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授業(体育)
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一限目は考え事をしてたら終わった。
気づけば板書もとらずノートに変なことを書き連ねていた。それをゆっくり消しゴムで消している途中にチャイムが鳴り授業はおわった。
二限目を前にして10分という少ない休み時間であることを悩んでいた。体育をするかどうかだ。運動はできない方ではない。鉄棒もマット運動もできる。50メートルだって7秒4だ。決して遅くはないと思う。ただバスケだけは苦手というだけだ。今日の体育はサッカーだ。足も痛くないし、風邪気味でもない普通なら楽しくやっていただろう。しかし今日は暑い。こうなってくると話は別だ。休む休まないではなく、サボるサボらないになってくる。もし体育をして熱中症になったとしよう。それでは俺の目標である、平凡な生活からかけ離れてしまう。何事があってしまうのだ。それは避けねばならない。しかし、必ずしも熱中症になるとは限らないのだ。むしろサボりがばれ説教、なんて可能性だって捨てきれない。だからこそ悩んでいる。どちらを取るべきか、どちらが正しい選択なのかを。
「せんちゃん何してんだ。早く着替えろよ」
ドゥ、黙っていてくれ。俺は人生のかかった選択をしているんだ。
「早く行こうぜ。あ、もしかして朝のこと怒ってる。悪かったよ。謝るからさ」
朝のことなど忘れかけていた。もうどうでもいいことだから。
「なあ本堂、お前はドゥってあだ名気に入ってるか」
俺はこいつで賭けをすることにした。もしイエスと答えたなら俺は体育をする。ノーなら保健室だ。さあ答えろ。
「ああ、気に入っているよ。サイコーだ」
どうやら結果は体育のようだ。仕方ない着替えて行くとするか。
そして二度とドゥというあだ名の使用はしないと誓おう。
「やっと着替えるのか」
「ああ、すぐ終わる。ちょっと待っててくれ」
外に出てとても後悔した。暑いなんてもんじゃない。とても七月の初めとは思えん暑さだった。三十度なんて軽く超えているはずだ。
準備体操で汗がかなり出てきた。その後のグラウンド2周なんてコップに水が溜めれるくらいは出たんじゃないかというほどの汗の量だ。この時点でこれではサッカーが始まったらどうなることか、とてもわかったもんじゃない。
「まずはパス回しからだ。三人一組でな」
日陰から指示を出してくるのがとても腹立たしい。早く日向へ出してやりたい。
「三人一組だってよ。もう一人どうする」
「誰でも良いだろ、本堂連れてきてよ」
「オッケ、坂本やらねえか」
「やるやる」
坂本くんか。俺はあまり接点がないから印象が薄いな。本を読んでそうという感想しか出て来ない。
「じゃあ、軽くやりますか」
返事をするのも面倒かったので黙ったまま少し距離をとった。
パスは2周に比べれば楽だ。立って足を振れば良いだけだから、だがこの後の試合を考えると悲しくなってきた。
「おい、せんちゃんボールいったぞ」
気付いた時にはボールは斜め後ろを転がっていった。せっかく立っているだけでよかったパス回しで移動する羽目になるとは。坂本くんが申し訳なさそうに頭を下げている。それを見ているとこちらも申し訳なく感じてしまう。
「俺が悪かった。取ってくるよ」
こんな言葉で坂本くんが責任を感じなくなるとは思っていない。ただ少しでも良い軽くなればいいと思って声をかけたのだ。
俺がボールを手に取った瞬間、担当の先生が立ち上がった。何を言うかは予想できる。
「パスは終わりだ。試合するぞ」
予想的中。嬉しさと悲しさが同時にやってきた。
「チームは前と一緒で三チームだ。みんながボールを触れるようやれよ」
そう言い、日陰へ腰を下ろした。
今、うちのクラスは憎き田島が抜け31人だ。だから人数が12.12.11になってしまう。一人いるといないとではプロではかなり違うだろうが、こちらは素人だ。あまり問題はないだろう。多分。
残念なことに俺は11人のチームなので他のチームの人より多く動かなくてはいけないのではないのかと言う不安でいっぱいだ。
「そうだ、一人転校したそうだな。11人のチームができてしまうがたくさん動けば問題ないか」
独り言のように体育担当は言った。それにどんな意味があるかはっきりは分からないが、動けよと言うのは伝わった。
なら、期待に応えて最小の運動で試合を終えてやろうではないか。
試合は総当たりなので1チーム2試合行った。つまり一試合分は休めるということだ。この休みがどこになるかによってかなり違う。最初に休みだけは勘弁してほしい。できれば真ん中休みが好ましいが、全てはじゃんけんで決まる。あの理不尽な運ゲームで。
「じゃんけんぽん」
見事に負けてくれた。じゃんけんをしたキャプテンには人一倍動いてもらうとしよう。
案の定休みは最初の試合となった。こうなっては割り切るしかない。
はじめの試合が終え、ついに俺たちの今日初試合だ。早く終わってくれ。
二試合を終えた時には汗がダラダラ流れていた。できる限りサボったつもりだが、まだ足りなかったようだ。
ともかく体育はこれでおしまい。早く教室に戻りたい。
熱中症にならなかったのだけはよかった。
気づけば板書もとらずノートに変なことを書き連ねていた。それをゆっくり消しゴムで消している途中にチャイムが鳴り授業はおわった。
二限目を前にして10分という少ない休み時間であることを悩んでいた。体育をするかどうかだ。運動はできない方ではない。鉄棒もマット運動もできる。50メートルだって7秒4だ。決して遅くはないと思う。ただバスケだけは苦手というだけだ。今日の体育はサッカーだ。足も痛くないし、風邪気味でもない普通なら楽しくやっていただろう。しかし今日は暑い。こうなってくると話は別だ。休む休まないではなく、サボるサボらないになってくる。もし体育をして熱中症になったとしよう。それでは俺の目標である、平凡な生活からかけ離れてしまう。何事があってしまうのだ。それは避けねばならない。しかし、必ずしも熱中症になるとは限らないのだ。むしろサボりがばれ説教、なんて可能性だって捨てきれない。だからこそ悩んでいる。どちらを取るべきか、どちらが正しい選択なのかを。
「せんちゃん何してんだ。早く着替えろよ」
ドゥ、黙っていてくれ。俺は人生のかかった選択をしているんだ。
「早く行こうぜ。あ、もしかして朝のこと怒ってる。悪かったよ。謝るからさ」
朝のことなど忘れかけていた。もうどうでもいいことだから。
「なあ本堂、お前はドゥってあだ名気に入ってるか」
俺はこいつで賭けをすることにした。もしイエスと答えたなら俺は体育をする。ノーなら保健室だ。さあ答えろ。
「ああ、気に入っているよ。サイコーだ」
どうやら結果は体育のようだ。仕方ない着替えて行くとするか。
そして二度とドゥというあだ名の使用はしないと誓おう。
「やっと着替えるのか」
「ああ、すぐ終わる。ちょっと待っててくれ」
外に出てとても後悔した。暑いなんてもんじゃない。とても七月の初めとは思えん暑さだった。三十度なんて軽く超えているはずだ。
準備体操で汗がかなり出てきた。その後のグラウンド2周なんてコップに水が溜めれるくらいは出たんじゃないかというほどの汗の量だ。この時点でこれではサッカーが始まったらどうなることか、とてもわかったもんじゃない。
「まずはパス回しからだ。三人一組でな」
日陰から指示を出してくるのがとても腹立たしい。早く日向へ出してやりたい。
「三人一組だってよ。もう一人どうする」
「誰でも良いだろ、本堂連れてきてよ」
「オッケ、坂本やらねえか」
「やるやる」
坂本くんか。俺はあまり接点がないから印象が薄いな。本を読んでそうという感想しか出て来ない。
「じゃあ、軽くやりますか」
返事をするのも面倒かったので黙ったまま少し距離をとった。
パスは2周に比べれば楽だ。立って足を振れば良いだけだから、だがこの後の試合を考えると悲しくなってきた。
「おい、せんちゃんボールいったぞ」
気付いた時にはボールは斜め後ろを転がっていった。せっかく立っているだけでよかったパス回しで移動する羽目になるとは。坂本くんが申し訳なさそうに頭を下げている。それを見ているとこちらも申し訳なく感じてしまう。
「俺が悪かった。取ってくるよ」
こんな言葉で坂本くんが責任を感じなくなるとは思っていない。ただ少しでも良い軽くなればいいと思って声をかけたのだ。
俺がボールを手に取った瞬間、担当の先生が立ち上がった。何を言うかは予想できる。
「パスは終わりだ。試合するぞ」
予想的中。嬉しさと悲しさが同時にやってきた。
「チームは前と一緒で三チームだ。みんながボールを触れるようやれよ」
そう言い、日陰へ腰を下ろした。
今、うちのクラスは憎き田島が抜け31人だ。だから人数が12.12.11になってしまう。一人いるといないとではプロではかなり違うだろうが、こちらは素人だ。あまり問題はないだろう。多分。
残念なことに俺は11人のチームなので他のチームの人より多く動かなくてはいけないのではないのかと言う不安でいっぱいだ。
「そうだ、一人転校したそうだな。11人のチームができてしまうがたくさん動けば問題ないか」
独り言のように体育担当は言った。それにどんな意味があるかはっきりは分からないが、動けよと言うのは伝わった。
なら、期待に応えて最小の運動で試合を終えてやろうではないか。
試合は総当たりなので1チーム2試合行った。つまり一試合分は休めるということだ。この休みがどこになるかによってかなり違う。最初に休みだけは勘弁してほしい。できれば真ん中休みが好ましいが、全てはじゃんけんで決まる。あの理不尽な運ゲームで。
「じゃんけんぽん」
見事に負けてくれた。じゃんけんをしたキャプテンには人一倍動いてもらうとしよう。
案の定休みは最初の試合となった。こうなっては割り切るしかない。
はじめの試合が終え、ついに俺たちの今日初試合だ。早く終わってくれ。
二試合を終えた時には汗がダラダラ流れていた。できる限りサボったつもりだが、まだ足りなかったようだ。
ともかく体育はこれでおしまい。早く教室に戻りたい。
熱中症にならなかったのだけはよかった。
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