灼炎の転生魔女〜いじめられて自殺した私、異世界で炎の魔女の娘に転生しましたが、今度こそ強く生き抜きます!〜

銀鏡。

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六章 トーア、冷たき国

571.液体の胎動

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 魔力の満ちる土地に入ってから、私たちは常に気を引き締めて進んでいった。
そんな、昼過ぎのことだった。

突如、ヴァルナが球体から飛び出してきた。私たちは驚いたが、母とフィアは「研究が一段落したのか」とむしろ安心したような声を出した。

 結論から言うと、確かにヴァルナの研究は一段落したようだった。
ただ、同時に恐ろしい事実も判明した。

ヴァルナが球体の中で研究していたのは、以前ラガンが落としたケースの中に入っていた液体。
最初ヴァルナとしては、何らかの薬品ではないかと考えていたようだが、それは間違いだった。

調べた結果、液体の中には無数の小さな虫の卵があり、液体はそれらの虫を生かしておく培養液のようなものであることがわかった。

 そしてこの虫は、なんとヴェリタルスと近縁の仲間。やはりというか、生活環や人への病原性、発現する症状も似たようなものと思われる。

その証拠・・・というには軽率だが、この虫はタルス貝に入り込んで成長・分裂し、やがて出てくるということがわかった。
ちなみに、この貝はヴァルナが研究用に飼育していたものだ。

 ヴァルナは、「推測でしかないが、この虫はヴェリタルスと同等の危険性を孕んでいる可能性がある」とし、ラガンがこれを持っていた理由が気になると言った。

「これもまた、推測でしかないんだけど・・・彼らは、この虫を何かに利用するつもりだったんじゃないかしら。それで、彼らの幹部の1人であるラガンが、生きた虫の卵を持っていた・・・ってことなのよ、きっと」

寄生虫を使って何をするつもりだったのか、想像はつかないが、犯罪組織が考えることなんて、ろくなことではないだろう。
近縁種だというヴェリタルスの引き起こした惨禍を考えると恐ろしい話だが、あり得ない話ではない。

「そうだとすると、なおのこと早く密売組織のアジトを見つけなきゃですね」

「それについては心配ないわ。虫が入ってたケースに多少の魔力が残ってたから、それと同じ魔力を探知魔法で探れば、アジトの場所を突き止められるはず」

「あ、なるほど!それなら、すぐわかりそうですね」

「ええ。・・・それで早速なんだけど、魔力は北西の方から感じる。というわけでフィア、北西に進路を向けてくれない?」

「了解しました、姉様!」

 ヴァルナの言葉に従い、フィアはすぐに進路を北西に向ける。
そちらには、大きく盛り上がった丘のような地面が見えるが、山とまではなっていない。登るのは、そう難しくないだろう。

「それにしても、寄生虫を使って何をするつもりだったのかしら。まさか、国中にばらまくつもりだったわけじゃないでしょうね・・・」

フィアが恐ろしく不穏なことを言った。

「ま、まさか。さすがにそんなことはしませんよ、たぶん・・・」
サラは震えながら、そう答えた。

「だといいのですけど・・・」

いずれにせよ、よからぬことを企んでいる気配はするわね、と母が言った。
「新たな悪事を働かれる前に、彼らを黙らせないと」

 正直、私もそう思う。
彼らが、寄生虫を使って何をするつもりなのかはわからないが、少なくともいいことではないに違いない。

ただでさえ、トーア国内外で違法取引をしている連中なのだ。新たによからぬことを実行される前に、止めなくては。
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