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第4節 巻き起こる様々な試練と それをいともたやすく乗り越える女子高生(おっさん)の日常
92.女子高生(おっさん)の苦手なもの②
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「あ……ぁのぅ……アシュナさん……宜しくお願いします……」
「………」
今、クラスの委員長である【鏑木煌花】と共にとある場所へやって来ていた。
どうしてこうなったのか経緯の説明はあとにするとして……おっさん史上最大のピンチに見舞われていることは間違いなかった。
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-2時間前-
「──え? 私と……?」
「はぃ……最先端を行くアシュナさんと是非ご一緒してご教授してほしぃんです……」
鏑木委員長が帰ろうとした俺に声をかけてきたのが発端だった。この子とは前世でも全く接点がなかったし、なんなら今世も初に近い絡みであったので紹介は主観で説明しよう。
名前は【鏑木(かぶらぎ)煌花(きらか)】。背丈は低く、声も小さくていつもおどおどしてる印象。前髪が長く、目が隠れ気味なのもそれを助長している。
イジメられているわけではないと思うが、いつも損な役回りを押し付けられてははっきりと拒否できずに引き受けてしまうような気の小さな娘。
性別は違えど間違いなく、前世の学生時代の俺に近しい陰を行くもの。俺と違ってイジメられてるわけでも『虚無な存在』でもないのが救いか──肌は綺麗だし、顔つきは可愛いらしいと思うのに勿体ない。
おっさんが偉そうに言うのもなんだが、磨けば光る原石だ。
そんな彼女が悲壮な決意で勇気を出して頼みごとをしてきたのだから、シンパシーを感じるおっさんとしてはなるべく頼みを聞いてあげよう、と引き受けてしまった。
彼女からは『最近できたお洒落なカフェに行きたいけど一人じゃ勇気が出ない』から一緒に来てほしいと頼まれた。まぁそれくらいなら、と……詳細を聞かずに了承してしまったのが失敗だった。
きちんと聞いていれば、そのおっさんの苦手な場所への同行に対策を打てたかもしれなかったのに。
「うん、任せてよ。そのくらいのこといつでも頼んで」
「あ、ありがとうございます!」
カッコつけて、そう言ってしまったのを後悔するはめにはるとは思わなかった。
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-再び 現在-
(ふ……普通に入ればいいんだよね……? でも入店した瞬間にメニューを聞かれるタイプの店なのか……それとも席を確保してからカウンターに行けばいいのか……はたまた食券方式なのか……オシャレな服屋みたいに店員が怒涛の先制攻撃(うりこみ)を仕掛けてきたらどうしよう……)
思考の迷宮へと陥りながら、恥ずかしいところを見せるわけにはいかないと、最大の難関である店(ダンジョン)へと足を踏み入れた。
市内に初出店され賑わう陽キャ御用達──大手コーヒーチェーン店且つダメなおっさんに縁なき場所【スタボ】こと【スターボックスコーヒー】へと。
〈続く〉
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