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第二章
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しおりを挟む今…なんて言った……?
いや…何も言っていないのかも。
「お嬢様。貴女に会うことができ……心より嬉しく思います」
「……は?」
理解不能。
その一言に限る。
目の前の殿下が何を言ってるのかわからないし、考えたくもない。
ひざまずいている時点で、この人の頭のネジがぶっ飛んでいることは間違いない。
「お嬢様…いえ、それでは伝わりませんね」
何故かご機嫌な殿下は、私のことをとても愛おしい、そんな目で見てくる。
……好かれるようなことをした覚えはありませんが?
「再び会うことができ、感激のあまりにございます。────花乃お嬢様」
「!!!!」
どうして…。
どうして、貴方がその名前を…。
知っているの…?
待って…お嬢様?
そんな風に前世で私のことを呼んでいたのは只一人。
「…………あ、…あ…赤月」
「はい。花乃お嬢様」
何ということだろうか。
目の前には、いるはずのない彼が…いる。
前世で私の専属執事だった、赤月。
「……どうして」
驚きのあまり言葉が出ない。
上手く紡げない。
「お嬢様…驚かれるのも当然のことにございます。少し落ち着きましょう」
その言葉と同時にさっきまで座っていた椅子に誘導される。
少し動転しつつあった気持ちを落ち着かせて、今目の前にある彼と会話を始める。
「転生…していたのね」
「はい」
「そう…それにしても、よく私だと気づいたものよ」
「一体お嬢様に何年仕えさせてもらったとお考えですか…」
「それも…そうね」
「はい」
納得がいくようでいかないような、どこかもどかしい気持ち。
そう思っていたのだけど…。
「一体どれほど私がお嬢様を見てきたと思っているのですか。お嬢様のことでしたら何でも存じていますし、それどころかお嬢様よりお嬢様のことを知っています」
いや…私より私のことを知ってるって。
まぁ…別に良いけど。
ならきっと、私の今の気持ちもわかってくれていることでしょう。
それにしても…。
赤月も転生していたとは。
こんな不思議なこともあるものね。
「まぁ…お互いに転生者として頑張りましょう?色々と大変かもしれないけど」
「……そうですね」
「あ!というか…こんなに私に時間を割いている場合じゃないでしょう?…あと七人の令嬢が待っているのだから」
「必要ありませんね」
「……え?」
「必要ありません」
「必要ないことないでしょう?貴方の婚約者を決めるのだから」
「ここにいます」
「……え?」
「お嬢様が……オルティアナ公爵令嬢が私の婚約者です」
赤月…そういえば…彼は極度の人見知りだった。
今なら、冷たい態度等の理由もわかる。
だから、知り合いである私のことを婚約者にしたいのかもしれないけど…。
申し訳ないけどそれはできない。
「赤月……いつまで人見知りしては駄目よ。貴方は今は王子…、だから私もこんな口調で話してはいけませんね。これまでの無礼をどうかお許しを。ただ、今は王子なのですから、もう少し自覚を持たなくてはではないでしょうか」
一気に話してしまったけど…。
殿下の今後を考えるなら私の言うことは少なくとも間違っていないはずだから。
「……相変わらず、鈍いところも変わらずですね」
「…え?」
「いえ…はっきりと言わない私が悪いのです…」
「…?どういうことでしょうか」
「…お嬢様。今も前世も私の想いは変わることがありません。…貴女をただ、愛しております」
「愛し……えっ!?」
何だそれは!?
は、初耳…。
「前世では立場もあり、ものにすることは叶いませんでしたが、どうやら神は私に機会をくれたみたいなのです。……なので、今回は何があっても手放しませんよ?ですので、どうぞ婚約者に」
「き、気持ちは嬉しいわ……けど、私はならないわ…?」
「申し訳ありません。いくらお嬢様でもその願いは聞き入れられないです」
「いや!あのね?婚約って双方の同意を得て初めてそう認められるものよ?」
だから諦めて。
そう遠回しに言ったつもりなのに。
「もちろん存じ上げております。お嬢様から同意を必ず得ますのでそこはご安心を」
いやいや!
本人が拒否してるのよ!?
話を聞いてる?
殿下は微笑んだまま、微動だにしない。
気のせいかな、黒いオーラが見える。
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