従魔と異世界スローライフのはずが、魔王と噂されていく日々

ソラリアル

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第15話 この世界について

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【サーチ結果を表示します。こちらの画面をご覧ください。
当世界における経済活動は、主に5種類の硬貨によって運用されています。
マスターの記憶にある「円」の価値基準を適用した場合、
最小単位である銅貨(コパ)は100円に相当。
以降、10倍刻みで銅銀貨(コセル)、銀貨(セル)、金貨(ゴルド)と推移し、
最高額面の白金貨(プラ)は1,000,000円の価値を有すると算出されました。
今後の取引における資金管理の参考にしてください。
なお、現在の所持金は「0」です】

「え……? 突然どうしたのエマ。急にお金の話するなんて」


そう呟いた昼下がり。
というのも、先日クロとロウキが言っていた、
“ルビートマト”の種を買いに行きたいのだけど、それには当然、お金が必要だ。
この世界のお金を持っていない俺は、どうやって稼げばいいのかを考えていた。
そもそも、通貨についても何も知らない。
そんなふうに悩んでいたから、エマが俺の思考を読み取り教えてくれたのかもしれない。


「やっぱ異世界だねぇ。でも単位は分かりやすくて助かるな。
実物を見たら、改めてちゃんと勉強しよっと」


お金について教えてもらい、ひとまず安心する。
……が、問題はそこじゃない。
そのお金が、ない。
どうやって稼ぐか——そこが一番の問題だ。

そんなことを考えているうちに、俺は自分が今どこに住んでいるのかも、
実はよく分かっていないことに気づいた。
そこで、畑の範囲を広げるために森の開拓を手伝ってくれていたロウキに、聞いてみることにした。


「ロウキー?」

「なんだ?」

「この地域のこと、教えてよ。物知りなんだろ?」

「エマとやらに聞けばよかろう」

「エマとはそういう会話できないんだって!」

「なんと面倒な……」

「自分で物知りだって言ったんだろー? 教えてー!」

「……仕方のない奴め」


ロウキは伐採の手を止め、面倒くさそうな顔でこちらへやってきた。
はぁ……とため息を吐くと、ドスンッと座り込み、この土地について語り始める。


「いいか。この国は“ソウリアス王国”という、比較的大きな王国だ。
港の近くに王都があり、貿易もそれなりに盛んだな。
王都には王族や貴族、平民のほか、獣人などの他種族も普通に暮らしている。
店や各種ギルドも多く、やかましいほど賑やかな場所だ」

「ほうほう」

「王都の周辺には、小さな村や街が点在し、山岳地帯や鉱山もある。
森の途中にはダンジョンも存在し、冒険者が日常的に出入りしているな。
——ただし」


ロウキは一度言葉を切り、こちらを見る。


「今、我々がいるこの領域への立ち入りは禁止されている。
王国管理の土地として、封印されているような扱いだ」

「あ、この土地、もう俺の名義に変更されたらしいよ。
女神アイリスが王族の中にいる転生者に神託を下して、
俺の領地として登録されたって言ってた」

「……はぁ? ヨシヒロ、お前……女神に何をさせているんだ……」

「いや、俺が頼んだわけじゃなくてさ。女神アイリスが勝手に決めたって言ってた」

「ふむ……この土地を任せられると判断された、ということか。
ヨシヒロ、責任重大だな?」

「そんな目で見るな! 俺は自由に、やりたいように、好きに生きるんだからな!」

「どうだかなぁ。自由に生きられるといいな?」

「その言い方やめろ! 何か企んでるだろ!」

「我は別に? 何にも? ほら、さっさと大木を片付けるぞ。お前もサボるな」

「はぁ……」


ソウリアス王国という名前だと、今初めて知った。
その割と大きな国の中に、東京ドーム11個分の俺の領地があると考えると、正直ちょっと怖い。
ロウキは「女神に任された責任」だなんて言いながら、
どこか憐れむような目で笑い、再び伐採作業に戻っていった。

——いやいや、俺はこの世界で、のんびりスローライフを送るんだ!
そう心に誓い、俺も農地開拓に戻った。


「主ー! さっきユキと湖に行ったら、俺の好きな果実がなってたから取ってきた!」

「おっ! それがクロの好きな果実か! なんて名前?」

「知らない! 美味しい果実!」


満面の笑みで駆け寄ってくるクロとユキ。
クロの手には、小さな果実が乗っていた。

それはとても小粒で、太陽にかざすと、ほんのり透けて見える。
中心には淡く灯る光が宿っているようで——夜でも光りそうだ。


「鑑定とか、できたら便利なんだけどなぁ……」


冗談半分で、口に出してみる。


「鑑定! ……なんちゃって」


ヴインッ——


「わっ!? 出た! なんか出た!」


冗談で言ったつもりだったのに、突然、四角い画面が宙に現れる。


「えーと……“ルミグミ”だって。
水分が多くて、優しい甘さが広がる果実……
乱れた感情を一時的に和らげる効果あり……安定剤か?」


説明を読み進めていくと、思わず声を上げた。


「過剰摂取すると、副作用で体から光が放射されて目立つ……
って何それ! ウケるんだけど! 光るのかよ!」


鑑定画面を見ながら笑っていると、横で見ていたロウキが、深いため息を吐いた。


「……我と従魔契約した影響だな。
我の鑑定スキルが共有されたらしい。誤算だった」

「え、もしかして鑑定スキルってレアなの?」

「誰でも使えるものではない。人前で使うな」

「了解! 漫画あるあるだもんな!」

「はぁ?」


まさか、契約したことでロウキのスキルを共有するなんて。
便利だけど、慎重に扱う必要があるらしい。
スローライフを護るためにも、気をつけよう。

そう思いながら、ルミグミをクロに渡す。


「うまーーーいっ! ユキにも食べさせてくる!
主とロウキの分も取ってくるな!」

「ワウッ!」


そう言って二人は元気よく湖へと駆けていった。
子供は元気だなぁ。
そう思いながら、俺とロウキは再び畑の開拓に戻るのだった——
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