ゲイ卒したいのに、何故かスパダリセフレに溺愛&求婚されてます!

有村千代

文字の大きさ
19 / 122

第3話 恋人としての距離感(5)★

しおりを挟む
「……ああ駄目だな。お前が可愛いあまりに、つい意地悪したくなっちまう」

 ずるりと指が引き抜かれ、カチャカチャとベルトを外す音が聞こえてくる。高山は滾ったものを取り出すなり、手早くコンドームを装着して侑人の後ろに宛がってきた。

「あっ、は……高山、さん」

 早くほしい。熱くて硬いもので奥まで貫かれたい――荒くはあはあと息をしながら、侑人は期待に満ちた眼差しを向ける。
 高山は熱っぽくこちらを見つめ返したあと、吐息混じりに呟いた。

「もっと焦らしてやろうかと思ったけど、俺も限界だ」

 と、こちらの腰を掴むなり、あろうことか最奥まで一気に穿ってくる。

「ああぁっ――!」

 喉奥から悲鳴のような甲高い声が上がった。強すぎる刺激に目が眩むなか、全身が悦びに打ち震えているようだった。

(あ、やばい……挿れられた、だけで……)

 腹部に生温かい感触を感じ、呆気なく達してしまったことを知る。
 高山も目ざとくそれに気づいて、笑みを深める。

「挿れただけでイッたのか? どんだけ敏感になってんだよ」
「だ、だって」
「……こんなので突いたら、どうなっちまうんだろうな」

 低い声で囁きつつ、高山が腰を引いていく。
 うわごとのように「やだ」「待って」と、侑人が口にするも聞く耳持たず。先端近くまで引き抜かれたところで、ズンッと勢いづけて突き上げられたのだった。

「ひ、うぅっ!」

 内臓を押し上げられるような衝撃に、侑人は大きく仰け反った。視界がチカチカとして、またもや自身から精液が垂れ落ちる。

「はは、トコロテンかよ。突くたびに出すなんてエロすぎ」
「っあ、あ! や、んん……っ」

 吐精が止まらない。激しい突き上げに押し出されるようにして、ぷしっぷしっと自身から細く白濁が溢れ出ていく。
 長い絶頂感に気を狂わされそうになるも、また休む間もなく快楽を叩き込まれてしまう。思わず逃げ腰になるがそれも許してもらえず、しっかりと抱え直されてガクガクと揺さぶられる始末だった。

「あっ、ひ、ぁ……も、むりぃ……っ!」
「ずっとこうされたかったんだろ? 素直になったぶん、ご褒美はちゃんとあげないとな」
「ぅあっ、あ、らめえっ……! たかやましゃ、あ、あぁっ――」

 絶頂の波は一向に引かず、高山の背に爪を立てながら何度も達する。
 もはや精液が出ているのかもわからない。それでも体は貪欲に快楽を求め、ねだるように男根を締め付けてしまっていた。

(も、飛びそう……)

 陶酔が波のように打ち寄せて、だんだんと意識が朦朧としてくる。そんななかで見上げた高山の顔は、荒々しい行為に反してひどく優しげだった。





 毎度のことながら、事後の甘い雰囲気など皆無である。侑人はベッドから起き上がる気力もなく、ただぼんやりと天井を眺めていた。

(気持ちよすぎて、死ぬかと思った)

 こんな感想を抱くのはいつぶりだろうか。途中、何度か意識を飛ばしてしまった気がする。

 一方で高山はというと、隣で普段どおり煙草を吸っていた。
 文句の一つでも言いたくなったけれど、今は気怠さの方が勝っていて、黙ってその横顔を見つめる。すると何を思ったのか、すっと手が伸びてきて唐突に頭を撫でられた。

 余裕綽々な態度がまた気にくわない――せめてもの仕返しに、と侑人は煙草を奪い取る。見よう見まねで口に咥えて吸ってみるが、言わずもがな盛大にむせてしまった。

「大丈夫かよ。吸い方知らないくせに無理すんなって」

 高山は呆れたように言って、侑人の手から煙草を取り上げる。これ見よがしに口でふかすものだから、なんだか無性に悔しくなった。

「くそっ、なんでいつもそんなに余裕あんだよ」
「セックスの話か? そうだなあ……経験の差か?」
「………………」
「おいおいそんな目で見んなって、冗談だっての」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

処理中です...