転生令嬢はのんびりしたい!〜その愛はお断りします〜

咲宮

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第八章

最終話



 ────結婚式当日。

 

 人生で最大のイベントと言っても過言ではないこの日が遂にやってきてしまった。

「はぁ………」

 誰もいない控え室で待機をしていた。
 化粧を施し、1つ目のドレスを纏った私はただ何も考えずぼーっとしていた。

 部屋の扉を叩く音が聞こえる。

「どうぞ」

「…………シア、とても綺麗です」

「ルディも。いつも以上に素敵ね」

「シアには敵いません…」

 現れたルディは王族の正装に身を包んでいた。ちなみに私の1つ目のドレスと言うのはルディの正装に合わせて作ったものだ。

「シア、こちらを」

 そう言うとルディは私の首にきらびやかなネックレスをつけた。

「……これは?」

「王家代々に伝わるネックレスですよ。花嫁が身につける伝統的なものです」

「通りで豪華ね……少し気が引けるわ」

「ですが、とても似合っています」

「……ありがとう」

 少しネックレスが重く感じる。
 
「今日は大変だと思いますが、頑張りましょう。……ですがくれぐれも無理はしないように」

「でも頑張るわ」

 少し意気込んだ。普段だらけている分しっかりしなければぼろが出そうだ。

「…では、行きましょうか」

「ええ、そうね」

「お手をどうぞ」

 差し出された手を取り、私達は待ってくれる人達の元へ向かった。












 午前中は国民への挨拶の後、貴族への挨拶。
 国民への挨拶は城から姿を見せた。ルディは優秀な王子として民からの絶大な支持を得ていた為に多くの人に祝われる事となった。
 貴族への挨拶は本当に簡易的なパーティーを行った。本来なら上位貴族がルディと私に挨拶をするものだが数が多いのでルディが省略させた。反感を買うかと思ったが、ルディにすり寄ることや貴族が自分を売り出すことアピールが無駄なのは周知な事だったのでそんな事は無かった。


 そして午後。
 王家とオルティアナ公爵家のみ教会へ集まり、しっかりとした結婚式が行われた。

 ここで、ドレスが変わる。
 もう一つのドレス、それはウエディングドレスである。この世界にウエディングドレスというものは存在しないけれど、無いのなら作りましょうとルディのゴリ押しで制作された美しい純白のドレス。始めて見たときに見た目に圧倒されたのもあったが、1つ目のドレスに負けないくらいお金がかかっていそうで少し胃が痛かった。

 「……シア、とても似合ってるよ。さすがだ」

「ありがとうございます父様」

「殿下に申し訳ないな…先に目にしてしまって」

「かなり揉めましたよね」

「うん…」

 そう。私のドレス姿を一番に見れぬと悟ったルディは何とかならないか画策しだした。しかし、兄様に諭されすっぱりと諦めたのであった。………兄様、さすがです。

「緊張している…?」

「えぇ、まぁ」

「…父様も緊張してる」

「え…」

「というか…寂しいよ。だって……シアが巣立って行くなんて。ミラより後か…それか無いとさえ思っていたのに。奇跡は起こるんだね」

 どこか寂しそうに笑う父様の姿に今までの感謝が込み上げてきた。

「………父様、今までありがとうございます」

「…その言い方は嫌だよ。これらは無いみたいで。…シア、僕たちはいつまでも君の親だからね」

 その言葉以上に暖かいものなんてないくらい胸に染み込んだ。

「………そろそろ行こうか」

「そうですね」

「…あ、どうしよう。泣きそう」

「え、早いですよ」

「うん。…まだ駄目だよね」

「はい」

 そうしてバージンロードを歩き始めた。 

 





 中で待つのは国王陛下と王妃様。そして母様と兄様と義姉様とミラ。ガイさんは護衛を兼任しながら出席。
 皆が暖かく優しい目で見守ってくれた。

「じゃあ、シア」

 そう言うと、私は父様からルディの元へ。

「………シア」

 何度この手を取ったことだろうか。それでも今回はいつもと違い特別なことになる。

「…ルディ」

 目の前にいるルディは、真っ白なタキシードを纏っている。

「…美し過ぎて息が止まるかと思いました」

「大袈裟よ」

「いえ、とても綺麗です」

「………………………ありがとう」

 褒め言葉はいくら言われてもやはり慣れない。

 優しい誓いのキスから始まり、父様と母様が号泣。更にミラと義姉様まで。その後披露宴へなると国王様がお酒を飲み過ぎルディにうざ絡み。王妃様は優しく笑うだけだった。ルディだけなら良かったものの、兄様まで被害に。それなのに対応できる兄様……本当に変わられたななんて感じた私がいた。
 もっともっとたくさんの事があったのにあっという間に感じた。

 …そして、お開きになった。







「……シア、お疲れ様です」

「ルディこそ。お疲れ様………国王陛下は?」

「寝ていると思いますよ」

 心なしか少しルディはやつれている気がした。

「…………ねぇ、ルディ」

「…どうかされましたか?」

「…今、私凄く幸せだよ」

「……いきなりどうしたんですか」

「いや…伝えておかないといけないかなって思って」

「そう…ですか」

「ルディのお陰でのんびり過ごせそうだし」

「それは…シアが前世頑張った貯金があるからですよ。前に約束した通り、シアの負担は最大限減らしますから」

「……だからといって無理はしないでね」

「………」

「しないでね」

「…わかりました」

「……もう夫婦なのだから、支え合うのが普通でしょ?…私は確かにのんびり暮らすのは理想だけどルディばかりに負担がいくことは望んでいないからね」

「……シア」

「ルディ。愛してるからね」

「………シア、どうしてそう反則な事ばかりするんですか」

「あら、なに?女性から想いを伝えては駄目なの?」

「……いえ」

 私が想いを逐一伝えなければ、ルディは不安になりやすいから変な思い込みを始めてしまう。それもあって伝えている。

「……シア」

「何?」

「私も貴女を……貴女だけを愛しています。私の手を取って頂いたからには私の全てをかけて貴女を幸せにしますから」

「………ありがとう」

 少し重い気もするが、そんなの今更である。

「…………シア、貴女は私だけのものですよ」

 そう告げると、ルディは深い口づけを落とした。














 ────ルディ、いつまでもずっと貴方だけを。














 こうしてアイシア・オルティアナ……いや、アイシア・グリティスは念願ののんびり生活を手にし最愛の人と結ばれ、それはそれは幸せに過ごしたのであった。
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