一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい

司真 緋水銀

文字の大きさ
14 / 207
序章第一節 警備員 石原鳴月維、異世界に上番しました。

十三.男女共用トイレ

しおりを挟む

 はぁ、充実の内容だった。
 やはり実は生きていたマカロニの反旗を翻(ひるがえ)すシーンはいつ想像しても涙ものだ。それに力を貸すマカロンの健気さたるや、今期の覇権をいつ奪ってもおかしくはないな。
 さて、マカロニvsマカロンを読了したところで次の怪作『フレアおばさんの死中の秘密』の朗読(脳内)を始めるとするか。

----------------------------
◇フレアおばさんの死中の秘密
 ~あらすじ~
 『フレアおばさんは料理が得意なごく普通の専業主婦である。しかし、その裏の顔は国家要人や一国の首相…果ては大統領などからも依頼を受ける何でも屋おばさん。仕事内容は護衛、運び屋、暗殺から裁縫までオールマイティーに渡る。彼女はおおよそ一個人ができそうもない仕事をたった一人でこなす、成功率は99%。それは…彼女がどんな絶望的な状況でも、いや、絶望的な状況だからこそ覆えせる『死中』と呼ばれる危機的状況を打破する特殊能力が……』

「な、何だ!? き……気のせいじゃないぞ!?」
「あぁ……! 何でっ!?」

 周囲が騒がしい。やかましいなクソッタレが。せっかくあらすじが始まったのに何騒いでんだ有象無象どもが。試験に落ちたのにいつまでもいる暇人達が何してんだここで。

「この室内……っ! どんどん気温が上がってるっ!?」

「【属性検定(まほう)『炎』一級技術(エクストラスキル) 【熱くなれソウル】!」
------------------------------------------
◇主観によるMEMO
・属性検定【炎】一級とやらの取得により使用可能な技術らしい。自身の肉体の熱を上昇させることで周囲の気温にまで影響を与える事ができる迷惑な技のようだ。
------------------------------------------

「現在の室温……22……23……24……25……26……………………40度だ!!」

 何かハゲが汗だくでわめいている。暑苦しいやつだな、そのせいか試験場まで暑くなってきて試験者までもが汗だくになっていた。
 迷惑なハゲだ。

「ぅううっ……! 暑っちい!! も……もうやってられるか!!」
「っああ! 俺も降りる! こんな環境で残り五時間何もせずに立つなんてできるか!!」

 残っていた試験者が次々とバテはじめ、帰っていった。あーあ、馬鹿なやつらだ。ここで帰ったら今までの時間が無駄だろうに。っていうか帰るんなら黙って帰れよ、うるさくてイライラする。

 仕方ない、半分まできたしもうそろそろトイレにでも行くか。

「偉そうな態度をしていたがついに貴様も耐えられなくなったのかナンバー55!」
「汗臭いから近寄るな、小便だ小便」
「……っ!!」
「わ、私も行きます!!」

 なんかムセンまでついてきた。



〈試験場トイレ(男女共用個室一つのみ)〉

「ありがとうございました! イシハラさん」

 いきなりわけのわからないお礼をされた。なんだこいつ、暑さでおかしくなったのか?

「ふふ、秘密です。それよりもイシハラさん、私体力の回復ができるようになったのでイシハラさんの体力も回復します」

 なんだ、いつの間に魔法を修得したんだ? さっきの光がそれか?
 だがまぁ、やはり神官といえば回復魔法だな、これRPGの定番。ならこの試験の心配はいらないな。疲れたら自分で回復できるんだし。ある意味最強の警備員が誕生したな。立って疲れたら回復すればいいんだし。

「必要ない、体力は減ってない」
「嘘ですよそんなはず……………え? 本当に少しも減ってません……貴方どんな神経してるんですか!?」

 ムセンは俺に触り何かわけわかんない事を言っている。たかが五時間程度で疲れるわけはないだろう、地球では大体8時間はつっ立ってるんだから。

「それよりもトイレタイムは10分しかないんだ、するなら早くしろ。よっぽど我慢できない限り次は3~4時間後だからな」
「え? トイレは一人二回までいつでも自由に使っていいんですよね? 何か時間の決まりがあったんですか?」
「別にない、ただ気分をリフレッシュさせたいのなら3~4時間後がベストなだけだ。いつになるかわからないが次は恐らく極寒地獄になるだろうからそれで尿意が我慢できればの話だが」
「?? どういう事ですかイシハラさん?」
「いいからするならしろ、時間がなくなる。一緒にするつもりか?」
「す、するわけないじゃないですか! も……もうっ! わかりました! 先に失礼しますけど音を聞いちゃダメですよ!? 耳塞いでてください!」
「なんだ腹が痛かったのか」
「違いますっ! 小さい方でも恥ずかしいんですっ! 何を言わせるんですか! 聞かないでくださいっ!」

 まったく、なんで俺がそんな事しなくちゃならないんだか。相変わらずわけのわからないやつだ。



 部屋に戻るとなんかムアッとした。ちょうど真夏の猛暑日くらいの気温だ、これが全てあのハゲから産み出されているかと思うと不愉快極まりない。
 気にしてなかったけど残りの試験者は俺達を含めて残り8人。たぶん最後まで生き残るのは…………あそこにいる水色の髪の女と……バーコードハゲ眼鏡のおっさんだな。合格者は四人か、ただの予想だけど。

「ぅうう……辛い……しかし……家族のために頑張らなければ……」

 バーコードハゲのおっさんは何かぶつぶつ言いながら汗だくでふらふらしている。地球でいううだつの上がらない窓際族のおっさんって感じだけど眼鏡の奥の眼はしっかりと何かを見据えている。
 根性ありそうだ。

「ふんふーん♪ あ、ねぇねぇキミ……イシハラ君だっけ? 話があるんだけどいいかなぁ?」

 立哨位置に戻ろうとすると、たぶん生き残ると予想した水色髪の試験者の女が話しかけてきた。なんだこいつ、いいかもくそもこいつと話す事など欠片もないから却下だ。

「ナンバー1!!! 会話は禁止だ!! 貴様は毎回何のつもりだ!」
「ちぇー、じゃあじゃあ終わったら話そうよ。アタシ今回合格するから。イシハラ君も合格してね」

 言われるまでもない。

「おい! 何だアイツ! 俺達のシューズちゃんに話しかけられたぞ!?」
「シューズちゃんこっち向いてー! 僕達が応援してるよー!!」
「あぁ……やっぱり可愛い………なぁ、けどナンバー56の変な服の子も相当可愛くないか?」
「俺も思った! ファンになりそう……」

 脱落したモブ達がなんかざわついている。何だこいつら。いつまでも帰らないと思ったらこの女目当てだったのか。ドルオタか。そんなんだから試験に受からないんだよ。

 もうそろ六時間くらいかな。いよいよ佳境に差し掛かる頃合いだ、では本腰を入れて脳内映画でもするとしよう。


しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

処理中です...