一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい

司真 緋水銀

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二章第三節.イシハラナツイ、〈続〉〈続〉借金返済の旅

百四十七.頭脳戦拒否

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「では、これから予選開始となります。参加職種は計57職ですねーー〈プロフェッショナルバトルオリンピア〉は予選枠16職+シード6枠でのトーナメント方式の勝ち抜き戦で行われるため……ここから約3割にまで絞られます。では……槍攻撃を食らったジンジンさん、予選概要の説明をお願いします」
「シラフ、槍の件は忘れーる。それに仮にも上司であーるわしを心配する素振りくらい見せろであーる、相変わらずに冷めた奴であーるな……それよりも、じゃ。予想よりも数が多いために予選方式を変更すーる、少し待機すーるのだ」

 そう言って、責任者の精霊二人は一時姿を消した。


〈【風天の魔女ビューラーの塔 内部】〉

 塔へと入った俺達を待ち構えていたのは広い荒野、これも間違いなくマフィンフィールドだろう。
 殺風景な大地には至るところに竜巻が発生しており、さながらラスボス決戦前の舞台のようだ。あの竜巻群も恐らく映像の類ではなく当たればダメージ判定される障害物なのだろう。

「ひぃぃ……なんスかこの光景……地獄っス……それに参加者の皆さんも強そうっス……あぁ……胃が捻れる……」

 参加者達はこの光景を見て、驚いてる奴もいたり平然としてる奴もいたり様々だ。計57人、この予選で半数以上が脱落するらしい。

「ーーおい、てめぇ。何処かで見たツラかと思ったら港町にいた野郎だな?」
「オトコの子、お前司書とやらの技術でどう戦うんだ? それにずっと疑問だったが、全ての職業が戦う技術を持ってるわけではあるまい。そいつらのランク付けはどうやって決めるんだ?」

 何か知らない奴に急に話しかけられたけど無視してオトコの子に気になっていた事を聞いてみた。

「え? あ……あの……ナツイさん……物凄く怖い顔した人が話しかけてきてるんスけど……?」
「気にするな、他人だ。それより気になるから教えてくれ」
「えぇぇ……え、えーと……司書には『言霊武装(ソウルアーム)』と呼ばれる技術があるんス、本に宿る意思を顕現して身に纏わせる特別な技術っス……」

 なにそれカッコいい。
 急に俺の物語(しょうせつ)が本格ファンタジー化してきて色めき立つ。

「まさか全ての職業にそんな素敵ファンタジー技術が備わっているのか?」
「それはわからないスけど……ナツイさんの質問の件だったら答えは『支援職(サポーター)』として戦闘職を支援すればいいんスよ。たとえば……鍛治職だったら武器を作成して戦闘職に託します、その戦闘職が大会にて結果を残すことで同時に鍛治職もランクアップするっていう塩梅なんス」

 なるへそ、スポンサーみたいなものか。
 大会で優秀な成績を残せそうな見込みの職業に賭けて命運を共にするわけだ。
 
「支援の仕方は様々よ。食事、装備、技術伝授、金銭、大会前に支援技術(バフ)をありったけかけたり……対戦相手に妨害技術(デバフ)を行ったり何でもありありなの」

 ガチムチおネエも話に加わる。
 大会前のドーピングや相手の妨害もありなのかよ、武士道精神の欠片もないな。つまりは『勝った者が全て』を地で行くようなーーこの武力大国に相応しい大会というわけだ。

「ふむ、大体把握した。あとは追々聞いていく事にしよう」
「無駄話はそこまでだ、決定したであーる。さっさと集まーるのだ」
「始まるみたいよ、行きましょう」

 緑色達が再度姿を見せる、いよいよ始まるらしい。
 なんかすぐ横で知らない奴が話を盗み聞きしてたが無視して責任者の元へ集まった。

「………………ブッ殺すっ……!!」

----------------------------
--------------

「発表すーる、予選は生き残った者のみが進出できる【サバイバルバトル】にしたであーる。この荒野にて最後まで立っていた16職が大会に歩を進められーる。手段や戦略は問わん、どのような武器や技術の使用も許可すーる。ただし、一つだけルールがあーる。参加者一人倒す毎に1pt獲得できーるーーそして予選終了までに合計3pt獲得すーるというルールだ。逃げ隠れて残っていても当然失格であーるからな」

 ジンジンとやらの話し方が鬱陶しすぎて頭に入ってこないがルールを概ね把握する。要は3pt持って最後まで立ってた16人が大会進出なわけだ。

「補足します、ポイント保持者を持つ者を倒した場合ーーその方にはそのポイントが加算されます。3pt保持者を倒せば合計4ptの保持者となり、3pt保持者は当然失格となります。つまりは最後までポイントを保持できた者のみが勝者というわけです」

 シラフがつけ加える。
 うって変わって冷静にーーまるで素面(しらふ)な話し方は俺の好みではあったが、ギャンブル漫画みたいなポイントシステムに面倒くさいゲージが反応してうんざりした。
 そんなルールの穴をつくような頭脳戦なんかやるつもりないんだよこっちは。

「なるほどっス……と、いうことはっスよ……賭けでポイント保持者を一人狙うのもありっスね。勝率は低いっスけど手間と体力をかけずに済むんスから、ねぇナツイさん?」
「あー、そーだねー、そーすりゃーいーんじゃなーい?」
「どうしたんスか!? 突然やる気の欠片も無くなってないっスか!? ナツイさんの情緒がどこにあるのか全くわかんないっス!!」

 推測ではあるが、これまでの話を統合するにこの予選も誰かしらの余興みたくなっているのだろう。貴族やらスポンサーやらが裏でここをモニタリングしている可能性があるという事だ。マフィンフィールドはそれを悟らせない巧妙な隠れ蓑の役割も果たしているわけだ。

「え!? どーいう事スかナツイさん!? 何でそんな事わかるんスか!?」
「面倒だから説明する気は一切ない」
「……確かに考えもしなかったけど……これから投資するにあたって先にその職業の情報は掴んでおきたいのは当然……大会では大きなお金が動く……予選は先に情報を得るための格好の場になるわけね……」
「え……と、つまりアフィンフィールドの裏には貴族達がいて見てるって事スよね? 更に腸が痛くなってきたっス……」

 まぁそういう事だろう。きっとシード枠というのは貴族達の贔屓(ひいき)しているお抱え職業の枠だろう。そいつらを優位に立たせるためーーそして自分らも賭け事を有利に働かせるために高みの見物をきめこんでいる。
 予選方式がこんな面倒くさい仕様なのもそれが理由、先にポイントを稼いだものが勝ち抜けるのではなく、16枠が決まるまで保持してなければならないのは単にすぐに抜けられるのを防ぐためーー要は単純にそれをされるのが面白くないからだろう。

 はぁ、地球でもファンタジー世界でも上級国民のやることは同じだな。自分が楽しむために下級民の夢も希望も余興(あそび)に変える、それがどれだけそいつの人生を狂わせようがお構い無し。

「それでは予選スタートであーる! あ、ちなみにそこにいる男の職業は【警備兵】であーる! 討つなら格好の的であーるよ!」

 ジンジンとやらは予選開始の口火を切った直後ーー俺を指差して参加者達に大声で告げた。
 それを聞いた参加者達はぎらついた眼に変わり、一斉にこちらを凝視する。

「ぇぇえっ!? ひ……卑怯っスよ! 責任者がやる事っスか!?」
「さっきの仕返しってわけね……ナツイきゅん逃げるわよ! 一斉に襲われたらひとたまりもっ……」
「なに騒いでんだお前ら、絶好のチャンスだろう。いいからそこにいろ」

 あたふたしてこちらを向くオトコの子とガチムチの後ろから刹那ーー参加者達が一斉に襲いかかってくる。
 
 俺はライトセイバーを構え、通行止めを知らせるポーズをした。

 ~~【職業展開 職場解放 『環状交差点』】~~

キキィィィッ……ドンッドンッドンッ!!

「「「「「なっ……!? うわぁぁぁぁぁぁっ!!!?」」」」」

 俺が職場展開をして舞台を環状交差点に変えると、辺りは一転、地獄絵図になった。道路にいた参加者達が進んできたクルマに次々に轢かれていったのだ。
 参加者達は俺への攻撃に躍起になっていたため、防御や回避に転じる事ができなかったようだ。みんなしてクルマに衝突する。

 あ、とは言ってもグロいわけではないから安心しろ。ギャグ漫画のように吹っ飛んでいってるだけだ。

「んなっ……!?」

 驚いている緑色と、裏で見ている貴族達に向かって俺は言った。

「確かにこれは【特別待遇】だな、楽させてくれてありがとう。高みの見物人達、つまらなくして申し訳ないなーーだが、別にお前らのためにやってるわけじゃないんで」

◇・参加者14人撃破により【警備兵 イシハラナツイ】ポイント15pt獲得!

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