百物語 厄災

嵐山ノキ

文字の大きさ
97 / 101

第九十六話 予告された死

しおりを挟む
 Uさんが友人と神社に初詣に行った際に、手水場の前で写真を撮ったという。
 日中であったが手水場の周囲に人はおらず、コートを着たHさんの友人がひしゃくで水をすくう。
 彼がチラチラとUさんの方を見ながら自分の手に水をかけているところを、Uさんは撮影した。

「これ、作法は合ってるよな」

「間違ってたら恥の記録だね」

 特に深い意味はなく思い出の一つとして撮影しただけだったが、それがやたらと恐ろしい写真となってしまった。
 初詣を終え友人の住むアパートでしばらく話をしていた。その中で先ほど撮った写真を見返してみた。

「うわっ、これ、気持ち悪っ」

 半笑いでUさんのカメラの方を向く友人。手にはひしゃくを持ち、そこから水がこぼれようとしている瞬間だ。
 友人の首元におぞましいものが写っていた。
 赤黒い、ひしゃげた円のようなものが何重にも首から顎にかけて広がっている。
 毒キノコのような色合いと形状のそれが、首から生えているようにすら見えた。

「多分、何かゴミみたいなのが写ったんだよ」

 ショックを受けた様子の友人に対し、Uさんはそうフォローするしかなかった。

「結局その数ヶ月後だったかと思いますが、彼に食道癌が見つかりました」

 発見時にはすでに末期の状態であり、年末を待たずして友人は亡くなってしまったという。
 謎の赤黒い円は、友人の異変を示していたのだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2026/1/5:『おちゃ』の章を追加。2026/1/12の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/4:『かみ』の章を追加。2026/1/11の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/3:『おかのうえからみるけしき』の章を追加。2026/1/10の朝8時頃より公開開始予定。 2026/1/2:『そうしき』の章を追加。2026/1/9の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/1:『いえい』の章を追加。2026/1/8の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/31:『たこあげ』の章を追加。2026/1/7の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/30:『ねんがじょう』の章を追加。2026/1/6の朝4時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

(ほぼ)1分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話! 【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】 1分で読めないのもあるけどね 主人公はそれぞれ別という設定です フィクションの話やノンフィクションの話も…。 サクサク読めて楽しい!(矛盾してる) ⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません ⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください

百の話を語り終えたなら

コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」 これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。 誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。 日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。 そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき—— あなたは、もう後戻りできない。 ■1話完結の百物語形式 ■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ ■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感 最後の一話を読んだとき、

怪蒐師

うろこ道
ホラー
第8回ホラー•ミステリー大賞で優秀賞を受賞しました。ありがとうございました! ●あらすじ 『階段をのぼるだけで一万円』 大学二年生の間宮は、同じ学部にも関わらず一度も話したことすらない三ツ橋に怪しげなアルバイトを紹介される。 三ツ橋に連れて行かれたテナントビルの事務所で出迎えたのは、イスルギと名乗る男だった。 男は言った。 ーー君の「階段をのぼるという体験」を買いたいんだ。 ーーもちろん、ただの階段じゃない。 イスルギは怪異の体験を売り買いする奇妙な男だった。 《目次》 第一話「十三階段」 第二話「忌み地」 第三話「凶宅」 第四話「呪詛箱」 第五話「肉人さん」 第六話「悪夢」 最終話「触穢」 ※他サイトでも公開しています。

最終死発電車

真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。 直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。 外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。 生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。 「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!

怪異の忘れ物

木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。 さて、Webコンテンツより出版申請いただいた 「怪異の忘れ物」につきまして、 審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。 ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。 さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、 出版化は難しいという結論に至りました。 私どもはこのような結論となりましたが、 当然、出版社により見解は異なります。 是非、他の出版社などに挑戦され、 「怪異の忘れ物」の出版化を 実現されることをお祈りしております。 以上ご連絡申し上げます。 アルファポリス編集部 というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。 www.youtube.com/@sinzikimata 私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。 いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。

処理中です...