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第3節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるアオハル
58.女子高生(おっさん)の困惑
しおりを挟むそれからの日常は一変した。
俺(アシュナ)と結婚したいというイケメン御曹司【鳳凰天馬】がおっさんの百合百合した日常にそれはもうグイグイと入り込んできたのだ。
〈校門〉
「おはよう、波澄アシュナ。今日も麗しいな、なにか困った事はあるか? もしも送迎が必要ならば構わず言ってくれ」
「………」
朝、鳳凰はでかいリムジンに乗り、俺を待ち構えていた。女子生徒がキャーキャー騒ぎながら学校前に囲いや列を作って遠巻きに鳳凰と俺(アシュナ)の組み合わせを尊いといった眼で見つめながら、ケータイのカメラに収めている。
いつもならここで朝風呂に入りたての女子高生達の匂いを存分に嗅ぐのが日課なのだが、それどころではなくなってしまった。
「……今、まさに困ってるところ。通行の妨げになって近隣に迷惑だから速やかに学校に入って。そして二度と私に構わないで」
「その考えには至らなかった、すまない。キミの言に従うとしよう。だが、キミに構うなと言う願いは聞き届けられない。本当ならばすぐにでも寝ているキミの顔を隣で見ていたいくらいなのに……」
女子生徒がその鳳凰の発言に歓声をあげる中、おっさんの心は別の意味で悲鳴をあげていた。イケメンだから許されてるけど普通にセクハラだ。おっさんが同じ事を言ったら懲戒免職になるというのに何だろうかこの差。
とりあえず、二度とリムジンを校門前に停めて待ち伏せしないように約束させた。
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〈翌朝 校門〉
翌日──校庭にヘリコプターが停まっていた。
「おはよう、波澄アシュナ。日ごとに美しさが増していくな、今日は交通の妨げにならないように登校した。これならば文句あるまい」
鳳凰は涼しい顔をして校舎入口で待ち構えていた。
この男は俺にケンカを売っているのだろうか? はたまた単なる馬鹿なのだろうか?
考えるのが面倒なので、トイレに行きたいと誤魔化して教室へと走り抜けた。
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〈休み時間 教室〉
昨夜、小説の書き貯め作業を遅くまでやっていたので午前中なのに睡魔に襲われる。とりあえず授業が終わったので机に伏せ、顔を横に向けて仮眠しているとなにやら周囲がいきなり騒がしくなった。
「おい! 天馬! アシュナちゃんの寝顔を独りじめしてんじゃねえ! みんなで共有するもんだぞ!」
「断る。いずれは俺だけのものになるんだ……だが、お前らの気持ちも理解できなくもない。この俺が特等席だ、後ろの観覧席から眺めるのだけは許可しよう。嫌というのならばこれからは直ぐに特等席を確保することだな」
「くそっ! 仕方ねぇ……明日は俺がアシュナちゃんの目の前を確保してやる! ……それにしても……あぁ……可愛い……」
「ふっ、当然だ……直ぐにでも結婚したい……」
「女神……」
「天使……」
いや、周りでうるっっさいなこいつら。
薄目を開けて見てみると、皆がほっこりした表情で俺の寝顔を微動だにせず見つめていた。なにこれ。
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