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五章
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大変お待たせいたしました。連載を再開します。よろしくお願いいたします。
△▼△▼△▼
シトさんも到着し挨拶を終えると、緊迫ムードからも解放された。
「それにしても不思議ですね。兄の婚約者であるフィリシーナが年下なのはわかりますが、その父君まで自分より若いのは」
「わ、私も慣れません……」
和やかムードになったのはあくまでもお父様以外の面々で、いつものごとく異常に緊張をしていた。
「だからといって気後れなさらないでくださいね。年の離れ具合から扱いづらいとは思いますが、気軽に接してください」
「は、はい」
シトさんは柔らかな笑顔で告げるも、お父様は未だに顔が少しひきつっている。
その様子を見ながら、ラドが苦笑する。
「そういえば、兄様は二人のことを何て呼んでいるの?」
「ラドは本人から呼び捨てで良いと言われた。公爵は義父と呼ぶのは本人の負担が大きいため、名前でイグニード殿と呼ばせてもらっている」
「それはいいな!僕もそう呼んでもいいでしょうか?」
「是非そうしてください」
「も、もちろんにございます」
笑顔でさらりと答えるラドとは対照的な緊張状態の父。
「……イグニード殿、今日は妹にあたるソムファ侯爵夫人を呼んでいる。既に到着しているようだが、面会してはどうだろうか?」
「も、もちろんにございます……!」
強張った表情から一転、お父様の本来の明るい雰囲気を取り戻す。
「叔母様か……」
「ラドは初めて会うのか」
「はい。従兄弟含め、会えることを楽しみにしてきました」
「それは良かった」
「それじゃあ僕が呼んでくるよ」
「頼んだ、シト」
「任せて」
「よろしくお願いいたします」
笑顔で軽くお辞儀をしながら、シトさんは叔母様達の元に向かった。
「……セルネスド殿、フィリシーナは上手くやれているだろうか?」
「……これ以上ないほどに努力をしてくれています。何一つ手を抜くことなく最善を尽くすので、時々心配になるほどです」
「そうですか……」
「姉様、ほどほどにね?」
「フィナ、倒れないようにな」
「……はい」
心配をかけないようにと振る舞うものの、それでもセドにとっては心配する形になってしまう。だがこれに関してはどこまでいっても、結局セドは「大丈夫か」と訊ねてくる。だから大切なのは自己管理だ。
「セル義兄様は久しぶりに学生生活をしてるのですよね?どうですか」
「凄く新鮮だ。楽しんでいるよ」
「フィナは……?」
「学びたいことを吸収できて、とても有意義な毎日を過ごしていますよ」
叔母様達を待つ間、お互いの近況報告で時間を過ごしていた。
緊張が完全にとけ、本調子を取り戻したお父様の様子を見てラドと二人で安堵していた。
しかし安心するのも束の間、シトさん達と思われる足音が近づいてきた。
「来たかな?」
「……!」
どうやら久しぶりの再会は、喜びと同じほど緊張が伴うようだ。取り戻した本調子は一瞬で消え去ってしまった。
そんなお父様を横目に、ノックされた扉に向けて立ち上がる。
お父様の緊張が移ってきた気がした。
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シトさんも到着し挨拶を終えると、緊迫ムードからも解放された。
「それにしても不思議ですね。兄の婚約者であるフィリシーナが年下なのはわかりますが、その父君まで自分より若いのは」
「わ、私も慣れません……」
和やかムードになったのはあくまでもお父様以外の面々で、いつものごとく異常に緊張をしていた。
「だからといって気後れなさらないでくださいね。年の離れ具合から扱いづらいとは思いますが、気軽に接してください」
「は、はい」
シトさんは柔らかな笑顔で告げるも、お父様は未だに顔が少しひきつっている。
その様子を見ながら、ラドが苦笑する。
「そういえば、兄様は二人のことを何て呼んでいるの?」
「ラドは本人から呼び捨てで良いと言われた。公爵は義父と呼ぶのは本人の負担が大きいため、名前でイグニード殿と呼ばせてもらっている」
「それはいいな!僕もそう呼んでもいいでしょうか?」
「是非そうしてください」
「も、もちろんにございます」
笑顔でさらりと答えるラドとは対照的な緊張状態の父。
「……イグニード殿、今日は妹にあたるソムファ侯爵夫人を呼んでいる。既に到着しているようだが、面会してはどうだろうか?」
「も、もちろんにございます……!」
強張った表情から一転、お父様の本来の明るい雰囲気を取り戻す。
「叔母様か……」
「ラドは初めて会うのか」
「はい。従兄弟含め、会えることを楽しみにしてきました」
「それは良かった」
「それじゃあ僕が呼んでくるよ」
「頼んだ、シト」
「任せて」
「よろしくお願いいたします」
笑顔で軽くお辞儀をしながら、シトさんは叔母様達の元に向かった。
「……セルネスド殿、フィリシーナは上手くやれているだろうか?」
「……これ以上ないほどに努力をしてくれています。何一つ手を抜くことなく最善を尽くすので、時々心配になるほどです」
「そうですか……」
「姉様、ほどほどにね?」
「フィナ、倒れないようにな」
「……はい」
心配をかけないようにと振る舞うものの、それでもセドにとっては心配する形になってしまう。だがこれに関してはどこまでいっても、結局セドは「大丈夫か」と訊ねてくる。だから大切なのは自己管理だ。
「セル義兄様は久しぶりに学生生活をしてるのですよね?どうですか」
「凄く新鮮だ。楽しんでいるよ」
「フィナは……?」
「学びたいことを吸収できて、とても有意義な毎日を過ごしていますよ」
叔母様達を待つ間、お互いの近況報告で時間を過ごしていた。
緊張が完全にとけ、本調子を取り戻したお父様の様子を見てラドと二人で安堵していた。
しかし安心するのも束の間、シトさん達と思われる足音が近づいてきた。
「来たかな?」
「……!」
どうやら久しぶりの再会は、喜びと同じほど緊張が伴うようだ。取り戻した本調子は一瞬で消え去ってしまった。
そんなお父様を横目に、ノックされた扉に向けて立ち上がる。
お父様の緊張が移ってきた気がした。
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