フラグを折ったら溺愛されました

咲宮

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六章

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 お父様とラドのゼロ国滞在は続き、今日は私のお世話になった人としてニナ先生を紹介する予定だ。

「舞踊面でお世話になっただけでなく、あの緊急事態に対応してくれた方だろう」

「えぇ。先生がいなければ今頃どうしてたかわからないわ」

「恩人だね」

「もちろん」

 あの緊急事態とは、言うまでもなく私がセドと出会った時の事だ。

 親代わりを務めてくれるだけでなく番について、セドの基本的な事ついて教えてくれたのも先生なのだ。

 私は何度もお世話になっているために個人的にお礼をしてきたが、思えばお父様達が会うことは一度もなかった。ゼロ国へ来たら是非お礼を伝えたいと言われて、改めてニナ先生が如何に貴重でありがたい存在か再確認した。

「手土産も持ってきたんだ。サン国で作られているお茶菓子なんだが……」

「きっと気に入られると思うよ」

「そうだといいんだが……」

 一見普通にしている会話だが、私とラドはとあることが気になって仕方ない。

 それはお父様のことである。

 先日、お父様はセドとシトさんと三人で談笑をしてきた。部屋に戻って来た様子を確認すれば、どことなく上機嫌だった。それならば話が上手く行ったのだろうと安心すれば良いのだが、ラド曰くお酒の臭いがしたんだとか。

 それを聞いて一瞬、肝が冷えた。

 お父様は決してお酒に強い人ではない。それを自覚しているので普段は飲まないことを徹底している。にも関わらず、その日の夜はお酒を飲んだのだ。何かあったのかと心配でならない。

 然り気無くセドにどんな話をしたか聞いてみれば、謎に顔を赤くして「……とても有意義な話だったぞ?」と言われる状況。

 悪いことは起きていないとは思うが、少しどこか引っ掛かってしまうのが私とラドの現在の心境なのだ。

「そろそろ到着すると思うから、迎えに行ってくる。二人はここで待ってて」

「わかった」

「よろしく頼んだぞ、シーナ」

 笑顔で席を立つと、王城の入り口へと向かう。 

 あの夜の出来事は気になるものの、結論から述べればセドとお父様は少しずつ親しくなっているようなので嬉しくなる。

 私もセドの家族と仲を上手く構築できるように頑張ろうと小さく意気込んだ。

 その矢先であった。

「おや、これはテリジア様」

 振り向けば、テオルート殿が立っていた。

 その笑みからは何故か少し冷気を感じてしまった。



 気のせい、だよね。
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