神殺し革命

薊野義弘

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序章

プロローグ4「クラウサス宮殿襲撃」

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ーPM6:45ー

日没後、市民達は再び一点に集まった。

皆、険しい顔をしていた。

既に覚悟は出来ていたのだろう。

ヴィナスティーユにいる市民のうち、約1000人が革命に参加する事になった。

その戦闘には、例の武装した8人の戦士達が立っている。

銀髪の少年は、冷酷な表情で市民達の方へ振り向き、

「本当にお前らも来るのか?奴等は俺達だけで十分だぞ?」

「あんたらだけカッコつけるなよ。俺達だって、自分の手で変えたいんだからな‼︎」

「……好きにしろ。」

銀髪の少年は呆れた顔をしながらも、市民の答えに了承した。

「でも女は残れ。両方死んだら、子供を育てる奴がいなくなるからな。」

その言葉により、参加するのはその約半分の500人程となった。

女性は不安かつ険しい顔をして、

「あんた達‼︎もし失敗したらあんた達の墓に犬の糞をぶち込んでやるからね‼︎…………絶対、生きて帰るんだよ。」

「……おう‼︎」

男達は少し震えながらも、頼もしい笑顔を女性達に見せた。

そして、8人の戦士を含む市民達は、目的の場所に目を向けた。

ユレイジアのヴィナスティーユの中心にそびえ立つ巨大な宮殿。

これを襲撃しようならば朝が来てもおかしくない。

「覚悟は、いいな?」

「……おう!」

「行くぞ‼︎‼︎最後に勝つのは……」

「「「「「「「「俺達だ‼︎‼︎‼︎」」」」」」」」

銀髪の少年の後に、男達が野獣のような声を力一杯上げる。

それと同時に走り出した。

「「「「「「「「オオオオオオオオオオオ‼︎‼︎‼︎‼︎」」」」」」」」

約500人の大人数が軍の襲撃により殺風景と化した街を駆け抜ける。

「まずは魔道具屋だ‼︎」

走り続けて見えたのは、石造りの立派な店だった。

その魔道具屋に着くと、銀髪の少年が店主に魔道具を要求した。

「おい、店の魔道具をありったけ寄越せ‼︎」

「はあ?何言ってんだおめえ?見ねえ顔だな、つか何だ?その格好は……って、うお⁉︎」

店主は店の外の大人数の市民を見て目を丸くした。

「な、何する気だおめえら?」

「革命だよ‼︎」

「ハァ⁉︎や……止めとけ‼︎殺されるだけだぞ‼︎それに、魔道具が欲しいなら国王様に許可貰え‼︎」

その言葉を聞いた銀髪の少年は、店主の胸倉を掴んだ。

「……あのなぁ、お前も国王に対しては不安があんだろ⁉︎おい‼︎」

「そりゃあ……そうだけどよ。革命なんて起こしたら今度こそ殺されるぞ?俺は巻き添え喰らうのはごめんだ‼︎」
 
「だから、その国王も王族も、全員殺すんだよ。」

「……‼︎」

店主の顔はみるみる青ざめていった。

「も……もう好きにしてくれ‼︎俺ぁ知らねえぞ‼︎‼︎」

そう言うと同時に、店主は逃げるように店の外に出ていった。

銀髪の少年はそれに構わず店の魔道具を持ち出していく。

衝撃緩和のマントや力を増幅させる指輪など。

魔道具を順番に次から次へと市民に渡していく。

ほぼ全員に行き渡ったのを確認すると、今度は武器屋に向かう。

しかし、武器屋に店主はいなかった。

それどころか店員が1人もいない。

「おい、店主は何処だ‼︎」

すると、市民の1人が声を上げた。

「ああ俺だ‼︎俺も革命に参加するんだよ‼︎武器は好きなだけ持ってけ、泥棒‼︎‼︎」

「へっ……!」

市民はまた次から次へと武器を取り、取った者から宮殿へと走り出していった。

ヴィナスティーユの街には市民の勇ましい雄叫びが響く。

「「「「「「「「オオオオオオオオオオオ‼︎‼︎‼︎」」」」」」」」

しばらく走り続けると、宮殿が見えてきた。

決めていた覚悟は強い重圧に変わり、再び市民の体に襲いかかった。

しかし、ここまで来たらもうやるしかない。

殿門の前まで来た市民達は武器を上げ、力強く叫んだ。

「門を開けろ‼︎‼︎」

「出て来いラナサス‼︎‼︎」




ークラウサス宮殿ー

宮殿の外の騒音にいち早く気づいたのは王室のアンティース王女だった。

「外が騒がしいわね。何かしら。……え⁉︎何なの、あれ⁉︎」

その言葉に反応したのは、ガナン大臣だった。

「どうされました?」

「ガナン‼︎あれ何よ⁉︎」

王女が窓越しに指さしたのは、殿門の外に待ち構える市民達だった。

「これは……まさか‼︎」

ガナンは慌てて何処かへ行ってしまった。

王女は不安そうに再び窓越しに市民達を見る。

ガナンは王の間に向かい、扉を勢いよく開けた。

扉を勢いよく開けた事により、ラナサス国王は激怒した。

「こ……この愚か者めが‼︎王の間の扉をそんなに力強く開けるものが何処にいる‼︎」

「も……申し訳ありません‼︎大変な事態になっておりまして‼︎」

ガナンのあまりの慌てように、国王は一旦冷静になった。

「な……何が起きたと言うのだ?」

「殿門の外に100人以上の市民が‼︎恐らく“革命“を起こすつもりです‼︎」

「何だと⁉︎」

衝撃の報告に、王は動揺と怒りを隠せなかった。
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