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七章
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しおりを挟む嘘のような大胆な提案は直ぐ様実施され、王立図書館では禁書とされたいた悲恋の書物が解禁された。有言実行とはこのことで、解禁されたのはあの日の会話から二日もしない時だった。
次に会った時、笑顔で「これでうちの禁書も遠慮なく読めるだろ」と言われた時は固まってしまった。ほとんど冗談だと思っていたからだ。それに、セドにとって良い思い出とは言えないその書物を読めるようにしていいのかわからなかった。
心配する心情を読み取られたのか、「気にせず活用してくれ。俺なら大丈夫だ。フィナがいるからな。それに、いつまでも暗いところで埃を被るよりも、誰かの手で読まれる方が本も喜ぶ」と躊躇いなく告げられてしまい、ありがたく受け入れる他なくなってしまった。
少し複雑な気持ちになりながら、図書館を訪れていた。
昨日、セドに禁書スペースを改めて案内してもらった。王族のみが立ち入れる場所だが、セドとシトさんから「フィナ(シーナ)はその婚約者なのだから同列だ」と言われて鍵を渡されそうになった。まだ違うと攻防戦を繰り広げた結果、そもそも禁書は開放するのだから悲恋に関する本の場所を移動すれば良いという決断に至った。
なんとか鍵を受け取ることを逃れられたが、セドは少し落ち込んでいた。貰うのは結婚して正式に籍を入れてからだと念を押すと、何故か笑みが戻った。時々セドの考えていることは読めないが、喜んでいるのならば良しとしよう。
今日も一人で研究に勤しもうと、読むことを許されたかつての禁書を何冊か手に取る。席について読書を始める。一つを軽く流し読みをすると、そこにはやはり悲しい結末の番の話が描かれていた。胸がどこか苦しくなるような物語を、真剣に読みながら悲恋についての理解を深めていく。
夢中になりかけた時、突然冷ややかな声が私の耳に届いた。
「悲恋を読んで楽しいですか?」
「…………テオルート様」
いきなりのことで反応に遅れたが、相変わらず何の気配も感じなかった。
「どう頼み込んだかは知りませんが…………これ以上誑かさないで欲しいものですね」
「……どういう意味でしょうか」
先日の微妙な空気よりも格段に嫌な雰囲気を感じ取る。テオルート様の視線も、前回よりも鋭さが増している。凍りつくような冷たい視線に緊張が走る。
「そのままの意味ですよ。テリジア嬢、これは忠告です。国王の影としてのね」
「……よく思われていないのはわかりますが、具体的に説明をいただかなければわかりません」
「言葉通りですよ。それ以上の意味はありません」
剥き出しにされた敵意を受けて後退りをするものの、ようやく見れた本性にこれまでの違和感が嘘でなかったことを実感する。
「では」
今回はあくまでも忠告のみのようで、それ以上のことは何もされなかった。言いたいことはそれだけのようで、気付けば姿を消していた。
ギルバートさんの言葉を思い出しながら、テオルート様の言葉の真意を考えることにした。
今日は研究してる余裕はないな。
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