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授業一
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5分くらいぼぉーとしていた。特に話しかけて来るやつもおらず、ただ時が過ぎるのを待っていた。
一限目なんだったかな。理科か家庭科だったはずだ。どうしても思い出せない。
自力で思い出したかったが、他人の力を借りるしかない、隣の人の机の上を見る。何も乗っていない、ハズレだ。なら後ろはどうだ。理科の教科書が載っていた。よし、あたりだ。理科ならカバンの中にある動かなくていい、これはかなり嬉しい。
理科の教科書とノートと筆箱を机の上に出し、チャイムが鳴るのを待った。
「おはようございます」
「おはよう」
理科担当の前田先生が来たようだ。かなり年配の先生で厳しそうな顔をしているが、明るく優しいいい先生だ。俺の中で先生ランキングトップスリーに入っている。
前田先生が来たということは授業3分前だろう。毎回律儀に3分前には来るので間違いない。暇だったので確認も込め後何秒で授業が始まるか数えていることにした。
《キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン》
164秒。
人間が数えたから誤差があるとして、約3分だ。さすがは前田先生。今日もいい調子です。
「それでは授業を始めますか。学級委員さんお願いします」
「起立、礼、お願いします」
「お願いします」
「はい、お願いします。えー、前回は酸とアルカリの違いについてやりました。今日はその続きをしていきたいと思います」
前田先生は好きだが、授業は嫌いだ。まず退屈である。そして、暇である。待てよ、暇と退屈は同義じゃないか。そんなことはどうでもいいか。先生は授業を進めている。俺はある程度進んだら板書を取るという動作を50分繰り返す。いつものことだ。基本的には落書きをしたり、考え事をしたりしている。おかげさまでテストは良いとは言えない点数を取っているが、気にはしていない。
今日は久々に俺の望む平凡な生活についてでも考えるか。平凡という言葉は普通という意味だと思っている人が多いと思う。辞書で引いてもありふれたこと、と出て来るので間違いではないと思う。しかし俺はこの平凡という言葉を、そういった意味とはちょっと違った捉え方をしている。
平凡とは何事もないこと、であると。
恐らく、何事もないという意味を持つ言葉は他にあるだろう。しかし、あえて俺は平凡という言葉をそう捉えた。何事もない、そう平凡なことこそこの世の至極の幸せであると俺は信じている。
俺の目標は平凡な生活をするでここ数年は固まっている。余程のことがあってもこれは変わらない自信がある。
「この問題を東くん解いてみて」
急なことで驚いた。答えどころか問題すらわからない問題を解けとは、俺が授業を聞いてなかったのが悪いが、俺を当てた先生も悪い。こんな理不尽なことを考えずにこたえを言わないと。
「二だよ」
後ろから天使からのささやきが。
「二です」
「正解。これはここがこうだから」
なんとかやり過ごせた。後ろの天使、もとい吾郷くんに感謝しなくては。
「ありがとう」
吾郷くんは天使さながらの微笑みを返してきた。俺は前に向き直し、天に向かって吾郷くんへの感謝を再び伝えといた。
一度当った人は二回目が来ないという謎のルールがあるのであとは安心して自分の時間に使える。
授業は残り20分だ。
一限目なんだったかな。理科か家庭科だったはずだ。どうしても思い出せない。
自力で思い出したかったが、他人の力を借りるしかない、隣の人の机の上を見る。何も乗っていない、ハズレだ。なら後ろはどうだ。理科の教科書が載っていた。よし、あたりだ。理科ならカバンの中にある動かなくていい、これはかなり嬉しい。
理科の教科書とノートと筆箱を机の上に出し、チャイムが鳴るのを待った。
「おはようございます」
「おはよう」
理科担当の前田先生が来たようだ。かなり年配の先生で厳しそうな顔をしているが、明るく優しいいい先生だ。俺の中で先生ランキングトップスリーに入っている。
前田先生が来たということは授業3分前だろう。毎回律儀に3分前には来るので間違いない。暇だったので確認も込め後何秒で授業が始まるか数えていることにした。
《キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン》
164秒。
人間が数えたから誤差があるとして、約3分だ。さすがは前田先生。今日もいい調子です。
「それでは授業を始めますか。学級委員さんお願いします」
「起立、礼、お願いします」
「お願いします」
「はい、お願いします。えー、前回は酸とアルカリの違いについてやりました。今日はその続きをしていきたいと思います」
前田先生は好きだが、授業は嫌いだ。まず退屈である。そして、暇である。待てよ、暇と退屈は同義じゃないか。そんなことはどうでもいいか。先生は授業を進めている。俺はある程度進んだら板書を取るという動作を50分繰り返す。いつものことだ。基本的には落書きをしたり、考え事をしたりしている。おかげさまでテストは良いとは言えない点数を取っているが、気にはしていない。
今日は久々に俺の望む平凡な生活についてでも考えるか。平凡という言葉は普通という意味だと思っている人が多いと思う。辞書で引いてもありふれたこと、と出て来るので間違いではないと思う。しかし俺はこの平凡という言葉を、そういった意味とはちょっと違った捉え方をしている。
平凡とは何事もないこと、であると。
恐らく、何事もないという意味を持つ言葉は他にあるだろう。しかし、あえて俺は平凡という言葉をそう捉えた。何事もない、そう平凡なことこそこの世の至極の幸せであると俺は信じている。
俺の目標は平凡な生活をするでここ数年は固まっている。余程のことがあってもこれは変わらない自信がある。
「この問題を東くん解いてみて」
急なことで驚いた。答えどころか問題すらわからない問題を解けとは、俺が授業を聞いてなかったのが悪いが、俺を当てた先生も悪い。こんな理不尽なことを考えずにこたえを言わないと。
「二だよ」
後ろから天使からのささやきが。
「二です」
「正解。これはここがこうだから」
なんとかやり過ごせた。後ろの天使、もとい吾郷くんに感謝しなくては。
「ありがとう」
吾郷くんは天使さながらの微笑みを返してきた。俺は前に向き直し、天に向かって吾郷くんへの感謝を再び伝えといた。
一度当った人は二回目が来ないという謎のルールがあるのであとは安心して自分の時間に使える。
授業は残り20分だ。
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