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最終節.女子高生(おっさん)の日常と、いともたやすく創造されしNEW WORLD
233.????なセカイ②
しおりを挟む「──な、なんですとぉっ!? ではその金髪美少女に吸われてしまったでござるかっ!?」
「いや……さすがに街中でそんなことはしないから」
教室内、先ほど起きた珍事件を話すと同志のケンが大仰な声を挙げて注目を集めた。
「くぅぅっ! 羨ましい……アシュラがじゃなくてその金髪女が……」
「ちょっとクソオタク共ー、朝っぱらから馬鹿なこと言ってアタシのアシュラっちを汚さないでくんないかなこの豚野郎」
「はぁうっ!? 白ギャルからの冷たい視線と辛辣な言葉っ……はぁはぁ……」
「相変わらずどMだね皆は。俺もだけど、はぁはぁ……」
「……なんでアシュラくんまで興奮してるんですか……」
90年代の学園モノのような仲睦まじい雰囲気の中──窓から重厚な排気音が風にのって舞い込んできた。
踊(ダンス)っちまったかのように停められた真っ赤なスポーツカーから現れたのは『実在したえちえち養護教諭』の異名を持つ【桜花(くらは)】先生だ。
彼女はこちらを見て俺を視認するや否や……タイトスカートをほんの少しずらし上げ、大人のストッキング太ももを存分に堪能させてくれた。
「おぅふっ!? アシュラ殿!! クラハ先生ですぞっ!!」
「みんな感謝しよう!! 朝からありがとうございますっ!」
「「「ありがとうございますっ!」」」
「………男子って本当バカだよねー」
「本当ですね……」
皆(野郎共)が窓際に集まり、女子達から嫉妬を孕んだ軽蔑の視線を送られていると担任が教室に入ってきた。
「喜べ男子ー、今日は噂の転校生が来たぞー」
「【七海八天】よ、よろしく」
担任の後ろから出てきてぶっきらぼうに自己紹介を始めた転校生は、今朝ぶつかった金髪の美少女だった。
「あーっ!! あなたは……今朝の変態女!?」アシュナ立ち上がる
「誰が変態女よ!! せっかく噂のアシュラ君目当てで転校してきたのに……ただの兄妹のくせにやたら干渉してこないでくれない!?」ヤソラ怒る
「ただの兄妹じゃありません!」アシュナ照れる
「あ……あのぅ、授業中やからもちっと静かに……」キラカおどおどしながら割って入る
「鳳凰家が許す、この際だからアシュラが誰のものかはっきりさせようじゃないか」テンマ立ち上がる
「あら、遂に年貢を収める気になりましたの?」メラギ教室に入ってくる
「私達もアシュラを渡す気はないよー」ヒナ参戦する
(一同アシュラ争奪のため奮起する、以下アドリヴ)
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エ●ァパロが終わると、場所は再び何もない真っ白な空間へと戻っていた。
──どうだった?
「いや……どうだったって言われても……なにこれ? 思いっきりエ●ァのテレビ版最終回パロったものを見せられただけなんだけど……」
──いや、そこは『こんな世界もあり得るんだ』って気づいてからの『おめでとう』に繋げたいんだけど。
「エ●ァはもういいって!! なにがしたいんだよキミは!?」
──だってさっき『エ●ァの駄目な大人達か』って突っ込まれたから。
奥さんの方のキヨちゃんはそう言って姿を顕現する、やっぱり特に意味の無い……復讐からくる悪戯(いたずら)の類だったらしい。
「意味が無いってことはないよ、今のは誰も見た事の無い──まだ産まれていないif(もしも)の世界……わっちが『こんな感じだろうな~』って想像したのをアシュラ君に先行体験してもらったでござんす」
「……もうキャラ造りはいいから普通に喋ってくれません?」
「いやー【娚人】になると自分の同一性を保つのが難しくてさ。ちなみに今のお話の中でおかしかった部分に気づいた?」
「いや、おかしいところしかなかったけど……引っ掛かったのは自分の性別が『男』なのか『女』なのかはっきりしなかったところ……かな? テンマは男なのに俺にプロポーズしてたって話だし……なのにおち●ちんはちゃんとあったし……」
「そう、それが【娚人】のチカラ。性別を越えた存在になる。波澄阿修凪がアシュラ君を強く想い、アシュラ君がセカイに留まりたいと強く想うことで創造された新たな道──貴方はこの世界で【娚人】として新たに生を受けることになりました」
「………………えっ?」
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