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同棲の始まり
あっけない人生
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激しい銃声と爆炎が轟く中、ルカは一人、屋敷内を駆けていた。
煙を吸い込んだせいで、喉が痛い。
――くそっ!
ルカは唇を噛んだ。
手にした銃の残弾数は僅か。
そもそも、そこまで本格的な銃撃戦をやるつもりで乗り込んではいなかったのだ。
ただ、ここに潜伏するマフィアの連中の意表を突いて、屋敷に忍び込み、拘束できればそれで良かった。
なのに、そうは上手く事は運ばなかった。
確かにショーンの報告どおり、屋敷にいたのはマフィアは少人数ではあったが、屋敷に持ち込まれていた銃火器の量が予想を遥かに超えていたのだ。
機関銃に手榴弾など使われては、簡単に反撃しようもない。
マフィアの連中は屋敷の場所が警察に知れた事で、ここを放棄する気が満々なのか、屋敷が破壊されるのを気にもせず、派手な攻撃でルカとショーンを翻弄した。
おかげでショーンとはすっかりはぐれてしまい、ルカは今、一人で屋敷の中を逃げ回っている状態だった。
ルカの腹部は銃弾が貫通し、激しい出血がある。
何度も爆風に煽られている内に、体のあちこちの皮膚も焼けてしまっていた。
失血と煙と炎の熱さで、うっかりすると気を失ってしまいそうになりながら、ルカはひたすらに階段を駆け上がり、長い廊下をひた走る。
炎に巻かれないように、屋敷の上へ上へと逃げるしかなかった。
そうして、とうとう行き止まり。
屋敷の一番上の奥の部屋にたどり着くと、ルカはドアを蹴破って中へと入った。
貴賓室のようなその部屋の奥には、大きなテラスがある。
窓の外には、大きな月が見えていた。
ルカは部屋の入り口に警戒しながら、窓際まで向かう。
「・・・奴ら、オレ達ごと屋敷を爆破するつもりか?」
銃声はもう鳴り止んでいる。
変わりに聞こえるのは、激しい爆音だけ。
そっと息を殺して、テラスの外から地上の様子を窺ってみれば、黒い車が2台、逃げるように海沿いの道を走り去って行くところだった。
――ヤバい。ここはもうオシマイだ。
瞬間、そう悟ったルカは、無線でショーンを呼び出した。
「おい、ショーンっっ!聞こえてるか!ショーンっっ!!」
痛む喉で必死にそう叫べば、酷い雑音に混じって、ショーンから応答があった。
どうやら、無事のようでルカは安堵する。
「ショーン、無事か?!」
『いや、あんま無事じゃねぇけど?あちこち撃たれて痛いのなんのって。そっちは?』
「・・・まぁオレも似たようなもんかな。ってか、それよりショーン、お前、まだ動けるか?」
『ああ、足は無事だからな。』
「だったら、今すぐ屋敷から逃げろ!ここはもうすぐ火の海になる!」
『わかった!ルカ、お前は?!』
「オレもすぐ行く!お前は先に出て――」
そこまで言いかけた時、ものすごい衝撃とともに、ルカの身体がテラスの手すりに叩きつけられる。
部屋の壁には大きな穴があき、すぐ目の前に火の手が上がった。
「・・・うっ」
頭を打って出血したのか、温かいものが額からドロリと伝わる嫌な感触があった。
動かない手を無理矢理に伸ばして無線を取ってみれば、もう壊れてしまったのか、それは途絶していて。
ルカは何とか上半身だけ起こすと、テラスの手すりに背を預けながら、目の前の光景に目をやった。
火の手はもうそこまで迫っていた。
部屋の入り口などもう跡形もないが、ともかくこの部屋を出て、下の階へ行くなど無理な話だ。
かと言って、この部屋に非常階段のような避難設備はない。
もとは旧貴族の豪邸だったらしいこの屋敷は、現代風には改築はされておらず、つまり、逃げ道は皆無だ。
――ってか、逃げれたところで、このケガで助かるかどうかもアヤシイけど。
自分の下にできた血溜りを見て、ルカは苦笑した。
「・・・ち。たった一発しか食らってねぇのに。当たり所が悪かったな。」
――ホント、ツイてねぇ。
何事も諦めるのは好きではないが、この状況ではルカに待っているのは“死”だけだった。
そして。
死を意識した瞬間、呆気ない人生だったと、つい他人事のようにルカはそう思った。
警官という仕事をしている限り、危険はいつも付きまとうものだと覚悟していたはずだったのに。
それでも、自分だけは大丈夫だという、そんな過信が心のどこかにあったのだ。
だから、こんな事になった。
ショーンを巻き込んでしまって本当にすまない事をしたなと、今更ながら反省する。
「・・・ショーンのヤツ、上手く逃げられたかな?」
浅い息を繰り返しながら、ルカはそう呟く。
願わくば、ショーンだけは助かりますようにと。
煙を吸い込んだせいで、喉が痛い。
――くそっ!
ルカは唇を噛んだ。
手にした銃の残弾数は僅か。
そもそも、そこまで本格的な銃撃戦をやるつもりで乗り込んではいなかったのだ。
ただ、ここに潜伏するマフィアの連中の意表を突いて、屋敷に忍び込み、拘束できればそれで良かった。
なのに、そうは上手く事は運ばなかった。
確かにショーンの報告どおり、屋敷にいたのはマフィアは少人数ではあったが、屋敷に持ち込まれていた銃火器の量が予想を遥かに超えていたのだ。
機関銃に手榴弾など使われては、簡単に反撃しようもない。
マフィアの連中は屋敷の場所が警察に知れた事で、ここを放棄する気が満々なのか、屋敷が破壊されるのを気にもせず、派手な攻撃でルカとショーンを翻弄した。
おかげでショーンとはすっかりはぐれてしまい、ルカは今、一人で屋敷の中を逃げ回っている状態だった。
ルカの腹部は銃弾が貫通し、激しい出血がある。
何度も爆風に煽られている内に、体のあちこちの皮膚も焼けてしまっていた。
失血と煙と炎の熱さで、うっかりすると気を失ってしまいそうになりながら、ルカはひたすらに階段を駆け上がり、長い廊下をひた走る。
炎に巻かれないように、屋敷の上へ上へと逃げるしかなかった。
そうして、とうとう行き止まり。
屋敷の一番上の奥の部屋にたどり着くと、ルカはドアを蹴破って中へと入った。
貴賓室のようなその部屋の奥には、大きなテラスがある。
窓の外には、大きな月が見えていた。
ルカは部屋の入り口に警戒しながら、窓際まで向かう。
「・・・奴ら、オレ達ごと屋敷を爆破するつもりか?」
銃声はもう鳴り止んでいる。
変わりに聞こえるのは、激しい爆音だけ。
そっと息を殺して、テラスの外から地上の様子を窺ってみれば、黒い車が2台、逃げるように海沿いの道を走り去って行くところだった。
――ヤバい。ここはもうオシマイだ。
瞬間、そう悟ったルカは、無線でショーンを呼び出した。
「おい、ショーンっっ!聞こえてるか!ショーンっっ!!」
痛む喉で必死にそう叫べば、酷い雑音に混じって、ショーンから応答があった。
どうやら、無事のようでルカは安堵する。
「ショーン、無事か?!」
『いや、あんま無事じゃねぇけど?あちこち撃たれて痛いのなんのって。そっちは?』
「・・・まぁオレも似たようなもんかな。ってか、それよりショーン、お前、まだ動けるか?」
『ああ、足は無事だからな。』
「だったら、今すぐ屋敷から逃げろ!ここはもうすぐ火の海になる!」
『わかった!ルカ、お前は?!』
「オレもすぐ行く!お前は先に出て――」
そこまで言いかけた時、ものすごい衝撃とともに、ルカの身体がテラスの手すりに叩きつけられる。
部屋の壁には大きな穴があき、すぐ目の前に火の手が上がった。
「・・・うっ」
頭を打って出血したのか、温かいものが額からドロリと伝わる嫌な感触があった。
動かない手を無理矢理に伸ばして無線を取ってみれば、もう壊れてしまったのか、それは途絶していて。
ルカは何とか上半身だけ起こすと、テラスの手すりに背を預けながら、目の前の光景に目をやった。
火の手はもうそこまで迫っていた。
部屋の入り口などもう跡形もないが、ともかくこの部屋を出て、下の階へ行くなど無理な話だ。
かと言って、この部屋に非常階段のような避難設備はない。
もとは旧貴族の豪邸だったらしいこの屋敷は、現代風には改築はされておらず、つまり、逃げ道は皆無だ。
――ってか、逃げれたところで、このケガで助かるかどうかもアヤシイけど。
自分の下にできた血溜りを見て、ルカは苦笑した。
「・・・ち。たった一発しか食らってねぇのに。当たり所が悪かったな。」
――ホント、ツイてねぇ。
何事も諦めるのは好きではないが、この状況ではルカに待っているのは“死”だけだった。
そして。
死を意識した瞬間、呆気ない人生だったと、つい他人事のようにルカはそう思った。
警官という仕事をしている限り、危険はいつも付きまとうものだと覚悟していたはずだったのに。
それでも、自分だけは大丈夫だという、そんな過信が心のどこかにあったのだ。
だから、こんな事になった。
ショーンを巻き込んでしまって本当にすまない事をしたなと、今更ながら反省する。
「・・・ショーンのヤツ、上手く逃げられたかな?」
浅い息を繰り返しながら、ルカはそう呟く。
願わくば、ショーンだけは助かりますようにと。
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