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第4話 幼馴染みには戻れない(3)
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(お前の言うとおりだっての)
最悪なのはこちらの方だ。後ろめたいことを隠しておきながら、相手に心配をかけさせ、挙げ句の果てには怒鳴りつけてしまった。明への想いを自覚してからというものの、自分の心がどうにも制御できない。
己の不甲斐なさに、だんだんと泣きたい気分になってくる――自己嫌悪に陥りかけたそのとき、
「悪かった」
ぽん、と頭の上に、明の大きな手が乗せられた。
「とにかく、なんかあったとしても無理すんなよ。そんで元気出せ」
そのまま優しく撫でられてドキッとする。すぐに明は離れていったけれど、心地のいい感触に千佳の胸はいっぱいになった。
(ああ、どうしよう――好きだ……)
明のこういった一面に、すこぶる自分は弱いのだと実感させられる。もう何度だって、それこそ幼いときからずっと。
「こっちこそごめん……それから、あんがとな」
なんだか少しだけいつもの二人に戻れた気がして、千佳は返事をしながら明の隣に並んだのだった。
その後、ファミリーレストランで昼食をとり、書店に立ち寄る流れになった。
千佳は雑誌、明は文庫本……と、それぞれ目的とする分野が違うので、店内に入ってからは別行動である。
千佳が向かった先は、雑誌コーナーの中でも特にきらびやかな印象のある《女性ファッション誌》の棚だった。
(フラゲできるといいんだけどなあ、『mom-mo』――)
女性ファッション誌『mom-mo』は、千佳の《推しメン》である《萌木坂46》の“さっちん”が専属モデルを務めている。千佳にとってそれ以上の関心はないが、つい手に取ってしまうのがファン心理というものだ。
(あった!)
最新号の早売りを見つけて、千佳はすかさず手に取った。
表紙を飾る“さっちん”の姿は表現できないほどに愛らしく、「推しが尊い」という言葉しか浮かんでこない。しかも、初となる単独カバーで特集まで組まれている――ファンとしては何とも喜ばしいことだった。
(くうう……速攻レジに持っていくか、それとも立ち読みしていくかっ)
と、迷いに迷ってうろうろしていたら、不意に誰かとぶつかってしまった。「すみません」と相手の方を見ると、それは見覚えのある人物だった。
「ああ、ごめんなさいね……って、あら?」
向こうも気づいたようで、まさかの再会に目を丸くする。シルバーマッシュの髪をした男――以前、ラブホテル街で出会った《オネエ系》だった。
(こ、こんなことある!?)
なんという偶然だろう。あのときのことを思い出し、千佳は反射的に距離を取る。それから軽く会釈をして、そそくさと去ろうとしたのだが、
「……“さっちん”好きなの?」
最悪なのはこちらの方だ。後ろめたいことを隠しておきながら、相手に心配をかけさせ、挙げ句の果てには怒鳴りつけてしまった。明への想いを自覚してからというものの、自分の心がどうにも制御できない。
己の不甲斐なさに、だんだんと泣きたい気分になってくる――自己嫌悪に陥りかけたそのとき、
「悪かった」
ぽん、と頭の上に、明の大きな手が乗せられた。
「とにかく、なんかあったとしても無理すんなよ。そんで元気出せ」
そのまま優しく撫でられてドキッとする。すぐに明は離れていったけれど、心地のいい感触に千佳の胸はいっぱいになった。
(ああ、どうしよう――好きだ……)
明のこういった一面に、すこぶる自分は弱いのだと実感させられる。もう何度だって、それこそ幼いときからずっと。
「こっちこそごめん……それから、あんがとな」
なんだか少しだけいつもの二人に戻れた気がして、千佳は返事をしながら明の隣に並んだのだった。
その後、ファミリーレストランで昼食をとり、書店に立ち寄る流れになった。
千佳は雑誌、明は文庫本……と、それぞれ目的とする分野が違うので、店内に入ってからは別行動である。
千佳が向かった先は、雑誌コーナーの中でも特にきらびやかな印象のある《女性ファッション誌》の棚だった。
(フラゲできるといいんだけどなあ、『mom-mo』――)
女性ファッション誌『mom-mo』は、千佳の《推しメン》である《萌木坂46》の“さっちん”が専属モデルを務めている。千佳にとってそれ以上の関心はないが、つい手に取ってしまうのがファン心理というものだ。
(あった!)
最新号の早売りを見つけて、千佳はすかさず手に取った。
表紙を飾る“さっちん”の姿は表現できないほどに愛らしく、「推しが尊い」という言葉しか浮かんでこない。しかも、初となる単独カバーで特集まで組まれている――ファンとしては何とも喜ばしいことだった。
(くうう……速攻レジに持っていくか、それとも立ち読みしていくかっ)
と、迷いに迷ってうろうろしていたら、不意に誰かとぶつかってしまった。「すみません」と相手の方を見ると、それは見覚えのある人物だった。
「ああ、ごめんなさいね……って、あら?」
向こうも気づいたようで、まさかの再会に目を丸くする。シルバーマッシュの髪をした男――以前、ラブホテル街で出会った《オネエ系》だった。
(こ、こんなことある!?)
なんという偶然だろう。あのときのことを思い出し、千佳は反射的に距離を取る。それから軽く会釈をして、そそくさと去ろうとしたのだが、
「……“さっちん”好きなの?」
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