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第一章
武器
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ボスを倒した翌日のこと____
「今日と明日は休むとして…とりあえず今日は武器買い換えようかな?」
まだ1年も使ってないとはいえ、冒険者になった時から使っていた物。それなりに愛着は湧いているが……
「武器としての性能がなぁ……」
何せ、初心者用の量産品だ。Cランクとなった今、一度新調するべきだろう。幸い、特殊個体だということであのホブゴブリンは高く売れたから、金はある。問題は……
「既製品か、オーダーメイドか……」
既製品の最大の利点はやはり値段。欠点は自分に合わせられた武器じゃないこと。
オーダーメイドの利点は自分に合った武器になること。重心、長さ、その他色々……。
「オーダーメイド一択だな」
なら店はどこにするか……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カンッ、カンッ、カンッ、と一定のリズムで鉄を打つ音がする。
「ごめんくださーい」
「ちょっと待ってくれ!今忙しいのが分からんか!」
ごもっともなので待つこと10分。立派な髭を蓄えたドワーフがやってきた。
「どうした坊主?」
「武器が欲しくて」
「予算は?」
「このくらい……」
袋の中のお金を見せる。
「何を作るかにもよるが、これなら良い武器が作れるだろうよ。今の武器種は?それは使ってからどのくらいだ?」
「武器はこの剣で、まだ1年も使ってないです」
アイテムボックスから剣を出す。
「ふむ……ちゃんと手入れされているな。これなら安心して武器を渡せる。で、それと…一回振ってみてくれ」
「?分かりました」
どうしてなのかは分からんが、その命令は理解した。「武器は武器屋」ってな!というわけで剣を振る。
「坊主、かなり強えな。それに、剣に振り回されてねぇ。あと、盾は使わねぇだろ?」
「!その通りです」
「なら、武器を変えることをお勧めする。強制はしねぇが、大剣の方が良い。攻撃力は上がるし、何より坊主には大剣の方が性に合うと思うぞ」
「う~ん、じゃあそうします」
「分かった。任せてくれ!坊主の戦い方と、重心の取り方なんかは分かったから良いが…魔法は使うか?」
あの一瞬で分かるのか…?
「まあ、補助程度には」
「なら、この前のエルダートレントの端材を柄にして…後は…よしっ、そうしよう。坊主、今お前が持ってる額の1.5倍くらいになるかもしれん。頑張って貯めてくれ!」
い、今の1.5倍かーー。大変そうだな。
「分かりました……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
2週間後に取りに来い、と言われたので2週間依頼に勤しんだ。
「やっと貯まった~……」
それはそれはもう、とても疲れた。1.5倍から1.8倍くらいにまで増えるかも…と不安になって、予備も含めてそのくらい貯めたせいだ。
というわけで、おっさんの元へ馳せ参じよう!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「坊主、あの頃の25倍になっちまったわ。テヘッ」
そう告げられた瞬間、俺は意識を失った。
「______夫か、大丈夫か坊主!」
誰かが叫んでいる……って!
「武器!」
「起きたか!一言目が『武器』とは中々気が合いそうじゃねぇか」
「…………25倍?」
「あぁ、すまねぇな。色々思い付いて、全部詰め込んだ結果だ。だが、性能は保証するぜ。Sランクでもやってけるだろうな」
おお~、それはすごいのだが…
「お金、そんなに、無い…」
「まあ、こうなったのは俺の責任でもあるから、支払いは長い目で見るさ。で、武器を持ってくるぞ」
それは素直に早く見たい!
「これだ」
彼が持ってきたのは、剣という、そんな荒々しい物では無い。絶妙な調和が取れていて、芸術作品と称するに相応しい物だった。
「………ミスリル?」
「おう。この刃の銘は『歩月』だ」
「こっちは…ダマスカス鋼か!?」
「ああ。それに焼きを入れたらなんか赤くなったんだわ。で、模様をつけた。こっちの刃の銘は『孤陽』」
「すっげぇな……。それぞれの銘の由来は?というかなんで2つの刃が?で、『歩月』の方は…刀か?」
確か刀って東方の刃物だったよな?
「『歩月』の銘の由来は、刀は剣より難しいからゆっくり歩んでけってことと、なんとなく月だ。『孤陽』は、なんか……なんだろうな?よく分からんが、『孤陽』という名前が1番しっくり来た」
な、なんとなくか~。
「ちなみに、この武器の名前は『二王太刀』だぞ!」
「やめてくれ!」
親父ギャグは、親父ギャグだけは辞めてくれ…!
「なんでだよ」
唇を尖らせる。
「いや……」
「ミスリルも、ダマスカス鋼も、武器に使う金属としては至上の物だ。だから、二王。そして、これは太刀に分類されるだろ?だから、そう名付けた。ネタだと思ってるんだろ?そんな訳あるかってんだ!」
「う、疑ってすまなかった。すまない」
「別に構わねぇよ。それと、性能の説明だが……」
その後、2時間ほど自慢を交えられた説明を聞いた。
_________________________
名称『二王太刀』
特徴:
2つの刃が付けられている。ミスリルで出来たのが『歩月』、ダマスカス鋼で出来たのが『孤陽』。切れ味は『歩月』、叩っ斬るのは『孤陽』が向いている。
柄にはエルダートレントが使用されており、魔素との親密性が高い。ミスリルやダマスカス鋼も魔素との親密性が高く、杖と同じように、消費魔力軽減・魔法威力上昇などの効果がある。
グリップにはフロッグ系の魔獣の皮が巻かれており、すっぽ抜けにくい様になっている。
_________________________
画像を見たい方は下のURLをご覧ください。
作者の画力には期待しないよう願います。
原案↓
https://estar.jp/pictures/26194754
カラー版↓
https://estar.jp/pictures/26194755
「今日と明日は休むとして…とりあえず今日は武器買い換えようかな?」
まだ1年も使ってないとはいえ、冒険者になった時から使っていた物。それなりに愛着は湧いているが……
「武器としての性能がなぁ……」
何せ、初心者用の量産品だ。Cランクとなった今、一度新調するべきだろう。幸い、特殊個体だということであのホブゴブリンは高く売れたから、金はある。問題は……
「既製品か、オーダーメイドか……」
既製品の最大の利点はやはり値段。欠点は自分に合わせられた武器じゃないこと。
オーダーメイドの利点は自分に合った武器になること。重心、長さ、その他色々……。
「オーダーメイド一択だな」
なら店はどこにするか……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カンッ、カンッ、カンッ、と一定のリズムで鉄を打つ音がする。
「ごめんくださーい」
「ちょっと待ってくれ!今忙しいのが分からんか!」
ごもっともなので待つこと10分。立派な髭を蓄えたドワーフがやってきた。
「どうした坊主?」
「武器が欲しくて」
「予算は?」
「このくらい……」
袋の中のお金を見せる。
「何を作るかにもよるが、これなら良い武器が作れるだろうよ。今の武器種は?それは使ってからどのくらいだ?」
「武器はこの剣で、まだ1年も使ってないです」
アイテムボックスから剣を出す。
「ふむ……ちゃんと手入れされているな。これなら安心して武器を渡せる。で、それと…一回振ってみてくれ」
「?分かりました」
どうしてなのかは分からんが、その命令は理解した。「武器は武器屋」ってな!というわけで剣を振る。
「坊主、かなり強えな。それに、剣に振り回されてねぇ。あと、盾は使わねぇだろ?」
「!その通りです」
「なら、武器を変えることをお勧めする。強制はしねぇが、大剣の方が良い。攻撃力は上がるし、何より坊主には大剣の方が性に合うと思うぞ」
「う~ん、じゃあそうします」
「分かった。任せてくれ!坊主の戦い方と、重心の取り方なんかは分かったから良いが…魔法は使うか?」
あの一瞬で分かるのか…?
「まあ、補助程度には」
「なら、この前のエルダートレントの端材を柄にして…後は…よしっ、そうしよう。坊主、今お前が持ってる額の1.5倍くらいになるかもしれん。頑張って貯めてくれ!」
い、今の1.5倍かーー。大変そうだな。
「分かりました……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
2週間後に取りに来い、と言われたので2週間依頼に勤しんだ。
「やっと貯まった~……」
それはそれはもう、とても疲れた。1.5倍から1.8倍くらいにまで増えるかも…と不安になって、予備も含めてそのくらい貯めたせいだ。
というわけで、おっさんの元へ馳せ参じよう!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「坊主、あの頃の25倍になっちまったわ。テヘッ」
そう告げられた瞬間、俺は意識を失った。
「______夫か、大丈夫か坊主!」
誰かが叫んでいる……って!
「武器!」
「起きたか!一言目が『武器』とは中々気が合いそうじゃねぇか」
「…………25倍?」
「あぁ、すまねぇな。色々思い付いて、全部詰め込んだ結果だ。だが、性能は保証するぜ。Sランクでもやってけるだろうな」
おお~、それはすごいのだが…
「お金、そんなに、無い…」
「まあ、こうなったのは俺の責任でもあるから、支払いは長い目で見るさ。で、武器を持ってくるぞ」
それは素直に早く見たい!
「これだ」
彼が持ってきたのは、剣という、そんな荒々しい物では無い。絶妙な調和が取れていて、芸術作品と称するに相応しい物だった。
「………ミスリル?」
「おう。この刃の銘は『歩月』だ」
「こっちは…ダマスカス鋼か!?」
「ああ。それに焼きを入れたらなんか赤くなったんだわ。で、模様をつけた。こっちの刃の銘は『孤陽』」
「すっげぇな……。それぞれの銘の由来は?というかなんで2つの刃が?で、『歩月』の方は…刀か?」
確か刀って東方の刃物だったよな?
「『歩月』の銘の由来は、刀は剣より難しいからゆっくり歩んでけってことと、なんとなく月だ。『孤陽』は、なんか……なんだろうな?よく分からんが、『孤陽』という名前が1番しっくり来た」
な、なんとなくか~。
「ちなみに、この武器の名前は『二王太刀』だぞ!」
「やめてくれ!」
親父ギャグは、親父ギャグだけは辞めてくれ…!
「なんでだよ」
唇を尖らせる。
「いや……」
「ミスリルも、ダマスカス鋼も、武器に使う金属としては至上の物だ。だから、二王。そして、これは太刀に分類されるだろ?だから、そう名付けた。ネタだと思ってるんだろ?そんな訳あるかってんだ!」
「う、疑ってすまなかった。すまない」
「別に構わねぇよ。それと、性能の説明だが……」
その後、2時間ほど自慢を交えられた説明を聞いた。
_________________________
名称『二王太刀』
特徴:
2つの刃が付けられている。ミスリルで出来たのが『歩月』、ダマスカス鋼で出来たのが『孤陽』。切れ味は『歩月』、叩っ斬るのは『孤陽』が向いている。
柄にはエルダートレントが使用されており、魔素との親密性が高い。ミスリルやダマスカス鋼も魔素との親密性が高く、杖と同じように、消費魔力軽減・魔法威力上昇などの効果がある。
グリップにはフロッグ系の魔獣の皮が巻かれており、すっぽ抜けにくい様になっている。
_________________________
画像を見たい方は下のURLをご覧ください。
作者の画力には期待しないよう願います。
原案↓
https://estar.jp/pictures/26194754
カラー版↓
https://estar.jp/pictures/26194755
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