【箱庭(ラインクラフト)】~お荷物として幼馴染みに殺されかけた俺は転生の創造主の力で世界を創り変える、勿論復讐(ざまぁ)も忘れずに~

司真 緋水銀

文字の大きさ
6 / 76
チュートリアル

#004~箱庭入門『課金』

しおりを挟む

 俺は立ったまま視点を下にして【アイテムスロット】に右手を伸ばし、収納された床ブロックを取り出した。

「っと……!!」

 取り出した際の振動により、俺の体も少し揺れる。そう、視点を下にしてアイテムを取り出すと……手の中に収まらない掴めないような大きさの物は足下と地面の間に現れる。
 今、俺の身長は二メートルほどプラスされた。足下に取り出した床のブロックによって。視線を下にしてブロックを取り出すと自動で俺の体はブロックの上に乗るらしい。

「まるで召喚獣を扱う召喚士の気分だな……現れたのがブロックっていうのが味気ないけど」

 この要領でどんどんブロックを積み重ねれば、あの穴を登る事ができる。
 
「登るという表現が正しいかはわからないが……正確にはブロックをどんどん出現させ積み重ねて自動で俺は上に上がっていけばいいだけだ、エレベーターみたいに垂直に」
<なはは、地球の知識を得たからって早速地球かぶれしてやがる>
「別にいいだろ……なんとなく使ってみたかったんだよ」
<好きにすりゃあいいがよ、ところでブロックはそんだけで足りんのか? そうとう深いんだぜここは>
「考えてあるから平気だ」
<そりゃ結構なことで>

----------------------------
--------------

-1時間後-

 今、どのくらいの高さにいるのだろうか。
 下に積み重った箱と周囲の壁の隙間を見る勇気はない、かなり高い場所にいるだろう事は隙間を通る冷たい風の音で理解できる。
 俺は間違っても『左手』で足下のブロックに触れないように松明を握りしめていた。
 どうやらブロックの形状ではない物はアイテムスロットから取り出して触っても壊れないらしい。

 ブロックのストックがそろそろ無くなってきたので俺は通り抜けている穴の周囲の壁に触る。

「クラフト!」

 触れてブロック化された壁は即座にアイテムスロットに収納。これで周囲の壁をブロック化で削りながら収納して進めばブロックの残量は心配いらない。

<どーでもいいけど何だ今の「クラフト!」って叫びは? 中二病全開か?>
「俺は病気じゃない。いいだろ別に? 『ブロック化』じゃ味気ないし」
<なはは、だっせぇ。ま、いいさ。大分要領は掴んだみたいだしな>

 俺はハコザキと軽口をたたきながらクラフトで収納&出現させて縦穴を進む。段々と作業化して慣れてきた俺はハコザキに色々聞いてみる事にした。

「……なぁ、そういえばアンタは一体何なんだ? あの箱だらけの世界で生活してるのか? 本当は神なのか? それとも悪魔なのか?」
<くだらねぇ質問してんじゃねぇよ。今はチュートリアルだぜ?【箱庭】の力以外の質問にゃあ答えねぇからそのつもりで>
「………じゃあ、この【箱庭】の力……他にもまだあるのか?」
<そうそう、そーゆー質問なら受けつけてんぜ? もちろんあるに決まってんだろ? だが……お前さんの言う【クラフト】がこの力の肝であってその他は付随する力にすぎねぇよ。教えてやってもいいが……その前に【課金】して貰わなきゃな>
「………?【課金】……?【課金】って何だ? 確か地球語だったっけ?」
<単純明快に直訳すると【金払え】ってこった>
「金!? お前神だとか何だとか言っといて金欲しいの!?」
<たりめぇよ、金は天下の回り物。いや、天上でも金の力が全てさ>
「…………」

 ハコザキが神なのか悪魔なのか知らないが……そんなに俗物的なのものだったのか、と勝手に幻滅する。こんな不思議な力を持ってる神様なら金なんて直ぐに稼げるんじゃないだろうか。

<ちなみにお前さんの世界の通貨でかまわねぇぜ? 俺がこっちで使えるように勝手にするからよ。まぁ交換レートは割高だが>
「よくわからんけど……払うったってどうすりゃいいんだよ。まさか教会に寄付でもすりゃいいのか? それともお前に直接渡すのか?」
<なはは、やなこった面倒くせえ。んなしち面倒な事しなくても平気さ。『項目』の中に【スキルボックス】っつーもんがある。開いてみろや>

 俺は作業を止め、言われた通りに項目を開いてその【スキルボックス】とやらを押してみる。
 すると視界から項目は消え、変わりに大小様々な光った箱が突然飛び出してきた。

「うわわぁぁぁっ!?」

 びっくりした俺はバランスを崩し床のボックスから落ちそうになった。
 飛び出した箱は現実の物ではなかったらしく俺の視界いっぱいに広がる。光ってはいるが透明なので向こうの暗闇や壁も透けて見える。

(ただの映像みたいなものか……先に言ってくれよ)
<なははは!! そいつはお前さんがこれから習得できる力の入った箱さ。新たなスキルを得たけりゃあそこに金を入れろ、そうすりゃお前さんは更に便利な力を手に入れられるぜ>

 透明の箱を見てみると確かに硬貨を入れるような小さな鍵穴が空いていた。
 鍵穴の下には何やら名称と長い説明文のようなものが記載されている。これは……得られる力の名前とその効果が書かれているらしい。
 更にその下にはご丁寧にも俺の世界の貨幣の値段らしき数字の羅列が書いてあった。

<【アイテムスロット】と【クラフト】の力は俺からの出血大サービスで無料にしてやる。だが、言っちまえば今はその二つしか使えずに他はロックされてる。【クラフト】をもっと活かすためには他のスキルは欠かせねぇぜ?>
「………あそこにある一番でかい箱は……?」

 数多くの箱が並ぶその最奥にある、まるで山のような箱に自然に目が引かれる。

<ありゃあ気にすんな、まだお前さんには到底払えねぇバカ高いお値段の能力だ……だが、それに見合うだけの価値があるまさに無敵の能力よ>

 そんな事言われたら余計に気になるが、遠目に僅かに見える値段の0の桁の多さを見て気にしない事にした。一生どころか百回生まれ変わっても稼げそうもない、何かの冗談みたいな金額だった。
 
<お前さんの所持金で今開けられる箱は一つだけさな、しけてやがんなお前>
「……所持金? 俺は落とされる時に装備品ごと身ぐるみ剥がされて今何も持ってないぞ?」
<お前さんのホームにはあんだろーが。さっき俺が回収してきてやったぜ>

 どうやらハコザキは不思議な力で俺の住まいに貯めてあった金を勝手に徴収したらしい。何でもありだなこいつ。

<さ、どーするよ? すぐに開けるか?>
「勿論だ、全部突っ込んでくれ」

 どうせ大事に持ってたってもう俺には何もない。だったら悪魔にくれてやる、そして、生まれ変わるんだ。

 必ず、あいつらに報いを受けさせてやる。

<はっ! いい決断力だ、そらっ! 受け取れ! こいつは名称【インベントリ】……お前さんの世界でいやぁ……【収納魔法】ってやつだな。だが、魔法なんざとは比べもんにならねぇ! その数は33×33合計1000とんで89種類ものアイテムを貯めておける代物さ!>







しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキル【ファミレス】を使っていたら伝説になりました。

キンモクセイ
ファンタジー
スキル「ファミレス」を手にした。 ハズレスキルかと思い、主人公の思うがまま行動している。 そんな時に1人の少女と出会い、運命が変わる。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

処理中です...