【箱庭(ラインクラフト)】~お荷物として幼馴染みに殺されかけた俺は転生の創造主の力で世界を創り変える、勿論復讐(ざまぁ)も忘れずに~

司真 緋水銀

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第二章 楽園クラフトと最初の標的

#033.【楽園計画】②

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「きししし、半ケモノの方が【アスナ】ダークエルフが【ミネラ】と名乗っておりマスが……旦那の好きなように変更もできますけどどうしますか?」
「別にそのままでいいさ」

 何やら手続きに入り準備をし始めた片手間にFはそう言った。【アスナ】に【ミネラ】──この女達がこれから俺の『手足』となる奴等だ。

「ところでこいつらの何が問題なんだ?」
「きししし、ご覧の通りアスナは気が強すぎるのが問題でしテ……決して言う事を聞きまセン。『奴隷紋』があるにも関わらず完全なる傀儡にはなりませんでシタ……それ故に買い手に危害を加えたり逃げ出したりとわたくしにも手に負えまセン」
「なはは、そりゃあいい。ダークエルフの方は?」
「こちらはダークエルフのせいか……容姿が良くとも忌避されており未だに買い手がついた事はありまセン」
「なるほどな」

 ダークエルフとはエルフと袂(たもと)を分けたーー呪術と呼ばれる魔術を扱う種族だ。祖先はエルフと同じだが、長い歴史の中でその全てを分離させた別者である。エルフが他種族に拒絶的なのに対し、ダークエルフは最早排他的で種族の詳細を知る者は少ない。現在でも姿を目にするのも稀だ。
 ケモノ族とは人間の形に近い獣のような姿をした者で、魔獣とはまた異なる。魔獣がオーバーワールドに出現するより前から存在していた種族だ。アスナも狼のような尻尾と耳、牙がなければほぼ人間といっていい。人間とケモノ族のハーフである【半獣】だからだろう。

「はっ、アンタも物好きだな。アタシとミネラを一緒に買おうなんてやつぁ今まで───痛ったぁぁぁぁっ!!?」
「このように、奴隷を躾(しつけ)る魔導具を常に持っていてくだサイ。遠隔でも魔術で痛みを与える事ができます……が、先に述べた通りアスナはどういうわけか【半減耐性】を持っていますノデ……」

 何か言おうとしたアスナは突如、倒れて悶える。Fがボタンのようなアイテムを俺に手渡したがこれのせいだろう。
 半減耐性とは簡単に言うと【魔術の抵抗値】で特に自身の【相性(ぞくせい)】の良い事象を持つ者には顕著に現れる。自身が【火】の事象の相性なら【火】の魔術から受けるダメージが半減する──といった具合だ。

「きししし、デハ、『身分紋章(ステータス)』の管理者権限を旦那に書き換えますノデ……アスナの背の紋に触れてくだサイ」
「? こうすればいいのか?」

 背中が剥き出しなタイプの服を着て倒れているので容易に事は進んだ。触れた途端……マナの共有とでも言えばいいのだろうか、互いが同調するような感覚がする。そして──アスナの現在の能力値みたいなものと今いる場所の情報が常に流れ込んでくる。

「きししし、これが奴隷紋を管理する者のみの利点で奴隷は決して主人から逃れられまセン。呪術の派生でもある奴隷紋ならではのものデス」

(常に状態と現在地が筒抜けなわけか、奴隷が逃げられないわけだ)

「だが、さっきアスナは逃げ出したとか言ってなかったか?」
「……それは言葉の綾(あや)で………本当は怒ったお客様に返品さレタのです……わたくしは顧客の信用を失いまシタ……」
「……それは災難だったな。それで二人分でいくらだ?」
「きしししっ♪ 処分予定品でもアリましたのでお安くして500万コインですカネ」
「安いもんだな。ほら」
「きしししししっ♪ これからも御贔屓に旦那。これからはワヲンさんを通さずにトモ直接交渉致しマスので。ではわたくしはこれで」

 ダークエルフのミネラにも同じ処理を施し、二人の管理者となった俺は値段よりも多めにコインを渡してFと別れた。これはほんの一歩目──日陰者の商売人と上手くやっていくには必要以上に近寄らず信用を積み上げていくしかない。いきなり核心に近づくわけにはいかない、ただでさえ今はやる事があるのだから。

「なんのつもりか知らないけど……アタシは痛みになんか屈しない。アンタにもな、これまで『そういう目的』でアタシを買ったやつは全員ブン殴ってきた。残念だったな」
「………」

 裏通りではアスナは喚き、ミネラは口を閉ざしながらも後ろをついてきた。
 そこいらにいる戦士風の男達が仕切りにニヤニヤとこちらを見ている、容姿や体つきで言えば抜群と言ってもいいアスナとミネラを視姦でもしているつもりなのだろうか。

(服装もみすぼらしく際どいものだしダークエルフが珍しいってのもあるだろうが鬱陶しい奴等だな……)

 俺は二人を連れて人気(ひとけ)のない裏路地へ入った。

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「………おい、いきなりなんのつもりだ? 善人そうなツラしてやる事は皆同じか」

 裏路地ではやはり怯えを隠せない面持ちでアスナがミネラを庇うように臨戦体勢に入る。喩え問題児と言ってもそこはやはり幼い少女達──先ほどまでの虚勢が嘘のようだった。

「なはは、それがご主人様に対する口の聞き方か? もうお前らは俺の手足だ。言う事を聞け」
「──くそっ……ミネラっ逃げっ……」
「なんてな、冗談だ。悪かったな、ほら服を着替えろ」
「…………え?」

 インベントリにあるマイン用の服を二人に差し出すと訝(いぶか)しげな表情に変わったアスナが俺に尋ねた。

「…………どーいうつもりだよ?」
「服を着替えろ、と言っているつもりだよ。なんの含みもない、さっきから馬鹿共の視線が鬱陶しかったからな」
「…………アンタ、一体何がしたいんだよ? ミネラをなんの躊躇(ためら)いもなく買ったり奴隷にこんな高そうな服着ろって言ったり……」
「どうやらお前さんら二人も何かしら抱えてるようだが……それは俺も同じさ。やりたい事がある、その手伝いでお前さんらを買った」
「………なんだよ? アタシらに建築仕事でもしてほしいのか? だったらもっと力のある奴とか巨人族とか買えば……」
「なはははは! んなもん一人で事足りる、なんたって俺の専門分野だからな。俺の夢は一つだ」

 そして、俺は【夢】の方の第一歩を踏み出す。

「奴隷達を俺のもんにして楽園を作る、最初の二人がお前らさ。力を貸してくれ」
 




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