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第5節 女子高生(おっさん)の日常と、いとも愛しい夏休み

177.女子高生(おっさん)と陽女子達と祭りと花火と。。②

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「おっ、すげぇかわい娘ちゃん達! これオジサンからのサービス!持ってって!」
「本当はじゃんけんに勝ったらサービスでもう一個なんだけど……むしろ全部あげっからおっさんとじゃんけんしてくれ!」
「今日は店じまいだ! 何でって……そちらの美少女ちゃんに店ごとプレゼントすっからに決まってんだろ!」

 ──などと、ヤクザまがいのテキ屋達の荒々しい声が祭り会場に響き渡る。
 俺が通る度に、屋台に品物が無くなっていく──これでは祭り荒らしである。




 ヒナヒナ達と花火会場までの屋台道を歩いていると盛況は極まり、注目を一心に集めた。
 それはそうだろう──アイドルにもひけをとらない容姿とスタイルを誇る三名が可憐な浴衣姿で闊歩するとあっては……好色家(エロオヤジ)しかいない(※偏見)香具師(やし)達の眼をイヤでも惹いていた。

 まぁ、その内の10割が俺目当てでしたけど。

 俺含む四人の両手は大量の食料と戦利品との荷物で塞がれてしまった、まったく邪魔でしょうがない。
 せっかく皆仲良く手でも繋いで百合百合しようと思ってたところを。

「もうお腹いっぱいだよ~」
「アシュナ効果凄すぎ……あたし達ほとんど代金払ってないんだけど……」
「あはは、サービスしてくれてるんだからいいんじゃないかな?」

 ともかく、皆楽しんでくれてるようで良かった。
 あとは花火が始まるまで、漫画で定番の『迷子の子供に遭遇』とか『メンバーの誰かが迷子になる』とか『DQNに絡まれる』とかの花火に間に合わなさそうになる盛り上げ系イベントさえ起きなければ…… 

「──あれ~? ヒナちゃんがいないよ~? ……はぐれちゃった?」
「ぅえええ~んっ! おかあさ~んっ!!」
「アシュナ、ヒマリ。この子お母さんとはぐれちゃったんだって、あたし一緒に捜すから先に行ってて」
「よぉ、そこのマブい二人組ちゃん俺らと一緒に夜の花火打ち上げねぇ?」

 全部起きた。
 いつの間にかヒナヒナと逸(はぐ)れ、迷子の子供を発見したヒメが子供を案内所に連れて行き、俺とヒマリ目当てでDQNがナンパしてきた。
 ア●ザーなら死人が出るほどの一波乱巻き起こるフラグイベントの連発だ。

「おい貴様ら、お嬢はご学友達と祭りを楽しんでいる最中だ。用件なら俺が聞こう」
『アシュナ嬢、朝比奈ヒナと姫廻ヒメの両名の位置は捕捉済み。指示するから誘導に従って』

 控えていたコクウさんがDQN達を引き取り、カザカちゃんの衛星支援により難なく二人との再会を果たした。

 秒で解決した。
 山場も盛り上がりも無く──この後に何の波乱も起きなそうな屋形船に乗り込む。この日のために有り余るお金を使って貸し切り手配をしていたのだ。
 船には船頭さん以外……俺たちしかおらず、優雅極まりない料理と戦利品に舌鼓をうち、みんなで笑い合いながら──ようやく、花火の打ち上がる時間となった。

「オチも何も無いし……まぁ、いっか。最後くらいゆったりとした日常で終わるのも悪くないよね」
「アシュナ、何か言った?」
「ぅうん、なにも。さ、そろそろ始まるよ」



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