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第44話 この気持ちを君たちに
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あれから待つこと30分。
待っている間に、俺たち用の小さなログハウスと、
皆が入れるように小屋をいくつも生成しておいた。
そして、生成がひと段落した頃、
ラピスと一緒に、ユキの背に乗った黄色いスライムがこちらへ向かってきた。
一緒に来たということは……
あの子が、強化魔法を使えるスライムなのかな?
そんなことを考えながら見ていると、
ユキの背中に乗っていたラピスが声を上げた。
「ヨシヒロ様!
この子が、生成したものを強化できる子です!
事情を話したら協力してくれることになって、来てもらいました!」
「あ、本当? 急にこんなお願いしてごめんね。
俺の生成魔法、どうも見た目だけしか作れないみたいでさ」
小屋を指さしながら続ける。
「このままだと、中に入る動物や草食魔物たちが怪我しちゃうかもしれない。
強化してもらえると、本当に助かる」
「……」
「大丈夫です!
この小屋を強化すればいいのですか?」
「そうそう。これから小さな小屋をいくつも使うし、
俺たちが入る小屋も作ったんだけど……見ての通り張りぼてでさ。
お願いできる?」
「分かりました!」
やっぱり、ラピスが連れてきた黄色いスライム君が、
強化魔法を使える子だった。
目線を合わせてお願いすると、プイッとそっぽを向かれてしまったけど、
どうやら協力してくれる気はあるらしい。
ラピスが合図を送ると、黄色いスライム君はユキの背中から降り、
ピョンピョンと跳ねながら小屋の前に立った。
そして――
俺の想像とは、まったく違うやり方で強化を始めた。
「えっ!?
体全体で包んで強化するの?!」
「はい! 僕たちは体の中に取り込んで、いろいろやるんです!
この子は、小さなものから大きなものまで包み込んで、直接強化できます!」
「ほえー……すごいなぁ。
てっきり、その場で魔法を使うのかと思ってたよ。」
その場で魔法陣でも出すのかと思っていたけど、
黄色いスライム君は体を液状化させ、小屋全体を包み込んだ。
コポコポッ……と、スライムの中から液体が揺れる音が聞こえ、
やがて、やんわりとした光が溢れ出す。
その状態が数十秒続いた後、スライム君は小屋から離れ、次の小屋へと移動した。
どうやら、1つ目の強化は終わったらしい。
そのまま次々と小屋を包み込み、作業を続けてくれた。
だけど、作業が終わった途端、
スライム君の動きが、明らかに鈍くなった。
嫌な予感がして、慌ててステータスを確認する。
魔力、体力――どちらも枯渇寸前。
全力でやってくれていたことが、一目で分かった。
「魔力と体力を回復する魔法って何!? エマ! お願い教えて!」
【ハイヒール・マナヒーリングという神聖魔法が存在します。
体力と魔力、双方の回復が可能です。おすすめします】
「エマ、ありがとう!
ハイヒール・マナヒーリング!」
ポワァァ――!
「……?!」
「ヨシヒロ様、ありがとうございます!
体力も魔力も、全回復しています!」
「本当? 良かった……
一気に頑張ってもらいすぎちゃったな。ごめんね。」
「……」
慌てて魔法を使った俺を見て、ラピスは嬉しそうに微笑んだ。
「よし! これで小屋は完成だな!
ありがとう、スライム君!」
「ラピスと遊んでて大丈夫だよ。
ラピスも、ありがとうな!」
「お役に立てて嬉しいです、ヨシヒロ様!」
「俺にはない才能だからさ。
本当に尊敬するよ。ありがとう!」
お礼を言うと、スライム君はまたプイッとそっぽを向いたけれど、
ラピスは満面の笑みで「嬉しいです」と頷いた。
その姿を見て思う。
誰かの役に立てるということは、
この子たちにとって、とても特別な意味を持つのかもしれない。
“低級魔物”と呼ばれていても、誰かの力になれる。
それはきっと、自信にも繋がるはずだ。
「さてと。野菜の種を植えて、柵を作って、結界を張れば、ほぼ完成だな。」
「今日は、いい仕事してるって感じだ!
お昼はここで食べようか。BBQ、しちゃう?」
「BBQ?! するするー!」
「湖のそばでのBBQ、楽しそうですね!あるじさま!」
「おにく、やくよ!」
「我は、あのタレで食べたい。忘れるなよ。」
「はいはい。じゃあ、とりあえず最後まで仕上げますか!」
ふれあい広場は、もうすぐ完成だな。
頑張った後は、ここで皆とBBQ。
そう考えただけで、自然と笑みがこぼれる。
早く仕上げて、楽しい時間にしよう。
そんなことを思いながら、
ふれあい広場の制作作業は、和やかに続いていった――
◇
「いっただきまーーーすっ!」
「うまーーーーいっ! 主、今日のお肉も最高だな!」
「どんどんやくよ! あるじも、たべてね!」
「あるじさまも、ちゃんと食べてくださいね!」
「うむ。我はそっちのタレで食べるぞ!」
ふれあい広場の作成が無事に終わり、
俺たちはせっせとBBQの準備をして、そのまま小さなパーティを始めた。
澄んだ湖のほとりには、カラフルなスライムたち、
大きいフェンリルと小さいフェンリル、
ミノタウロスに、ディアボロス・リザートという可愛い悪魔まで勢ぞろい。
――ああ、なんて幸せな空間なんだろう。
そう叫ばずにはいられなかった。
そんな幸せ気分に浸っていると、
ピョコピョコと跳ねながらラピスがやってきた。
「ヨシヒロ様!
こんなにおいしい食事、初めてです!嬉しいっ!」
「そっかそっか! ラピスが喜んでくれて嬉しいよ。
これからは、こういう食事会をたくさんやっていこうな」
「はいっ! 仲間も、とても喜んでいます!
僕……やっぱりヨシヒロ様の従魔になれて良かったです!」
「あはは。そんなこと言われたら、嬉しくなるじゃないか。
ありがとうな、ラピス」
ラピスの頭を撫でて「ありがとう」と伝えると、
ラピスは目をぎゅっと閉じ、体を淡く青く光らせた。
……これ、たぶん“嬉しい”って感情だよな。
そう思うと、心がポカポカと温かくなった。
しばらくして、ふとお手洗いに行きたくなり、一度家に戻る。
用を足したあと、厨房でデザート用のアイスを確認し、再び外へ出た。
すると、すぐそばのテーブルの上に、ちょこんと並んでいる黄色、赤、銀……?
それに緑色のスライムたちが目に入った。
しばらく様子を見ていると、彼らはラピスを見たり、ロウキたちを見たり、
他のスライムを見たりしながら、落ち着かない様子で周囲をキョロキョロしている。
言葉を話せないから、何を考えているのかは分からない。
でも――戸惑っている、そんな空気は伝わってきた。
「スライム君。今日はありがとうな。
それに、他の子たちも……ここに来てくれて、ありがとう」
「……」
「洞窟とは全然違う環境だし、
急に人間と一緒に暮らすことになって、抵抗もあると思う」
「……」
「でもさ。少しずつでいいから、この生活に慣れてくれたら嬉しい」
少し間を置いて、俺は続けた。
「ラピスも、君たちも……すごいよな。
この世界で、ずっと生きてきたんだから」
ふっと視線を落とし、苦笑する。
「俺はさ……あ、これ内緒な? 一度、死んでるんだ」
「……?!」
「“日本”っていう国で。
ここみたいに魔物はいない世界だけど、動物はたくさんいた。
俺はそこで、朝から夜中まで働いて……気づいたら、寝てる間に死んでた」
誰に聞かせるでもなく、言葉がこぼれる。
「それで、女神さまが俺をこの世界に転生させてくれたんだ。
昔から生き物が大好きで、自分なりに大切にしてきたつもりだったから……
"この世界で、たくさんの命を救ってほしい"
そう言われて、ここに来たんだ。
何の取り柄もない、ただの動物・魔物・魔獣好きの男だけどさ。
それでも、助けられる命があるならって……思ったんだ。
だからさ。今回、ラピスが俺に助けを求めてくれて、
それに応えられて……本当に良かったと思ってる。
君たちの信頼を得るには、時間がかかるかもしれない。
それでも、ラピスの大切な仲間を護れたなら、それでいい」
自分が今ここにいる理由を、何故かこの子たちに話した。
話したところでどうこうという訳ではないけど……
皆に危害を加えることは絶対にしないよって分かってほしかったのかもしれない。
「……変な話してごめんな」
最後に、柔らかく笑って言った。
「ここでの生活が、苦しくならないようにするから。
ゆっくり、のんびりしていってね」
「……キュ」
突然、人間にこんな話を聞かされて、
うんざりさせてしまったかもしれないけれど……
それでも、なんだか。今は、話しておきたかった。
そんな気分だった――
待っている間に、俺たち用の小さなログハウスと、
皆が入れるように小屋をいくつも生成しておいた。
そして、生成がひと段落した頃、
ラピスと一緒に、ユキの背に乗った黄色いスライムがこちらへ向かってきた。
一緒に来たということは……
あの子が、強化魔法を使えるスライムなのかな?
そんなことを考えながら見ていると、
ユキの背中に乗っていたラピスが声を上げた。
「ヨシヒロ様!
この子が、生成したものを強化できる子です!
事情を話したら協力してくれることになって、来てもらいました!」
「あ、本当? 急にこんなお願いしてごめんね。
俺の生成魔法、どうも見た目だけしか作れないみたいでさ」
小屋を指さしながら続ける。
「このままだと、中に入る動物や草食魔物たちが怪我しちゃうかもしれない。
強化してもらえると、本当に助かる」
「……」
「大丈夫です!
この小屋を強化すればいいのですか?」
「そうそう。これから小さな小屋をいくつも使うし、
俺たちが入る小屋も作ったんだけど……見ての通り張りぼてでさ。
お願いできる?」
「分かりました!」
やっぱり、ラピスが連れてきた黄色いスライム君が、
強化魔法を使える子だった。
目線を合わせてお願いすると、プイッとそっぽを向かれてしまったけど、
どうやら協力してくれる気はあるらしい。
ラピスが合図を送ると、黄色いスライム君はユキの背中から降り、
ピョンピョンと跳ねながら小屋の前に立った。
そして――
俺の想像とは、まったく違うやり方で強化を始めた。
「えっ!?
体全体で包んで強化するの?!」
「はい! 僕たちは体の中に取り込んで、いろいろやるんです!
この子は、小さなものから大きなものまで包み込んで、直接強化できます!」
「ほえー……すごいなぁ。
てっきり、その場で魔法を使うのかと思ってたよ。」
その場で魔法陣でも出すのかと思っていたけど、
黄色いスライム君は体を液状化させ、小屋全体を包み込んだ。
コポコポッ……と、スライムの中から液体が揺れる音が聞こえ、
やがて、やんわりとした光が溢れ出す。
その状態が数十秒続いた後、スライム君は小屋から離れ、次の小屋へと移動した。
どうやら、1つ目の強化は終わったらしい。
そのまま次々と小屋を包み込み、作業を続けてくれた。
だけど、作業が終わった途端、
スライム君の動きが、明らかに鈍くなった。
嫌な予感がして、慌ててステータスを確認する。
魔力、体力――どちらも枯渇寸前。
全力でやってくれていたことが、一目で分かった。
「魔力と体力を回復する魔法って何!? エマ! お願い教えて!」
【ハイヒール・マナヒーリングという神聖魔法が存在します。
体力と魔力、双方の回復が可能です。おすすめします】
「エマ、ありがとう!
ハイヒール・マナヒーリング!」
ポワァァ――!
「……?!」
「ヨシヒロ様、ありがとうございます!
体力も魔力も、全回復しています!」
「本当? 良かった……
一気に頑張ってもらいすぎちゃったな。ごめんね。」
「……」
慌てて魔法を使った俺を見て、ラピスは嬉しそうに微笑んだ。
「よし! これで小屋は完成だな!
ありがとう、スライム君!」
「ラピスと遊んでて大丈夫だよ。
ラピスも、ありがとうな!」
「お役に立てて嬉しいです、ヨシヒロ様!」
「俺にはない才能だからさ。
本当に尊敬するよ。ありがとう!」
お礼を言うと、スライム君はまたプイッとそっぽを向いたけれど、
ラピスは満面の笑みで「嬉しいです」と頷いた。
その姿を見て思う。
誰かの役に立てるということは、
この子たちにとって、とても特別な意味を持つのかもしれない。
“低級魔物”と呼ばれていても、誰かの力になれる。
それはきっと、自信にも繋がるはずだ。
「さてと。野菜の種を植えて、柵を作って、結界を張れば、ほぼ完成だな。」
「今日は、いい仕事してるって感じだ!
お昼はここで食べようか。BBQ、しちゃう?」
「BBQ?! するするー!」
「湖のそばでのBBQ、楽しそうですね!あるじさま!」
「おにく、やくよ!」
「我は、あのタレで食べたい。忘れるなよ。」
「はいはい。じゃあ、とりあえず最後まで仕上げますか!」
ふれあい広場は、もうすぐ完成だな。
頑張った後は、ここで皆とBBQ。
そう考えただけで、自然と笑みがこぼれる。
早く仕上げて、楽しい時間にしよう。
そんなことを思いながら、
ふれあい広場の制作作業は、和やかに続いていった――
◇
「いっただきまーーーすっ!」
「うまーーーーいっ! 主、今日のお肉も最高だな!」
「どんどんやくよ! あるじも、たべてね!」
「あるじさまも、ちゃんと食べてくださいね!」
「うむ。我はそっちのタレで食べるぞ!」
ふれあい広場の作成が無事に終わり、
俺たちはせっせとBBQの準備をして、そのまま小さなパーティを始めた。
澄んだ湖のほとりには、カラフルなスライムたち、
大きいフェンリルと小さいフェンリル、
ミノタウロスに、ディアボロス・リザートという可愛い悪魔まで勢ぞろい。
――ああ、なんて幸せな空間なんだろう。
そう叫ばずにはいられなかった。
そんな幸せ気分に浸っていると、
ピョコピョコと跳ねながらラピスがやってきた。
「ヨシヒロ様!
こんなにおいしい食事、初めてです!嬉しいっ!」
「そっかそっか! ラピスが喜んでくれて嬉しいよ。
これからは、こういう食事会をたくさんやっていこうな」
「はいっ! 仲間も、とても喜んでいます!
僕……やっぱりヨシヒロ様の従魔になれて良かったです!」
「あはは。そんなこと言われたら、嬉しくなるじゃないか。
ありがとうな、ラピス」
ラピスの頭を撫でて「ありがとう」と伝えると、
ラピスは目をぎゅっと閉じ、体を淡く青く光らせた。
……これ、たぶん“嬉しい”って感情だよな。
そう思うと、心がポカポカと温かくなった。
しばらくして、ふとお手洗いに行きたくなり、一度家に戻る。
用を足したあと、厨房でデザート用のアイスを確認し、再び外へ出た。
すると、すぐそばのテーブルの上に、ちょこんと並んでいる黄色、赤、銀……?
それに緑色のスライムたちが目に入った。
しばらく様子を見ていると、彼らはラピスを見たり、ロウキたちを見たり、
他のスライムを見たりしながら、落ち着かない様子で周囲をキョロキョロしている。
言葉を話せないから、何を考えているのかは分からない。
でも――戸惑っている、そんな空気は伝わってきた。
「スライム君。今日はありがとうな。
それに、他の子たちも……ここに来てくれて、ありがとう」
「……」
「洞窟とは全然違う環境だし、
急に人間と一緒に暮らすことになって、抵抗もあると思う」
「……」
「でもさ。少しずつでいいから、この生活に慣れてくれたら嬉しい」
少し間を置いて、俺は続けた。
「ラピスも、君たちも……すごいよな。
この世界で、ずっと生きてきたんだから」
ふっと視線を落とし、苦笑する。
「俺はさ……あ、これ内緒な? 一度、死んでるんだ」
「……?!」
「“日本”っていう国で。
ここみたいに魔物はいない世界だけど、動物はたくさんいた。
俺はそこで、朝から夜中まで働いて……気づいたら、寝てる間に死んでた」
誰に聞かせるでもなく、言葉がこぼれる。
「それで、女神さまが俺をこの世界に転生させてくれたんだ。
昔から生き物が大好きで、自分なりに大切にしてきたつもりだったから……
"この世界で、たくさんの命を救ってほしい"
そう言われて、ここに来たんだ。
何の取り柄もない、ただの動物・魔物・魔獣好きの男だけどさ。
それでも、助けられる命があるならって……思ったんだ。
だからさ。今回、ラピスが俺に助けを求めてくれて、
それに応えられて……本当に良かったと思ってる。
君たちの信頼を得るには、時間がかかるかもしれない。
それでも、ラピスの大切な仲間を護れたなら、それでいい」
自分が今ここにいる理由を、何故かこの子たちに話した。
話したところでどうこうという訳ではないけど……
皆に危害を加えることは絶対にしないよって分かってほしかったのかもしれない。
「……変な話してごめんな」
最後に、柔らかく笑って言った。
「ここでの生活が、苦しくならないようにするから。
ゆっくり、のんびりしていってね」
「……キュ」
突然、人間にこんな話を聞かされて、
うんざりさせてしまったかもしれないけれど……
それでも、なんだか。今は、話しておきたかった。
そんな気分だった――
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