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第一章 名無しさんの最強異世界冒険録
第十二話 エルフの少女②
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「あなた、バカなのっ!?」
ブロンド髪のツインテール美少女は上半身裸のまま
人に罵声を浴びせた。
「?何が?」
「何を名乗ってるのよ!!アタシは何者って聞いたの!名前までは聞いてないわっ!」
「……?何で?ダメなのか?」
「ダメに決まってるでしょ!この世の中で自分から名前を名乗るなんて常識はずれ過ぎるわよ!」
あ、なるほどな。
元の世界では当たり前すぎて気づかなかった。
確かに名前によって能力が体現する世界、その世界で名乗るって事は自分の力を公言しているのと同じ事なのか。
少なくとも第一第二の力…字とその組み合わせの力は大体予測されてしまう。
迂闊だったか、まぁ名無しと聞いてこんなチート能力と結びつけるのはかなり無理があるだろう。
それに目の前の美少女が敵になるとも思えない、少し楽観的だけど。
「わからないぞ?偽名かもしれないだろ?」
【偽名】…いつわりの名前
一応ハッタリをかけてみる。
「……あなた、どこの国から来たの?偽名行為は極刑ものなのよ?」
「……え?」
「神聖な名を騙る事は生を冒涜する行為なり、是即ち死する事、故に極刑に処す…子供でも知ってる事だけど」
「……マジすか」
女神からは何も…そういえば世界の事については大して聞いていなかった。
考えれば当然の事だったが、この世界には名前に関して色々とルールがあるんだ。
「名前も…今の言葉も聞かなかった事にしてあげるから感謝しなさい」
「……」
「……あ、あと…」
「…ん?」
「た、助けてくれて……ありがと…」
「……どういたしまして、それより服、俺のでよければ貸すよ」
「い、いいわよ!あなたが裸になっちゃうじゃない!」
「別に男だからかまわないだろ、ほら」ぬぎ
「……あ、ありがとう…」
涼しかったから汗臭くないよな?たぶん大丈夫なはず…
「……」じー
エルフの美少女は俺のTシャツを着てこちらをじっと見ている。
「…何だ?」
「…わ、悪いやつじゃなさそうだから一応旅人ってのは信じてあげる!でも、勘違いしないで信用したわけじゃないから!」
久々に聞くなぁツンデレのテンプレ台詞。
異世界に来たからじゃなく、元の世界でも大分きいてない。
「そ、それであなたはどうするの?近くに拠点地でもあるの?」
「うーん、一応歩いて一時間くらいのところには」
「……そんなにかかるの…」
少女は少し考えこむ。
「うーん、仕方ないかな……こっち、ついてきて」
そう言うと森の奥へと向かい少女は歩きだした。
「勘違いしないでね、アタシのせいで風邪でもひかれると嫌だから教えてあげるだけなんだから」
いや、何の事かわからないままそんな事言われても。
とりあえず黙ってついていく事にした。
--------------
「…ところであなた、出身はどこなの?ただの人間に見えるけど」
「ただの人間だよ、変態にでも見えたのか?」
「そーいう意味じゃなくて……本当に別の世界からでも来たの?」
確信をいきなり突かれる。
「普通のノーマルなヒューマンの事をただの人間って言ってるの。種族の違いを聞いてるの!」
「……そーいう事か…一応どんな種族がいるか教えてもらえる?」
「……ヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人、亜人、そっから枝分かれしてるからまだまだいるけど。これらは学術的には全部人間よ」
「あーはいはい思い出した」
RPGの設定なみにいるんだな、テンション上がってきた。
「そーいう意味ならヒューマン…普通の人間だよ。一応出身は日本…ヒノモト?倭国?東の大陸…かな?」
「何で全部疑問系なのよ…どれも聞いた事ないわ」
「うーん、じゃあ産まれはここら辺ってことでいいや」
「この辺りの事知らないって言ったじゃない!ふざけてるの!?もういい!」
美少女はプリプリと怒りながら先へ進んでしまう。
なんか楽しいなぁ。
普通の人間とこんな会話するの何年ぶりだろうか。
ヒュミや女神はふわふわとして優しいかったから怒ったりしなかったから…こういうからかい甲斐はなかった。
いやいかん、そんな事している場合ではない。
俺はレベル上げしに来たんだった。
「ここよ、さぁ入って」
気がつけば視界には闇から晴れた光が射し込んでいた。
見上げれば青空が見える、そこだけは木々が円を描き、空の光を迎えているようだった。
辺りには空を写した湖が広がり、奥には滝が水飛沫を起こしている。
綺麗な森の中の湖畔のイメージそのものだ。
傍らにはその湖畔のイメージにぴったりな丸太小屋がある。
ウッドデッキもあり、そこには洗濯された女性用の下着などが干されている。
「見ないでっ!!」
美少女は急いで洗濯物を取り込む、やはり少女のものか。
じゃあここがこの娘の家って事なのか、随分と変わった場所に住んでいるな。
バタバタと家の中へ駆け込む少女。
開いたままの入口から俺も入る。
「…お邪魔します」
--------------
---------
-----
「はい、作ってあげたから飲んで」
「……なにこれ」
家の中は閑散としていた。
一応、テーブルや椅子、布団、箪笥などはあり生活できそうな感じはあるがそれだけだった。
ただの生活空間、編みかごの中には少しの木の実、壁に立て掛けた弓、ナイフで削られた矢の束、それくらいしかなかった。
俺は自分の服に着替えた少女にTシャツを返してもらい、椅子に腰を落ち着ける。
少女はちょっと待っててと言い、どこかへ消えた。
奥の方で何か音がして奇妙な匂いが漂ってくるがじっと待っていた。
そして約20分後、虹色の液体が入った木の皿を目の前に出されたのだった。
「木の実と熊蛇肉のスープ」
料理をしないのでわからないが、木の実と肉をスープにするのは普通なのか?
もしかして熊蛇肉ってさっきのやつか?
虹色って、逆に綺麗すぎて食欲が湧かない、まだ紫色とかの方が良かったとか色々と突っ込みたかった。
しかし、折角作ってくれたんだ。
ここは何も言わず完食するのが男だろう。
「……いただきます」
ズズズッッ
意外と美味しかった。
「あったまるでしょ?」
「あぁ…料理上手いんだ」ズズッ
「別に大した料理じゃないけど…」
「キミはここに住んでるのか?」
「違うけど……まぁ仮住まいね」
「仕事か何か?」
「そうよ、この森を調査してるの」
「調査?」
「まぁここだけじゃないけどね、世界中の全ての森はエルフ族の管理下にあるのよ。この森もその一つ」
「そうなのか、それで何の調査に来たんだ?」
「…さっき見たでしょう?仮名で一応熊蛇って呼んでるんだけど、明らかにおかしい獣を」
「……ああ」
「あれは自然種でも変異種でもない、人の手によって造られ、名を与えられた……実験の失敗作と言われるもの…名前を与え、最強生物を造り出そうとしている『研究所』のやつらが創り出した実験動物の成れの果て」
「……………そんな」
「それらをここに廃棄してるって噂がたってね、アタシはひとつき前くらいからここに住んで調査してるのよ」
「………」
名前を与える事で最強生物を創る。
単純且つありふれていて、強欲且つ誰もが考えつきそうな発想。
これが女神の危惧していた人間の悪意の一端か…
確かに発想さえあれば命名するだけで自分の思い通りの傀儡を創造できるこの世界。
どこへ行ってもそれは当たり前の光景になるのだろう。
「今までひとつきだけで6種…さっきのみたいな実験体が確認されたわ…この森へ来た…迷いこんだ探検家や旅人を10人以上殺してる」
「………」
「研究所は表向きは『命名研究機関』として国から資金も貰う大きな研究機関なの、名前を与えた際の生物の生態研究とか…そういった名目で。でも裏ではその実験生物の成功例を名を与えられた獣『名獣』として軍事利用させようとしているのよ、そして失敗作をこの森へ廃棄している…何とか証拠を掴んで告発しようと思ってるんだけど……中々掴めなくて…この山を囲む森って以外と広大なの、一人じゃカバーできないのよ」
「……」
動物実験は元の世界でもモルモットなどで行われていると聞く。
勿論反対の声も多数ある、が、人間に害のないよう動物達の尊い命を以て科学、医学の進歩に貢献してもらっているとしてやむをえない側面もある。
俺も元の世界にいる時はそこまで関心があるわけではなかったんだ、廃棄する事は別としても、その研究に何を言えるはずもない。
何かしらの国の事情や研究の目論見があってしている事かもしれない。
軍事利用しているって部分もそうだ。
戦争で軍部を補強するのに獣に名を与え、遣う。何もおかしくはない。
ここはかつていた平和だった世界とは違うんだ。
非人道的だとか、そんな綺麗事だけで済まない事情だってあるのだから。
…ただ、何故か俺は哀しく苛立たしかった。
それは動物達が可哀想とか、廃棄問題とか、そーいった事ではなかった。
名前って、そういう風に、そういう想いでつけるものか?
軍事利用とか、最強生物とか、そんな事のために必死で名前を考える?
この世界ではそれが当たり前なのだろう。
でも、利用される為だけにつけられた名前を背負っていく者たちは
一体、何を誇って生きて行けばいいのだろうか。
「………ねぇ?どうしたの?」
声をかけられ、はっとして顔をあげる。
「…凄い哀しそうな顔してたわよ」
「………」
「…何かあったの?あ、あたしでよければ話くらい聞くわよ」
「……優しいんだな、キミは」
「べっ、別に……!そんな顔でここにいられると迷惑なだけだからよ!優しいわけじゃないんだから!」
「……一つ…頼みがあるんだが」
「………なに?」ドキドキ
「俺もその研究所とやらの調査に協力させてくれ」
俺の言っている事もこの世界では綺麗事なのかもしれない。
だから俺は確かめなきゃならない。
皆が、名前をどんな想いでつけているのかを。
ブロンド髪のツインテール美少女は上半身裸のまま
人に罵声を浴びせた。
「?何が?」
「何を名乗ってるのよ!!アタシは何者って聞いたの!名前までは聞いてないわっ!」
「……?何で?ダメなのか?」
「ダメに決まってるでしょ!この世の中で自分から名前を名乗るなんて常識はずれ過ぎるわよ!」
あ、なるほどな。
元の世界では当たり前すぎて気づかなかった。
確かに名前によって能力が体現する世界、その世界で名乗るって事は自分の力を公言しているのと同じ事なのか。
少なくとも第一第二の力…字とその組み合わせの力は大体予測されてしまう。
迂闊だったか、まぁ名無しと聞いてこんなチート能力と結びつけるのはかなり無理があるだろう。
それに目の前の美少女が敵になるとも思えない、少し楽観的だけど。
「わからないぞ?偽名かもしれないだろ?」
【偽名】…いつわりの名前
一応ハッタリをかけてみる。
「……あなた、どこの国から来たの?偽名行為は極刑ものなのよ?」
「……え?」
「神聖な名を騙る事は生を冒涜する行為なり、是即ち死する事、故に極刑に処す…子供でも知ってる事だけど」
「……マジすか」
女神からは何も…そういえば世界の事については大して聞いていなかった。
考えれば当然の事だったが、この世界には名前に関して色々とルールがあるんだ。
「名前も…今の言葉も聞かなかった事にしてあげるから感謝しなさい」
「……」
「……あ、あと…」
「…ん?」
「た、助けてくれて……ありがと…」
「……どういたしまして、それより服、俺のでよければ貸すよ」
「い、いいわよ!あなたが裸になっちゃうじゃない!」
「別に男だからかまわないだろ、ほら」ぬぎ
「……あ、ありがとう…」
涼しかったから汗臭くないよな?たぶん大丈夫なはず…
「……」じー
エルフの美少女は俺のTシャツを着てこちらをじっと見ている。
「…何だ?」
「…わ、悪いやつじゃなさそうだから一応旅人ってのは信じてあげる!でも、勘違いしないで信用したわけじゃないから!」
久々に聞くなぁツンデレのテンプレ台詞。
異世界に来たからじゃなく、元の世界でも大分きいてない。
「そ、それであなたはどうするの?近くに拠点地でもあるの?」
「うーん、一応歩いて一時間くらいのところには」
「……そんなにかかるの…」
少女は少し考えこむ。
「うーん、仕方ないかな……こっち、ついてきて」
そう言うと森の奥へと向かい少女は歩きだした。
「勘違いしないでね、アタシのせいで風邪でもひかれると嫌だから教えてあげるだけなんだから」
いや、何の事かわからないままそんな事言われても。
とりあえず黙ってついていく事にした。
--------------
「…ところであなた、出身はどこなの?ただの人間に見えるけど」
「ただの人間だよ、変態にでも見えたのか?」
「そーいう意味じゃなくて……本当に別の世界からでも来たの?」
確信をいきなり突かれる。
「普通のノーマルなヒューマンの事をただの人間って言ってるの。種族の違いを聞いてるの!」
「……そーいう事か…一応どんな種族がいるか教えてもらえる?」
「……ヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人、亜人、そっから枝分かれしてるからまだまだいるけど。これらは学術的には全部人間よ」
「あーはいはい思い出した」
RPGの設定なみにいるんだな、テンション上がってきた。
「そーいう意味ならヒューマン…普通の人間だよ。一応出身は日本…ヒノモト?倭国?東の大陸…かな?」
「何で全部疑問系なのよ…どれも聞いた事ないわ」
「うーん、じゃあ産まれはここら辺ってことでいいや」
「この辺りの事知らないって言ったじゃない!ふざけてるの!?もういい!」
美少女はプリプリと怒りながら先へ進んでしまう。
なんか楽しいなぁ。
普通の人間とこんな会話するの何年ぶりだろうか。
ヒュミや女神はふわふわとして優しいかったから怒ったりしなかったから…こういうからかい甲斐はなかった。
いやいかん、そんな事している場合ではない。
俺はレベル上げしに来たんだった。
「ここよ、さぁ入って」
気がつけば視界には闇から晴れた光が射し込んでいた。
見上げれば青空が見える、そこだけは木々が円を描き、空の光を迎えているようだった。
辺りには空を写した湖が広がり、奥には滝が水飛沫を起こしている。
綺麗な森の中の湖畔のイメージそのものだ。
傍らにはその湖畔のイメージにぴったりな丸太小屋がある。
ウッドデッキもあり、そこには洗濯された女性用の下着などが干されている。
「見ないでっ!!」
美少女は急いで洗濯物を取り込む、やはり少女のものか。
じゃあここがこの娘の家って事なのか、随分と変わった場所に住んでいるな。
バタバタと家の中へ駆け込む少女。
開いたままの入口から俺も入る。
「…お邪魔します」
--------------
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「はい、作ってあげたから飲んで」
「……なにこれ」
家の中は閑散としていた。
一応、テーブルや椅子、布団、箪笥などはあり生活できそうな感じはあるがそれだけだった。
ただの生活空間、編みかごの中には少しの木の実、壁に立て掛けた弓、ナイフで削られた矢の束、それくらいしかなかった。
俺は自分の服に着替えた少女にTシャツを返してもらい、椅子に腰を落ち着ける。
少女はちょっと待っててと言い、どこかへ消えた。
奥の方で何か音がして奇妙な匂いが漂ってくるがじっと待っていた。
そして約20分後、虹色の液体が入った木の皿を目の前に出されたのだった。
「木の実と熊蛇肉のスープ」
料理をしないのでわからないが、木の実と肉をスープにするのは普通なのか?
もしかして熊蛇肉ってさっきのやつか?
虹色って、逆に綺麗すぎて食欲が湧かない、まだ紫色とかの方が良かったとか色々と突っ込みたかった。
しかし、折角作ってくれたんだ。
ここは何も言わず完食するのが男だろう。
「……いただきます」
ズズズッッ
意外と美味しかった。
「あったまるでしょ?」
「あぁ…料理上手いんだ」ズズッ
「別に大した料理じゃないけど…」
「キミはここに住んでるのか?」
「違うけど……まぁ仮住まいね」
「仕事か何か?」
「そうよ、この森を調査してるの」
「調査?」
「まぁここだけじゃないけどね、世界中の全ての森はエルフ族の管理下にあるのよ。この森もその一つ」
「そうなのか、それで何の調査に来たんだ?」
「…さっき見たでしょう?仮名で一応熊蛇って呼んでるんだけど、明らかにおかしい獣を」
「……ああ」
「あれは自然種でも変異種でもない、人の手によって造られ、名を与えられた……実験の失敗作と言われるもの…名前を与え、最強生物を造り出そうとしている『研究所』のやつらが創り出した実験動物の成れの果て」
「……………そんな」
「それらをここに廃棄してるって噂がたってね、アタシはひとつき前くらいからここに住んで調査してるのよ」
「………」
名前を与える事で最強生物を創る。
単純且つありふれていて、強欲且つ誰もが考えつきそうな発想。
これが女神の危惧していた人間の悪意の一端か…
確かに発想さえあれば命名するだけで自分の思い通りの傀儡を創造できるこの世界。
どこへ行ってもそれは当たり前の光景になるのだろう。
「今までひとつきだけで6種…さっきのみたいな実験体が確認されたわ…この森へ来た…迷いこんだ探検家や旅人を10人以上殺してる」
「………」
「研究所は表向きは『命名研究機関』として国から資金も貰う大きな研究機関なの、名前を与えた際の生物の生態研究とか…そういった名目で。でも裏ではその実験生物の成功例を名を与えられた獣『名獣』として軍事利用させようとしているのよ、そして失敗作をこの森へ廃棄している…何とか証拠を掴んで告発しようと思ってるんだけど……中々掴めなくて…この山を囲む森って以外と広大なの、一人じゃカバーできないのよ」
「……」
動物実験は元の世界でもモルモットなどで行われていると聞く。
勿論反対の声も多数ある、が、人間に害のないよう動物達の尊い命を以て科学、医学の進歩に貢献してもらっているとしてやむをえない側面もある。
俺も元の世界にいる時はそこまで関心があるわけではなかったんだ、廃棄する事は別としても、その研究に何を言えるはずもない。
何かしらの国の事情や研究の目論見があってしている事かもしれない。
軍事利用しているって部分もそうだ。
戦争で軍部を補強するのに獣に名を与え、遣う。何もおかしくはない。
ここはかつていた平和だった世界とは違うんだ。
非人道的だとか、そんな綺麗事だけで済まない事情だってあるのだから。
…ただ、何故か俺は哀しく苛立たしかった。
それは動物達が可哀想とか、廃棄問題とか、そーいった事ではなかった。
名前って、そういう風に、そういう想いでつけるものか?
軍事利用とか、最強生物とか、そんな事のために必死で名前を考える?
この世界ではそれが当たり前なのだろう。
でも、利用される為だけにつけられた名前を背負っていく者たちは
一体、何を誇って生きて行けばいいのだろうか。
「………ねぇ?どうしたの?」
声をかけられ、はっとして顔をあげる。
「…凄い哀しそうな顔してたわよ」
「………」
「…何かあったの?あ、あたしでよければ話くらい聞くわよ」
「……優しいんだな、キミは」
「べっ、別に……!そんな顔でここにいられると迷惑なだけだからよ!優しいわけじゃないんだから!」
「……一つ…頼みがあるんだが」
「………なに?」ドキドキ
「俺もその研究所とやらの調査に協力させてくれ」
俺の言っている事もこの世界では綺麗事なのかもしれない。
だから俺は確かめなきゃならない。
皆が、名前をどんな想いでつけているのかを。
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