女しかいない異世界に転移した僕は、異種族美女たちに求められて孕ませ中出ししまくります

銀鏡。

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第四部 吸血鬼の異種族

第82章 第一の姫

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 塔の回廊をひとり歩いていたとき、不意に背後に気配を感じた。
振り向くと、そこにラヴィナがいた。

赤く淡く光る瞳。夜の闇に溶けるような深い紫の髪。
彼女は、まるで闇そのものが形を取ったように静かで美しかった。

「はあい、海斗。……ご機嫌いかが?」

「……うん、まあ。それなりに、ね」

「そっか。……ふふ、いい夜だね。月も綺麗」

 その微笑みに、僕は思わず息を呑んだ。
十一人の妹たちと過ごしてきたはずなのに、彼女の笑みには、まだ見たことのない深さがあった。

「せっかくだし、少し付き合ってもらおうかな」

そう言って、ラヴィナは自然に僕の手を取った。
冷たいけど、どこか安心する触れ方。僕は抵抗もできず、そのまま手を握り返した。


 彼女に導かれて塔を抜け、月の光に照らされた庭園へと出る。
夜の空気はひんやりしていて、花の香りが胸いっぱいに広がった。

「……あんたって、ほんと忙しいわよね。妹たちに囲まれてさ」

「……まあ、そうだね。まさか、こんなふうになるなんて思わなかったけど」

 ラヴィナが小さく笑う。
その笑いはどこか艶やかで、でも鋭さもあって――“長女”としての風格があった。

「あたし、あんたの役目も重さも理解してる。妹たちが惹かれて、求めて、抱かれて、子を宿していくことも……全部、望まれていた流れだって」

彼女の声がそこで少しだけ揺れて、ふっと僕の目を見た。

「でも、あたしは“長女”ってだけで、そこに立ち尽くしてる気はないのよ」

 月明かりが、ラヴィナの横顔を柔らかく照らしていた。

「ねえ、海斗。……あんたにとって、ヴァルラーナの姫たちを抱くって、どういう意味?」

夜風が吹き、彼女の髪が僕の肩に触れる。
その一瞬が、まるで儀式の始まりみたいだった。

目の前のラヴィナは、たしかに「長女」だった。
でもそれだけじゃない――彼女自身の意志と、欲望を持ったひとりの女だった。

「ねえ……あたしも、あんたに抱かれる資格、あるわよね?」

彼女の赤い瞳が、揺らがずに僕を射抜いていた。


 目の前のラヴィナは、他の誰とも違っていた。
静かな夜の中で、彼女の存在だけが鮮烈だった。

「……あたしは、ヴァルラーナの現当主。そして、第一の姫よ。十一人の妹たちを束ねてきた、血族の頂点」

その声に、迷いはなかった。
けれど、それはただの威厳ではなかった。
誰よりも妹たちの命を背負い、導いてきた重みがあった。

「当主としての義務は果たしてきた。けどね、あたし個人としての願いは、まだ一つも満たされてないの」

 ラヴィナの手が、僕の胸にそっと触れる。
冷たい指先が、鼓動を確かめるように、じっとそこにあった。

「十一人の妹たちが、あんたに抱かれ、あんたの子を宿していくのを見てきた。あたしは当主として、それを祝福してきた。けど、それだけじゃもう……足りないのよ」

その瞬間、彼女の瞳に宿った感情は、他の誰のものとも違っていた。

それは愛ではなかった。欲望とも違う。
もっと強くて、もっと深くて――痛いほど切実な「渇き」だった。

「第一の姫としてじゃない。あたしという“女”として、あんたに、名実ともに選ばれたくてたまらないの」

 僕は、その気持ちを拒む理由を、もう持っていなかった。

夜の庭園に、彼女と僕の吐息が静かに溶けていく。
月の光が彼女の髪を照らし、花々がそっと揺れる。

僕は彼女の手を取って、そっと引き寄せた。

その口づけは、誓いのようだった。
長く孤独を背負い続けた「当主」に捧げる、僕なりの答えだった。


 ラヴィナの手を取ったまま、僕はしばらく言葉を探していた。
彼女の指先は細く、冷たいのに、どこかあたたかくて……。

それが、これまでどれだけ孤独の中にあったかを、無言のうちに伝えてくる気がした。

「……君も、苦しかったんだね」

その言葉に、ラヴィナの瞳がふるえた。
彼女の唇が微かに開いて、でも何も言わない。

「僕は……十一人の妹たちと過ごして、少しずつここに馴染んでいった。でも、その陰で、君がずっと“第一の姫”として一人で支えてきたことに、気づけていなかった」

「……気づかなくて当然よ」

 ようやく絞り出した声で、ラヴィナが言った。
それは、諦めにも似た静けさを湛えていた。

「あたしが“当主”として存在する限り、あんたに甘えるわけにはいかなかった。妹たちの前で、情けない姿なんて見せられないから」

「でも、今は……」

僕はラヴィナの手を、両手で包み込むように握った。

「今は、君がどれだけ大事か、わかる。君がいたから、みんなが安心して僕に身を任せられた。君がいたからこそ、僕も――ここにいるんだと思う」

 ラヴィナは、ふっと笑った。
それは、威厳でも飾りでもない。素の彼女の笑顔だった。

「……そんなふうに言われたの、初めてよ」

その声が震えていた。けれど、そこにあるのは恐れでも羞恥でもない。
ただ、誰かに理解されることの喜び――。

彼女は僕の胸にそっと額を預けた。

「……お願い。“女”として、あたしを抱きしめて。“当主”も“姫”も捨てて、ただのラヴィナとして」

 僕は何も答えず、ただ彼女の体を静かに抱きしめた。
重なる体温の中で、孤独も重圧も、少しずつ溶けていく。

言葉はいらなかった。
この瞬間だけは、肩書きも責務もすべて捨てて――
ただ、ひとりの女と、ひとりの男として。


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