189 / 268
第5節 女子高生(おっさん)の日常と、いとも愛しい夏休み
177.女子高生(おっさん)と陽女子達と祭りと花火と。。②
しおりを挟む「おっ、すげぇかわい娘ちゃん達! これオジサンからのサービス!持ってって!」
「本当はじゃんけんに勝ったらサービスでもう一個なんだけど……むしろ全部あげっからおっさんとじゃんけんしてくれ!」
「今日は店じまいだ! 何でって……そちらの美少女ちゃんに店ごとプレゼントすっからに決まってんだろ!」
──などと、ヤクザまがいのテキ屋達の荒々しい声が祭り会場に響き渡る。
俺が通る度に、屋台に品物が無くなっていく──これでは祭り荒らしである。
*
ヒナヒナ達と花火会場までの屋台道を歩いていると盛況は極まり、注目を一心に集めた。
それはそうだろう──アイドルにもひけをとらない容姿とスタイルを誇る三名が可憐な浴衣姿で闊歩するとあっては……好色家(エロオヤジ)しかいない(※偏見)香具師(やし)達の眼をイヤでも惹いていた。
まぁ、その内の10割が俺目当てでしたけど。
俺含む四人の両手は大量の食料と戦利品との荷物で塞がれてしまった、まったく邪魔でしょうがない。
せっかく皆仲良く手でも繋いで百合百合しようと思ってたところを。
「もうお腹いっぱいだよ~」
「アシュナ効果凄すぎ……あたし達ほとんど代金払ってないんだけど……」
「あはは、サービスしてくれてるんだからいいんじゃないかな?」
ともかく、皆楽しんでくれてるようで良かった。
あとは花火が始まるまで、漫画で定番の『迷子の子供に遭遇』とか『メンバーの誰かが迷子になる』とか『DQNに絡まれる』とかの花火に間に合わなさそうになる盛り上げ系イベントさえ起きなければ……
「──あれ~? ヒナちゃんがいないよ~? ……はぐれちゃった?」
「ぅえええ~んっ! おかあさ~んっ!!」
「アシュナ、ヒマリ。この子お母さんとはぐれちゃったんだって、あたし一緒に捜すから先に行ってて」
「よぉ、そこのマブい二人組ちゃん俺らと一緒に夜の花火打ち上げねぇ?」
全部起きた。
いつの間にかヒナヒナと逸(はぐ)れ、迷子の子供を発見したヒメが子供を案内所に連れて行き、俺とヒマリ目当てでDQNがナンパしてきた。
ア●ザーなら死人が出るほどの一波乱巻き起こるフラグイベントの連発だ。
「おい貴様ら、お嬢はご学友達と祭りを楽しんでいる最中だ。用件なら俺が聞こう」
『アシュナ嬢、朝比奈ヒナと姫廻ヒメの両名の位置は捕捉済み。指示するから誘導に従って』
控えていたコクウさんがDQN達を引き取り、カザカちゃんの衛星支援により難なく二人との再会を果たした。
秒で解決した。
山場も盛り上がりも無く──この後に何の波乱も起きなそうな屋形船に乗り込む。この日のために有り余るお金を使って貸し切り手配をしていたのだ。
船には船頭さん以外……俺たちしかおらず、優雅極まりない料理と戦利品に舌鼓をうち、みんなで笑い合いながら──ようやく、花火の打ち上がる時間となった。
「オチも何も無いし……まぁ、いっか。最後くらいゆったりとした日常で終わるのも悪くないよね」
「アシュナ、何か言った?」
「ぅうん、なにも。さ、そろそろ始まるよ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる