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第2節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるデビュー

40.女子高生(おっさん)と陽キャ男子達Ⅱ

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「あ……え? フットサル……? 私、やった事ないけど……」
「アシュナ姐さんはただいてくれるだけでいいから!」

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〈フットサル施設〉

 冬休みも終わりに近づきつつある最中、陽キャ男子達に電話でそう言われ、断りきれずに、俺ことアシュナはフットサル場に来た。
 生涯、関わることも関わりたくもないとも思ってたアクティビティスポットの入口で入場の仕方がわからず戸惑っていると陽キャ男子達の皆が揃ってお出迎えしてくれる。
 全員、サッカー部に所属しているクラスの盛り上げ役的存在のイケメン達だ。顔もイケメン、性格もイケメン、行動もイケメンの相容れない存在……部活でサッカーしてるのに休みの日にフットサルに来るという理解できない行動が更に俺との溝を深める。

「アシュナ姐さん! 今日はマジでありがとう!」

 陽キャ男子達はまるで小学生のように騒ぐ。
 真冬でクソ寒いというのに、陽キャ達のこのバイタリティはどこから発生してるのだろう。放っておいたら山火事が発生するまでバーベキューし続けてるんじゃないだろうか、と辟易していると優しく自然なエスコートで中に案内される。

 この自然なもてなしは流石に陽キャ達といったところだ。これは女子ならば確実に堕ちる。おっさんの俺でさえ悪い気はしない。ハイテンションに付き合うのは疲れるけど。

「私服めっちゃかわいいっすね、アシュナ姐さんなら何着ても似合うだろうけど」
「それな、色の合わせ方最高っすよ」
「うん、凄く可愛い。センスいいよね~」
「あ……ありがと」

 爽やかイケメン達が、口々に至るところを褒めてきてチヤホヤしてくる。
 これ、妹の服だしコーデはおっさんのセンスだけど、おだてられるのも悪くないものだ。ホストに通う女性の気持ちがほんの少しわかった気がした。

「ほんと感謝っすよー、今日のゲームは他校のサッカー部のやつらとなんすけど……勝ったチームが次の大会のシード権を獲得するって流れになっちゃって……」
「そんな学生の賭け事で決まるものなの大会のシード権って!? どんな大雑把な流れでそんな事になるの!? 」
「その相手チームとはしょっちゅう女子混合のミックスフットサルってやつやってんすけど……いつも勝てないんすよ。でもアシュナ姐さんが入ってくれりゃあ楽勝っすよ!」

 え、ちょっとまって。『いてくれるだけでいい』とか言ったくせに、ちゃっかり俺もメンバーに組み込まれてる? 自慢じゃないけど、おっさん運動神経ゼロだし、サッカーすらやった事ないし、ルール知らない。

 と、抗議しようとしたけど、陽キャ達は常時ハイテンションで話す隙がない。今回はヤバくなりそうだ。
 
                  〈続く〉
 
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