんだよ」
川辺には、荷運びを終えた船員たちが、屋台で昼食を取っていた。
鉄鍋で焼かれる平たいパンの香ばしい匂い、煮込みスープの湯気、そして香草を刻む包丁の音が、川のせせらぎと混ざり合う。
「・・・あれ、魚ですか?」
ノエルが指差したのは、屋台の端に吊るされた銀色の干物だった。
「川魚だよ。塩をまぶして干したやつだ」
屋台の親父が答えると、ノエルは一歩だけ後ずさる。
「・・・昨日の骨を思い出しました」
サラが吹き出し、私もつられて笑ってしまう。
広場の片隅では、水車がゆっくりと回っていた。
桶から流れ落ちる水が、周囲の畑へと引かれていく。
この町の命が、川とともに脈打っているのがよくわかる光景だった。
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