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おまけSS 本城先輩へのご報告
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二人が結婚して、しばらく経ったある日のこと。
「いやー、ついにお前らもくっついたか! おめでとう!」
「ほ、本城先輩っ……声大きいですって」
本城がビールジョッキ片手に声を上げる。侑人はそれを慌ててたしなめた。
ここは都内にある居酒屋の個室――侑人と高山、そして本城の三人が集っていた。というのも高山の希望で、二人のことを報告するために本城へ声をかけたのだ。
「二人して雰囲気違うとは思ったが……長い片思いが報われてよかったなあ、高山」
「はは、俺もなかなか一途なもんだろ?」
本城に言われ、高山は得意げに笑う。その隣で侑人は首を傾げた。
(ん……?)
突然の報告にも驚かず、祝福の言葉をかけてくる本城に違和感を覚える。
思えば、一つ前の言葉だっておかしい。まるで以前から知っていたかのような口ぶりだ。
「先輩……まさか俺らのこと、知ってたんですか!?」
「そりゃ見てればわかるだろ? どう見たって、高山はお前のこと狙ってたじゃん。まあ、俺も最初は遊びだと思ってたけどなあ」
「えっ、ええ!?」
まさかの事実に素っ頓狂な声を上げる。
状況から察するに、高山もそれを知っていて、やけにノリ気だったのだろう。
こちらは緊張でガチガチだったというのに、まったくもって腹立たしい。それならそうと言ってくれればよかったのだ。
「マジか……」
侑人は頭を抱えながら、深いため息とともに呟いた。
そんなものをよそに本城は腰を上げ、隣までやってくる。そして、侑人の頭をわしわしと撫でつけてきた。
「何はともあれ、お前らが上手くいってよかったよ。――瀬名、ちゃんと幸せにしてもらえよ」
「は、はい」
咄嗟の出来事にドキリとしつつも、素直に頷く。
しかし、それをどう受け取ったのだろうか。高山が黙っていなかった。
「おいおい、俺の前で何しでかしてんだ。こう見えて、結構嫉妬深いつもりなんだが?」
「っ、高山さん!?」
二人の間に割って入ってくるなり、侑人は容易く引き寄せられた。見れば、高山は挑発的な笑みを浮かべている。
「だいたい撫で方が違うんだよなあ。侑人はこうして、髪の流れに沿って優しく撫でられるのが好きなんだよ」
「ちょっ」
こともあろうか本城に見せつけるようにして、高山が頭を撫でてくる。
その仕草は、普段二人きりのときにされるのと同じもので、羞恥のあまり顔が熱くなってしまう。優しい手つきに胸がキュンキュンとしたけれど、それどころではない。
「あんたこそ、何しでかしてんだよ! バカ!」
侑人は高山の手を振り払い、声を荒らげる。
せっかく猫を被っていたというのに――本城の目の前だということも忘れて。
「あ……」
ハッと口に手をやるも、時すでに遅し。
本城はぽかんとした表情でこちらを見つめていた。しかし、それも数秒のことで、すぐに陽気な笑い声が響き渡る。
「ははっ! 瀬名、よっぽど高山のことが好きなんだな?」
「なっ……そんなこと!」
そこで思わず言葉を詰まらせる。
すると、高山がすかさず口を挟んできた。
「可愛いだろ? 意地っ張りのくせして、『そんなことない』とか言えねえでやんの――ったく、俺も愛されてるもんだよな」
「っ!」
図星を突かれ、侑人はますます顔を赤くする。
本城はそんな二人の様子を楽しげに見やり、高山の肩をぽんっと叩いた。
「ああ。なんつーか、高山が溺愛すんのもわかる気ィするわ」
「けど、もう俺のだからな。お前は嫁さんとよろしくやれよ」
高山がしたり顔で返すと、本城はやれやれとばかりに苦笑した。
侑人はというと、赤い顔のまま俯いている。
(もう……なんで二人して、そういうこと言うんだよ)
心の中でぼやくも、高山の言動にいちいち喜びを感じてしまうあたり、自分も大概なのだろう。侑人は火照った頬を手で扇ぎながら、小さくため息をこぼした。
「いやー、ついにお前らもくっついたか! おめでとう!」
「ほ、本城先輩っ……声大きいですって」
本城がビールジョッキ片手に声を上げる。侑人はそれを慌ててたしなめた。
ここは都内にある居酒屋の個室――侑人と高山、そして本城の三人が集っていた。というのも高山の希望で、二人のことを報告するために本城へ声をかけたのだ。
「二人して雰囲気違うとは思ったが……長い片思いが報われてよかったなあ、高山」
「はは、俺もなかなか一途なもんだろ?」
本城に言われ、高山は得意げに笑う。その隣で侑人は首を傾げた。
(ん……?)
突然の報告にも驚かず、祝福の言葉をかけてくる本城に違和感を覚える。
思えば、一つ前の言葉だっておかしい。まるで以前から知っていたかのような口ぶりだ。
「先輩……まさか俺らのこと、知ってたんですか!?」
「そりゃ見てればわかるだろ? どう見たって、高山はお前のこと狙ってたじゃん。まあ、俺も最初は遊びだと思ってたけどなあ」
「えっ、ええ!?」
まさかの事実に素っ頓狂な声を上げる。
状況から察するに、高山もそれを知っていて、やけにノリ気だったのだろう。
こちらは緊張でガチガチだったというのに、まったくもって腹立たしい。それならそうと言ってくれればよかったのだ。
「マジか……」
侑人は頭を抱えながら、深いため息とともに呟いた。
そんなものをよそに本城は腰を上げ、隣までやってくる。そして、侑人の頭をわしわしと撫でつけてきた。
「何はともあれ、お前らが上手くいってよかったよ。――瀬名、ちゃんと幸せにしてもらえよ」
「は、はい」
咄嗟の出来事にドキリとしつつも、素直に頷く。
しかし、それをどう受け取ったのだろうか。高山が黙っていなかった。
「おいおい、俺の前で何しでかしてんだ。こう見えて、結構嫉妬深いつもりなんだが?」
「っ、高山さん!?」
二人の間に割って入ってくるなり、侑人は容易く引き寄せられた。見れば、高山は挑発的な笑みを浮かべている。
「だいたい撫で方が違うんだよなあ。侑人はこうして、髪の流れに沿って優しく撫でられるのが好きなんだよ」
「ちょっ」
こともあろうか本城に見せつけるようにして、高山が頭を撫でてくる。
その仕草は、普段二人きりのときにされるのと同じもので、羞恥のあまり顔が熱くなってしまう。優しい手つきに胸がキュンキュンとしたけれど、それどころではない。
「あんたこそ、何しでかしてんだよ! バカ!」
侑人は高山の手を振り払い、声を荒らげる。
せっかく猫を被っていたというのに――本城の目の前だということも忘れて。
「あ……」
ハッと口に手をやるも、時すでに遅し。
本城はぽかんとした表情でこちらを見つめていた。しかし、それも数秒のことで、すぐに陽気な笑い声が響き渡る。
「ははっ! 瀬名、よっぽど高山のことが好きなんだな?」
「なっ……そんなこと!」
そこで思わず言葉を詰まらせる。
すると、高山がすかさず口を挟んできた。
「可愛いだろ? 意地っ張りのくせして、『そんなことない』とか言えねえでやんの――ったく、俺も愛されてるもんだよな」
「っ!」
図星を突かれ、侑人はますます顔を赤くする。
本城はそんな二人の様子を楽しげに見やり、高山の肩をぽんっと叩いた。
「ああ。なんつーか、高山が溺愛すんのもわかる気ィするわ」
「けど、もう俺のだからな。お前は嫁さんとよろしくやれよ」
高山がしたり顔で返すと、本城はやれやれとばかりに苦笑した。
侑人はというと、赤い顔のまま俯いている。
(もう……なんで二人して、そういうこと言うんだよ)
心の中でぼやくも、高山の言動にいちいち喜びを感じてしまうあたり、自分も大概なのだろう。侑人は火照った頬を手で扇ぎながら、小さくため息をこぼした。
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