【箱庭(ラインクラフト)】~お荷物として幼馴染みに殺されかけた俺は転生の創造主の力で世界を創り変える、勿論復讐(ざまぁ)も忘れずに~

司真 緋水銀

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第二章 楽園クラフトと最初の標的

#041.エンチャントしよう②

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 更に、エンチャントブックに付与された効果を付与させる作業に入る。既にエンチャント付与された本があれば使用するのは【金床】だけだ、それもこの家に設置してある。

「…………このエンチャントブックに付与された効果は【無限】だ。幸運にもレアな付術だ」

 本を読み、ルーン文字を解読した俺はマインに告げる。エンチャント法を間近で拝見したい、とマインはすぐ横で瞳を輝かせながら凝視していた。

「………? ソウル様……申し訳ありません。やはりマインにはルーン文字は難しいようです……発音が全く聞き取れませんでした……」
「普通はそうなるから気にしなくていい、俺も一年前は全く理解できなかった」

 ルーン文字の発音は、理解していなければまるで全く別の生物が放つ言葉のようにしか聞こえないのは俺も知っている。かろうじて習得できる異種族言語とは丸っきり別物ーー宇宙にいる生命体が使う言語、イメージとしてはそんな感じだ。
 俺はこちらの言語で日本語の【無限】を説明した。

「無限……果たしてどのような効果があるのでしょうか?」
「その前に説明しておくと……付与は何にでもできるわけじゃない。付術はできる物とできない物がある……それを踏まえて説明するとこの【無限】は『弓』にしか付与できない文字だ」
「……『弓』だけ……ですか?」
「あぁ、だが効果はとてつもないものだ。文字を付与された弓で射った矢は『消費されずに無限に射てる』」
「む……無限にですか!?」
「それだけでルーン文字とエンチャントが如何に危険な代物か理解できるだろう。学者達や宗教家は一部禁忌として扱うくらいだ。まぁ、長い歴史の目から見てもルーン文字は殆どが謎とされていて解読者は数えるほどしかいないし、発音や文字にして伝えようにも理解できる者がいない故に未だに研究対象にしかなっていない。世に広まっているのは大体が漢字一文字、事象元素文字を元とした魔術付与が一般的だ」
「……ではこの【無限】というのは……」
「……偶然、二文字を解読できる奴から聞いた効果さ」

 大賢者【ナイツ】。
 若くして二文字の組み合わせたルーン文字を解読した奴。いつだったか……学会にその効果を発表した場に偶然居合わせたから記憶している。
 この【無限】付与が世に広まれば、世界の均衡ーー勢力図を壊し兼ねないと帝国内で一時期騒ぎになった。だからこの効果を知る者は帝国の一部の奴だけ。
 図抜けた軍事力を帝国が有しているのも、これが一端となっている。帝国の弓兵部隊が他国よりも優れているのは、このルーン文字の効果でもあった。

「まぁとにかく……レアだけど俺に射手スキルはないからこれは一旦保留だな」
「…………」
「……? どうかしたか? マイン」
「ソウル様、是非、マインに弓とそのルーン文字を与えて頂けないでしょうか?」
「……え?」
「身分を越えた図々しい申し出である事は重々理解しています。処罰は如何ほどにも受けますが……願いを聞き届けては頂け」
「かたっくるしい言い回しはいいから……なんで欲しいのか話してみてくれ」

 マインは恐る恐る打ち明けてくれた。
 俺の力になるためにどうしたらいいか、自分に何ができるか、何が最適解かーーレッドストン鉱山の一件の後常々考えていたらしい。
 導き出したのが……射手スキル修得による支援攻撃。
 イルナに相談したのちに自身もそれを望んで、勉学の合間に指南を受けたらしかった。

「……なるほどな」
「ソウル様に無断で勝手にイルナさんに頼んでしまい、申し訳なく思っています……道具が望みを得るなど恥知らずな振る舞いをした事を心苦しく……」

 俺は頭を抱える。
 マインの言い分にではなく、どんどんと堅苦しい話し方になっていくマインに。

(忠誠心に比例してそれが言語に影響しているだけ、とイルナは言っていたが……それが問題なんだよ……)

 そんなものは望んでいない。
 もっと年相応にフランクに接して欲しいのだが……距離が縮まれば縮まる程に畏まった対応になるのは如何ともしがたい難題だった。

「まぁいいか……マイン、普通に話していいから……」
「はい、かしこまりました。ですが、処罰を受けようともマインはソウル様のお力になれればそれで構わないのです。これは……マインの望み、マインがしたい事なのです」

 話し方はともかく、遠慮がちだったマインが初めて俺に申し出た望みだ。喜ぶべきだろう、当然、二つ返事で了承する。

「わかった、じゃあ弓は俺が作ろう。嫌ならアドオンに頼むが」
「滅相もありません、マインの初めてはソウル様にだけ捧げると心に固く誓っています。是非、ソウル様のものをマインの初体験として」
「ストップ、わかった」

 一階には二人がいるんだから誤解を受けそうな言い回しは勘弁してくれ、と思いながらクラフトを開始する。
 弓の作成は棒3つと糸3つ、手軽にすぐ作れる。強度を考えてネザーで手に入れた木材【ネビリム】を解体(バラ)して棒として使う、これなら簡単には壊れないだろう。

◇【黒耀の弓】を合成により作成しました。
◇【黒耀の弓】にエンチャント【無限】を付与しました。

「ありがとうございますっ! 早速試し打ちしてきても宜しいでしょうか!?」
「軽傷だったとはいえ右肩を怪我をしてるんだ………少しだけな」

 止めようと思ったが、嬉しさを抑えきれない表情のマインを見てついつい甘やかしてしまう。喜んでくれたようでなによりだ。
 さて、俺も『新たな課金』をするとしよう。
 数日後には【塔】に入るんだ。
 正面ルートから行くつもりはないし、イルナも同行する。目的はアーティファクト探索と回収だけ、見つからないように魔獣も回避するつもりだからレッドストン鉱山の時のような戦闘の心配はいらないだろう。

(一つ、懸念があるとすれば……町を襲うよう仕向けた黒幕の存在。察知されてすぐに逃げられちまったが……目的は『偵察』の可能性があるな)

 この町の裏側で起きている異変を敏感に感じ取った奴が適当な駒を見つけて煽った。だとするならば、その渦中にいる俺にあたりをつけるのも時間の問題ーー新たな力を身に付けるのは急務だった。

(防衛用の課金だけにするつもりだったが……コイン稼ぎの目処はできた。更に飛び抜けた【チート能力】に課金するとしようか)
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