名無しの最強異世界性活

司真 緋水銀

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第二章 命名研究機関との戦い

第三十六話 数字遣いと暗殺ギルド頭領

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「みたかコラァッ!俺様のチカラァッ!」
「あらあら馬鹿ね、これも分身よ。爆破される直前にあの男がお嬢ちゃんを分身させて変わり身にしたようよ」
「あ!?」
「どうやらあの男…時間も操れるというのは本当のようね~厄介だわ~」

女の言う通り、爆散した殺は佰仟の造る分身だった。
佰仟の体感時間操作により、刺客の爆破を遅らせその隙に佰仟は殺を拾い難を逃れていた。

「本物は川辺に逃げたみたいね、追うわよ~」
「当然だぜコラァッ!」

--------------


「はぁ、はぁ……」バシャバシャ…

川で顔を洗う殺。

「見えるようになったか?」
「えぇ…見えるであります、どうやら洗い流されたようであります…」
「爆破に虫、それに視界を奪うか。どうやら全能配下の名は伊達じゃないようだ」
「しかしはっきりしたであります。やはり虫と視覚攻撃が女、爆破が男であります。先程の攻撃…視覚を奪われる直前に微かに確認したであります、女の身体から這い出た虫が目に入り込むのを」
「そして、それを男が爆破させ分身のお前は身体の中から爆散したわけか」
「そうであります、女の名前についてはだいたい予測がついたであります」
「ほぉ?」

暗殺ギルド頭領、戦いながらこんなに早く相手の名前を予測したか。
意外と頭がキれるようだ。

「恐らく『※※※※』、だから虫と視覚を操れる。エルフ族のように名前に二つの意味の能力を有しているであります。問題は男の方が何を媒介として爆破を起こしているかであります」
「……なるほど、それならば能力の説明がつくな。しかし視覚を奪うのは虫を媒介としなければできない。ならば虫さえに気をつければ問題ない」
「ハゲの方は?」
「足を殺いだのだろう?ならば俺の能力を使えばもうどんな能力だろうがもう関係ない、すぐに殺れる」
「……本当でありますか?」
「別に信じなくてもいいがな、ただ女に妨害されなければだが」
「ならば、虫遣いは私が引き寄せるであります」
「いいのか?あいつらは基礎能力値も能力の経験値も相当に高い、時間を変動させても平気で対応してくるかもしれん。そちらに構う余裕もない、下手をうつとお前は死ぬぞ」
「ケンカを売った以上、勝たなければどちらにせよ死ぬであります」
「…ふっ、そうだな。ではやるとするか」

--------------

「あらあら、そこにいるのはわかってるわよ~出ていらっしゃい」

密集した木々の陰に移動した佰仟達に刺客達は追い付く。

(やはり…見えている…どこにいてもでありますか……ならば)

ザッ

殺は陰から出て女の刺客と対峙する。

「……あぁん?」

スキンヘッドは殺を見て驚く。
殺は目を閉じていたからだ。

「なにやってんだおめぇ!?舐めてんのかコラァッ!」
「そちらこそ暗殺ギルド頭領の名を舐めるなであります、目を閉じながら戦うなど…造作もないでありますっ!!」

ビュッ!

刺客達へと走る殺。

「やってやらぁ!コラ……」

バァンッッッ!

「っち!!」

後ろから銃声がなる。
スキンヘッドの後方にいた佰仟から放たれた弾丸の音だったがそれは虫によって阻まれていた。

カランッ…

「貴様はこっちだ」
「上等だっコラァッ!」


「あらあら~健気に走っちゃって…アタシの能力が一つわかったからってそれじゃあ何の解決にもならないわよ~?」

ザザザザザザザッ!

「っ!!」
「行きなさい虫達!」

ブゥゥゥゥゥゥゥゥンッッッ!!

走る殺に襲いかかる虫の大群。
今度は一挙にではなく、緩急をつけ時間差で数十匹ずつが順に向かっていた。
先行する虫達が光を放つ。

カァッッッッ!

「…っ!!」

ドォォォォォォォォォォンッ!!

「相手の視界が確認できないのは厄介ね~、まぁ死んだでしょ……………………っ!?」

ダダダダダダッ!

「っ!!」
「一切見ずに爆破を避けたのね~中々やるじゃない、でも完全にではないようね」

女の言う通り、殺は爆破を完全には避けれず火傷を負っていた。

「まだまだ虫はいるのにね~アタシまでたどり着くかしら~?アンタが分身じゃない事は事前に視界を通して分かってるのよ!」

殺の予測通り、女は相手の視界を見る事ができる。
対象が分身した場合…その視界は監視モニターのように分割されるのだ。
今は殺は目を閉じているので視界は読めないが、木から出た際の殺の視界は一つだった。

ドォォォォォォォォォォンッ!

ドォォォォォォォォォォンッ!

ドォォォォォォォォォォンッ!

爆破を掻い潜り殺は女へと走る。


バァン!

逆にスキンヘッドの男は佰仟の方へ走る。
飛んでくる銃弾を爆破しながら。

(殺が片足を殺したはずだが…これも虫による力か)

佰仟の予測通りスキンヘッドの男の体内には女の遣う虫が入り、死んだはずの足を操作していた。

バァンッッッ!

バァンッッッ!!

バァンッッッ!!!

「どうしたどうした!?ビビっちまったかぁ!?弾が明後日の方向に行ってんぜ!?」

銃弾は爆煙の中にいた殺の元へ飛んでいた。

「……!!」

カキンカキンカキンカキンカキンカキン!

銃弾を短刀ではたき落とす殺。

「あらあら~味方の流れ弾に襲われるなんて可哀想ね~?もうふらふらじゃない」
「………」ふらふら…
「あらあら、まだ向かってくるの?もう少ししか爆破できる虫は残ってないけど……それも避けられそうもないわね~?」
「………」ふらふら…

「これで本当に終わりよ、ばいばい殺ちゃん」


ドオオォォォォォォンッ……

今度こそ分身ではない本物の殺は爆破される。

ドサァッ……

「………」
「虫を遣いすぎたかしら、両腕しか飛ばせてないしまだ生きてるなんて…ま、いいわ」
「……」

「最期に名前を教えてあげるわ、まぁたぶん貴女が予測した通りよ。アタシの名は【むしかい】。『虫飼い』そして『無視界』。虫を体内に飼い、そして相手の視界を奪ったり見る事ができるの。中々いいセンいってたけど惜しかったわね、ばいばい」



「……ふふ、うふふふ」
「!?何笑って……」
「……ふふふふふふふ」
「…何がおかしいの?もう貴女にできる事なんてないわ…」

「『生きようと足掻く者が最も強い』……確かにその通りでありますな……」


ズズッッッ……

ズズズズッッッ……


「な……何の音……?」


ズズズズズズズズズズッッッ…

それは地面が崩れ落ちる音。

二人がいる地面は徐々に死んでいった。
正確には、殺されていった。
地面に殺によって弾き落とされた大量の銃弾。

それが形造る『殺』の文字によって。

そう、佰仟が殺の方に向かい放った銃弾はわざと放たれたもの。
【殺】の能力は例えどんな物であろうと…それが『殺』の文字を形造れば発動する。


ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッッッッ!!!


地面は抜け落ち、猛烈な勢いで崩れ落ちていき
まるで蟻地獄かの如く、殺とむしかい…二人を呑み込んだ。

「きゃああああああっ!?たす、助けてぇぇっ!!」

予測してなかった事態にむしかいは悲鳴をあげる。

「む、むしかいっ!!まっ、待ってろ!今助けっ…」
「いいや、終わりだ」

その事態に動揺したスキンヘッドの隙をついて既に殺を助け出し抱えていた佰仟が崩落する地面に手をかざした。


<落下スピード千倍>
「た」
ヒュンッ!!

断末魔などあげる暇もなく、落下の速さを変更された虫遣いは崩落する奈落の底へ一瞬で埋もれていった。

ドドドドドドドドドドドドドドドドッッ………

「て、てめぇぇぇぇっ!!!ぶっ殺して…!」
「何を勘違いしている、終わりなのは貴様もだぞ」

ズズッ…

「がっ……身体中から………ちからがっ……」

スキンヘッドは身体を見る。
足に刻まれた『殺』という文字が分裂していた。
いや、分裂ではない。
足にはちゃんと刻まれたままだ。

数が

増えていた。

身体中のあらゆる箇所に隙間なく、殺と文字が増殖し刻まれていった。

〈文字×千〉

「さらばだ、名も無い男……いや、それでは名無しさんだ…こんな雑魚と一緒にしては失礼だな……」
「……ばいばい、ハゲ…でいいで…あります…」
「それもそうだ、そもそもハゲの名前など興味も無い」

身体中に『殺』と刻まれた男は

全ての機能を殺され、その場に倒れた。

ドンッ!

(傭兵……一十佰仟……この男も……敵に回したく…ないで…あります……)


流れにより共闘した二人が
互いに実力を認めあった瞬間だった。





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