一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい

司真 緋水銀

文字の大きさ
91 / 207
第一章 一流警備兵イシハラナツイ、勤務開始

六十七.姐さん

しおりを挟む

-王都帰還から遡(さかのぼ)る事2日前-

〈冥邸洞(ハーベスト)地下57階〉

「ナツイ様? 本日は洞窟の最深部を警備するのでございますか?」

 王女エメラルドは不思議な顔をして首をかしげる。
 残りあと2日だし、洞窟内部に生息している魔物はほぼ片付けたし後はここの掃除をするくらいしかやる事ないしな。

 ちなみにこれまでの一週間は波乱の連続だった。主にこのトラブル神、エメラルドのせいで。
 ダイジェストにすると──

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あぁっ! ナツイ様ナツイ様ナツイ様! あちらは何でしょうあちらは何でしょうわたしは気になると気になると気になると感じます!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ──こんな一週間だった。

 この王女、人の話などまったく聞かない。もう対応するのも面倒なのでほとんど心の声で対応することにした。

「ナツイ様、何か足音が……するような気がしなくもないです。わたしの気のせいでしょうか?」

 いや、気のせいじゃないな。上階から十五人くらいの足音が近づいてくる。マップを確認したが、これは人間のアイコンだ。
 一体何の集団がこんな場所にやってきたんだ? もうこれ以上のトラブルはごめんなんだけど。


「おい! いたぞ! こっちだ野郎共!」

 なんかどっかで見た事あるようなならず者っぽい集団がこぞってやってきた。何者だよこいつら。

「ナツイ様っ! 洞窟の外でわたしを追い回した下劣な輩達でございますよっ!!」

 あぁ、エメラルドを誘拐しようとしてた奴らか。
 こんな地下深くまでリベンジしにきたわけだ、その情熱を他の事に使え。

 イライラしっぱなしの俺はライトセイバーを振り回そうとした。

「まっ……待ってくだせぇ!! 俺達ぁあんたの強さに惚れこんだんです!! もう盗みなんてくだらねぇ事ぁやめます!! 俺達新たに義賊団を旗あげしようと思ってるんでさ!! 光のアニキ!! 俺達のリーダーになってやくれやせんか!?」

【一流警備兵技術『強制交通誘導』】

「「「「ぎゃああああああああっ!?」」」」

 俺はならず者達を強制的に吹き飛ばした。ならず者達はまとめて洞窟の岩壁に叩きつけられる。
 洞窟内にはやかましい断末魔と衝撃音、岩壁が崩れ落ちる音が鳴り響いた。


「ナツイ様、何か言っていたような気がしなくもないですが……よろしいのですか?」

 知るか。もうトラブルは問答無用で排除するに限る。

「ナツイ様! ならず者達がぶつかった壁が崩れて……新たな道が出てきました! 何でしょう!?」

 ん? これは知らなかったな、隠し通路ってやつか。

「ナツイ様……どうされますか? 調査されますか?」

 仕方あるまい。面倒だがこの施設(洞窟)に不備を残した場合、警備を任された俺の責任になる。仕事している以上、終わりまで完璧にこなさねばなるまいて。
 行くとしようか。
 
 俺達の冒険はこれからだ──

----------------------
--------------
---------

<軽食屋『皿の裏』>

「──と、そんな感じの一週間だった」
「まっっっったくわかりません!! それがどうなったらこんな大所帯を引き連れて帰ってくることになるんですか!?」

 俺とムセン、シューズ、エメラルド、ならず者集団はかつてハンバーガーを食べたいと思っていたらサンドイッチが出てきた軽食屋に来ていた。この店は立地的に客も少ないらしいため、言っちゃ悪いがあまり繁盛していないし店主もいい奴なので俺のお気に入りになり定期的に通っている。

 昼飯をとりながらムセン達にはこの一週間に起きたことをかいつまんで説明した。

「説明できてませんっ! 何です最後の終わり方!? まるで強引に打ち切られた物語のお話じゃないですか!」

 ムセンの突っ込みが冴え渡る。

「そ……それにまた女性の方を連れて……しかも王女様だなんて……」
「別に好きで連れてきたわけじゃない。王女もそこのならず者達も勝手についてきただけだ」

「アニキ! 俺らは役に立ちますぜ!」
「そうっス! 何かあれば俺らに言ってくだせぇ!!」

「………はぁ………」

 ムセンは呆れ顔をしてため息をついた。

「どうするんですか……この人達……」
「知らん」
「ナツイ様っ! こちらが噂に聞くパンズという食べ物でしょうか?! わたしは初めて食すと思います! とても美味しいと感じます! 何のお肉でしょうか中の獣肉は!?」

 知らん。

「とりあえず……お昼を食べたらイシハラさんは警備協会にお仕事完了の報告に行くのですよね?」
「そうだな」
「それからどうするか考えましょう、王女様の事もそうですし……この人達……いくら心を入れ換えたとはいえ、今まで盗賊稼業をしていたのは事実なんですよね? きちんと罰を受けて罪を償ってください」

 ムセンはならず者達を冷めた目で見てそう言った。ふむ、確かに。ムセンの言うことも最もだな。

「そ……そんな! 姐(あね)さん! 獄中は勘弁してくだせぇ!」
「そうです! 何でもしますから臭い飯だけはご勘弁を姐(あね)さん!!」
「変な呼び方はやめてください! 何ですかあねさんって!!」
「え? だってナツイアニキの奥さんっすよね? アニキへの接し方もアニキの姐(あね)さんへの態度も夫婦そのものと思ったんですが……」

「!!………………………そ、そうですか……? えへへ……そんな風に見えましたか……? えへへ……」

 ムセンはならず者達への態度を軟化させた。馬鹿かこいつ。

「えー、違うよー? 結婚の約束したのはあたしだよー」

 シューズも突然会話に割り込んできた。

「こちらもまた美少女ですね! アニキモテモテじゃないっすか! にくいっすねこのこの!!」

 うざっ、中学生か。
 すると突然、天井から仮面をつけた女が俺達の座るテーブルの上に降ってきた。

「痛っ!! ……違う、きっといー君は私を選ぶ」
「「きゃああああああっ!?」」

 仮面女は着地に失敗して尻餅をついた、衝撃で空の皿が飛び散った。ムセンとエメラルドが悲鳴をあげる。

 ウテンか、何しに来たんだ?

「痛い…………迂闊」
「ウテンさんっ!? 何ですか急に!? 自粛していたのではないのですか!?」
「いー君が帰ってくるから今さっき復帰した。やっぱりあなた達には私の監視が必要。とりあえずいー君、今すぐ何があったか話して」

 ん? 何でウテンに警備の仕事の事を話さなきゃならないんだ? 仮面をつけているからわからないが、何か声が怒っている。

「どうしたんですか? ウテンさん……何か怒ってらっしゃるような気がしますけど……」
「気がするんじゃない。怒ってる」

 ムセンも同じように感じとったのか尋ねた。ウテンは怒り声で俺達に言った。

「『シュヴァルトハイム第二王女が行方不明、誘拐の疑惑あり』とさっき秘密裏に報告を受けた。嫌疑がかけられてるのは……盗賊団【豚の砂】と……いー君、あなた。私が疑いを晴らすから何故そんな話になってるのか話して」

 その場にいた全員が心当たりがあったので黙った。



















しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...