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第49話 それぞれの能力
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スライムたちに名前を与えてから、数日が過ぎた頃。
俺たちは湖に来ていた。
というのも、ふれあい広場を制作した際に出た大木たちを処理するため。
家のそばにあった大木は、範囲も狭かったし、
ロウキが粉々にしてくれたから問題なかった。
だけど今回、ミルが一生懸命伐採してくれた大木は、そのまま放置していたため、
そろそろ何とかしなければと思っていた。
「ヨシヒロ様! 木材の加工なら、私に任せて!」
「ガーネット!
そういえば、皆それぞれ違う能力を持ってるんだっけ。
ガーネットは木材の加工が得意なの?」
「うん!
私は木材と石材の加工が得意なの! ちょっと待っててね!」
湖にはスライムたちも一緒に来ていて、
赤いスライムのガーネットが「自分がやるよ」と前に出た。
大量の大木の前に立つと、ガーネットは大きく口を開け、
木材をいくつか飲み込んでいく。
すると、ガーネットの体がふにゃふにゃと動き始め、
しばらくしてから――
ポンッ、ポンッ、と一定の大きさに加工された木材が口から飛び出してきた。
まるで機械で加工したかのように均等で、
王都の木材屋で売られている商品と、まったく遜色のない仕上がりだ。
その作業を繰り返すこと、およそ20分。
その場にあった大木は、すべて綺麗に加工されていた。
「ヨシヒロ様、終わったよ!」
「すごいよガーネット!
お店で加工されたみたいだ。とっても綺麗!」
「えへへ。
いつでも言ってね、ヨシヒロ様!」
ガーネットの加工技術は本当に見事で、思わず見惚れてしまった。
これだけの量を用意できるなら、冬場の薪にも困らないだろう。
そんなことを考えていると、
ラピスが俺の肩に乗り、教えてくれた。
「ヨシヒロ様。
実は僕、解析が得意なスライムなんです!」
「え? ラピスが解析担当だったの? すごいな!」
「はい!
そして、僕が解析した情報を緑色のスライム、ルドに伝えると、
ルドはまったく同じものを複製できます!」
「なるほど……役割分担が完璧だ……」
「さらに、銀色のスライムのムーンは、
その色合いからも分かるように、金属加工が得意です!」
ラピスは嬉しそうに続ける。
「鉱石を飲み込むと、体内で精錬して、
武器や防具の素材となる延べ棒を生み出します。
ムーンは火属性と水属性を併せ持つ特別なスライムなので、
その二つの力を組み合わせることで、
より高度な金属加工が可能なのです!」
「……知らなかった。
なんて有能なスライムちゃんたちなんだ……
俺のヘパイトスの加護で作るものより、
品質、絶対いいよね?」
思わず本音が漏れると、
ラピスは即座に首を横に振った。
「ヨシヒロ様は、存在しているだけで尊いので問題ありません!
それに、ヨシヒロ様の生成能力は、
この世の誰よりも有能だと思っています!」
「なんだよそれ……
ラピス、ありがとな。
それにしても……本当にすごいな。
とんでもない子たちが来てくれたんだ……」
ラピスから能力の説明を受けて、
俺は初めて気づいた。
――ああ、この子たちは、
俺が探していた存在だったんだ。
利用しようなんて、これっぽっちも思っていない。
それでも、スライムたちの可能性と力に、心から驚かされていた。
「試しに、じいさんの鉱石を加工してもらってみたらどうだ?」
皆の有能ぶりに感動していると、それを見ていたロウキが1つの提案をした。
そのロウキの提案に、俺は鞄を探る。
「セルリアか……
あ、あった。まだ小さいのが残ってたな。
ムーン、これを延べ棒にできる?」
「任せて、ヨシヒロ様!
すぐ加工してあげるから!」
ムーンは、差し出したメロンパンサイズのセルリア鉱石を、
ぱくりと飲み込んだ。
次の瞬間、
「ゴオオオオッ……」という低い音が、ムーンの体の中から響き始める。
続いて、「カン、カン!」と金属を叩くような音。
その場は、まるで金属加工工場のような雰囲気に包まれた。
興味津々で見ていると、
ムーンの銀色の体がプルプルと震え、
時折「シュウウーッ!」と蒸気まで噴き出す。
その姿は、どこか機関車のようで――
可愛くて、思わず笑ってしまった。
やがて、ムーンの体がぐにゃりと形を変え、
ポンッ、と口から延べ棒を吐き出す。
出来上がった延べ棒を頭に乗せたムーンは、
俺のもとへやって来て、元気よく差し出した。
「はいっ!」
「ヨシヒロ様! 出来た! これでいい?」
「うわぁ……!
すごく綺麗な、青いセルリアの延べ棒……」
「これは、いい値で売れるぞ?」
「何てこと言うんだ!
初めてムーンが作ってくれた延べ棒だよ!?
ガーネットが作ってくれた木材と一緒に、家に飾るに決まってるだろ!」
「親ばかだなお前は……」
ムーンが差し出してくれたセルリアの延べ棒は、
ツルツルとした手触りで、ひんやりしていて心地いい。
金の延べ棒ならテレビで見たことがあったけど、
セルリアの延べ棒も、それに負けないくらい美しい輝きを放っていた。
その出来栄えを見たロウキは、「いい値で売れるぞ」とニヤリと笑う。
確かに、売れば一気に金持ちになれる代物だろう。
――でも、俺は絶対に売らない。
初めてムーンが作ってくれたものだから、記念に取っておきたい。
それが親心ってもんだよ。
「ヨシヒロ様! 今度は僕の番だよ!
ラピス、解析をお願い!」
「はーい! 任せて、ルド!」
「ん? あ、もしかして……解析して複製するのか?」
「そうだよー。ちょっと待っててねー!」
ロウキとの会話の最中、
緑色のスライム・ルドがぴょんぴょん跳ねながらこちらへやって来た。
「今度は自分の番だよ」と言い、
ラピスにセルリアの延べ棒の解析を頼んでいる。
ラピスは延べ棒を口の中へ放り込み、
体をくねくねさせながら解析を開始した。
しばらくすると、ポイッと延べ棒を取り出し、
そのままルドにぴたりとくっ付く。
――揃えて消す、あのゲームみたいだ。
あまりにも可愛くて、思わず口をきゅっと結んでしまった。
俺が一人で想像を膨らませている間に、
どうやら情報の伝達は終わったらしい。
今度はルドが、解析済みの延べ棒をパクリと飲み込んだ。
そして、少し待つと――
ポイッ、ポイッと、複製されたセルリアの延べ棒が口から飛び出してきた。
「できたー! どうだー! 鑑定してみて!」
「見事に複製したな。かなり有能だぞ、ルド」
「じゃあ、鑑定してみようかね……
……本当に見事に複製してる!
これはマズいな……
絶対に人には見せないようにしなきゃ……
うちの子たち、全員狙われるぞ……」
ルドが複製したセルリアの延べ棒は、
元と見分けがつかないほど完成度が高かった。
鑑定スキルで確認してみても、
元の延べ棒とまったく同一のものだ。
――やっぱり、スライムたちはとても優秀だ。
正直、俺なんかより、よほど役に立つ。
そう思うと同時に、
この事実が広まってしまえば、確実に狙われるだろうとも感じた。
だからこそ、気をつけなければならない。
この領地以外では、絶対に能力を使わせないようにしなきゃ。
「変な人間に捕まって、悪用されなくて本当に良かった……
領地の外では、みんなその能力を見せないように。いいね?」
「はーい!」
「それじゃあ、ふれあい広場も無事に片付いたし……
今後、もし傷ついた動物や魔物がいたら、俺に教えてくれ。
助けられる子は、ちゃんと助けたいから」
「分かったー!
じゃあ俺は、ユキと早速パトロールしてくるぜ!」
「クロ兄さん、行きましょう!」
「二人とも、領地から出ないようにな」
「分かりました! 行ってきます!」
注意すると、みんな素直に「はーい」と返事をして、
ぴょんぴょん跳ねていたけれど……
本当に、ちゃんと分かっているかな。
君たちが思っている以上に、
その能力は人間にとって価値があり、
利用したいと思われてしまう可能性があるんだから。
そう考えると、少しだけ不安になった。
それでも、
「もし傷ついた子がいたら連れてきてほしい」と伝えると、
クロとユキは「パトロールに行ってくる!」と張り切って出かけていった。
――なんて可愛らしい警備隊なんだろう。
そう思いながら、
俺たちは一度、家へと戻った。
この領地に、どんな子たちがいるのかはまだ分からない。
それでも、助けられる命があるなら、ちゃんと手を差し伸べたい。
王都や、その道中の村で、
傷ついた子、傷つけられた子がいた時も――
できる限り、救ってあげたい。
そんなことを考えていた――
俺たちは湖に来ていた。
というのも、ふれあい広場を制作した際に出た大木たちを処理するため。
家のそばにあった大木は、範囲も狭かったし、
ロウキが粉々にしてくれたから問題なかった。
だけど今回、ミルが一生懸命伐採してくれた大木は、そのまま放置していたため、
そろそろ何とかしなければと思っていた。
「ヨシヒロ様! 木材の加工なら、私に任せて!」
「ガーネット!
そういえば、皆それぞれ違う能力を持ってるんだっけ。
ガーネットは木材の加工が得意なの?」
「うん!
私は木材と石材の加工が得意なの! ちょっと待っててね!」
湖にはスライムたちも一緒に来ていて、
赤いスライムのガーネットが「自分がやるよ」と前に出た。
大量の大木の前に立つと、ガーネットは大きく口を開け、
木材をいくつか飲み込んでいく。
すると、ガーネットの体がふにゃふにゃと動き始め、
しばらくしてから――
ポンッ、ポンッ、と一定の大きさに加工された木材が口から飛び出してきた。
まるで機械で加工したかのように均等で、
王都の木材屋で売られている商品と、まったく遜色のない仕上がりだ。
その作業を繰り返すこと、およそ20分。
その場にあった大木は、すべて綺麗に加工されていた。
「ヨシヒロ様、終わったよ!」
「すごいよガーネット!
お店で加工されたみたいだ。とっても綺麗!」
「えへへ。
いつでも言ってね、ヨシヒロ様!」
ガーネットの加工技術は本当に見事で、思わず見惚れてしまった。
これだけの量を用意できるなら、冬場の薪にも困らないだろう。
そんなことを考えていると、
ラピスが俺の肩に乗り、教えてくれた。
「ヨシヒロ様。
実は僕、解析が得意なスライムなんです!」
「え? ラピスが解析担当だったの? すごいな!」
「はい!
そして、僕が解析した情報を緑色のスライム、ルドに伝えると、
ルドはまったく同じものを複製できます!」
「なるほど……役割分担が完璧だ……」
「さらに、銀色のスライムのムーンは、
その色合いからも分かるように、金属加工が得意です!」
ラピスは嬉しそうに続ける。
「鉱石を飲み込むと、体内で精錬して、
武器や防具の素材となる延べ棒を生み出します。
ムーンは火属性と水属性を併せ持つ特別なスライムなので、
その二つの力を組み合わせることで、
より高度な金属加工が可能なのです!」
「……知らなかった。
なんて有能なスライムちゃんたちなんだ……
俺のヘパイトスの加護で作るものより、
品質、絶対いいよね?」
思わず本音が漏れると、
ラピスは即座に首を横に振った。
「ヨシヒロ様は、存在しているだけで尊いので問題ありません!
それに、ヨシヒロ様の生成能力は、
この世の誰よりも有能だと思っています!」
「なんだよそれ……
ラピス、ありがとな。
それにしても……本当にすごいな。
とんでもない子たちが来てくれたんだ……」
ラピスから能力の説明を受けて、
俺は初めて気づいた。
――ああ、この子たちは、
俺が探していた存在だったんだ。
利用しようなんて、これっぽっちも思っていない。
それでも、スライムたちの可能性と力に、心から驚かされていた。
「試しに、じいさんの鉱石を加工してもらってみたらどうだ?」
皆の有能ぶりに感動していると、それを見ていたロウキが1つの提案をした。
そのロウキの提案に、俺は鞄を探る。
「セルリアか……
あ、あった。まだ小さいのが残ってたな。
ムーン、これを延べ棒にできる?」
「任せて、ヨシヒロ様!
すぐ加工してあげるから!」
ムーンは、差し出したメロンパンサイズのセルリア鉱石を、
ぱくりと飲み込んだ。
次の瞬間、
「ゴオオオオッ……」という低い音が、ムーンの体の中から響き始める。
続いて、「カン、カン!」と金属を叩くような音。
その場は、まるで金属加工工場のような雰囲気に包まれた。
興味津々で見ていると、
ムーンの銀色の体がプルプルと震え、
時折「シュウウーッ!」と蒸気まで噴き出す。
その姿は、どこか機関車のようで――
可愛くて、思わず笑ってしまった。
やがて、ムーンの体がぐにゃりと形を変え、
ポンッ、と口から延べ棒を吐き出す。
出来上がった延べ棒を頭に乗せたムーンは、
俺のもとへやって来て、元気よく差し出した。
「はいっ!」
「ヨシヒロ様! 出来た! これでいい?」
「うわぁ……!
すごく綺麗な、青いセルリアの延べ棒……」
「これは、いい値で売れるぞ?」
「何てこと言うんだ!
初めてムーンが作ってくれた延べ棒だよ!?
ガーネットが作ってくれた木材と一緒に、家に飾るに決まってるだろ!」
「親ばかだなお前は……」
ムーンが差し出してくれたセルリアの延べ棒は、
ツルツルとした手触りで、ひんやりしていて心地いい。
金の延べ棒ならテレビで見たことがあったけど、
セルリアの延べ棒も、それに負けないくらい美しい輝きを放っていた。
その出来栄えを見たロウキは、「いい値で売れるぞ」とニヤリと笑う。
確かに、売れば一気に金持ちになれる代物だろう。
――でも、俺は絶対に売らない。
初めてムーンが作ってくれたものだから、記念に取っておきたい。
それが親心ってもんだよ。
「ヨシヒロ様! 今度は僕の番だよ!
ラピス、解析をお願い!」
「はーい! 任せて、ルド!」
「ん? あ、もしかして……解析して複製するのか?」
「そうだよー。ちょっと待っててねー!」
ロウキとの会話の最中、
緑色のスライム・ルドがぴょんぴょん跳ねながらこちらへやって来た。
「今度は自分の番だよ」と言い、
ラピスにセルリアの延べ棒の解析を頼んでいる。
ラピスは延べ棒を口の中へ放り込み、
体をくねくねさせながら解析を開始した。
しばらくすると、ポイッと延べ棒を取り出し、
そのままルドにぴたりとくっ付く。
――揃えて消す、あのゲームみたいだ。
あまりにも可愛くて、思わず口をきゅっと結んでしまった。
俺が一人で想像を膨らませている間に、
どうやら情報の伝達は終わったらしい。
今度はルドが、解析済みの延べ棒をパクリと飲み込んだ。
そして、少し待つと――
ポイッ、ポイッと、複製されたセルリアの延べ棒が口から飛び出してきた。
「できたー! どうだー! 鑑定してみて!」
「見事に複製したな。かなり有能だぞ、ルド」
「じゃあ、鑑定してみようかね……
……本当に見事に複製してる!
これはマズいな……
絶対に人には見せないようにしなきゃ……
うちの子たち、全員狙われるぞ……」
ルドが複製したセルリアの延べ棒は、
元と見分けがつかないほど完成度が高かった。
鑑定スキルで確認してみても、
元の延べ棒とまったく同一のものだ。
――やっぱり、スライムたちはとても優秀だ。
正直、俺なんかより、よほど役に立つ。
そう思うと同時に、
この事実が広まってしまえば、確実に狙われるだろうとも感じた。
だからこそ、気をつけなければならない。
この領地以外では、絶対に能力を使わせないようにしなきゃ。
「変な人間に捕まって、悪用されなくて本当に良かった……
領地の外では、みんなその能力を見せないように。いいね?」
「はーい!」
「それじゃあ、ふれあい広場も無事に片付いたし……
今後、もし傷ついた動物や魔物がいたら、俺に教えてくれ。
助けられる子は、ちゃんと助けたいから」
「分かったー!
じゃあ俺は、ユキと早速パトロールしてくるぜ!」
「クロ兄さん、行きましょう!」
「二人とも、領地から出ないようにな」
「分かりました! 行ってきます!」
注意すると、みんな素直に「はーい」と返事をして、
ぴょんぴょん跳ねていたけれど……
本当に、ちゃんと分かっているかな。
君たちが思っている以上に、
その能力は人間にとって価値があり、
利用したいと思われてしまう可能性があるんだから。
そう考えると、少しだけ不安になった。
それでも、
「もし傷ついた子がいたら連れてきてほしい」と伝えると、
クロとユキは「パトロールに行ってくる!」と張り切って出かけていった。
――なんて可愛らしい警備隊なんだろう。
そう思いながら、
俺たちは一度、家へと戻った。
この領地に、どんな子たちがいるのかはまだ分からない。
それでも、助けられる命があるなら、ちゃんと手を差し伸べたい。
王都や、その道中の村で、
傷ついた子、傷つけられた子がいた時も――
できる限り、救ってあげたい。
そんなことを考えていた――
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